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期待しているだけよ

婚家にも気を配らないとね。

 


 あの後、聖良達は王城の客室に案内され泊まる事になり、俺達も誘われたが断り、王城から出ると散策しながら、ラーナの銀細工の店舗には何処ら辺りが良いか探す事にした。


「ルカ。あの辺りとかはどうかな?」

「冒険者ギルドの近くは物騒だろう」

「私としては、あの辺りが良いと思うわよ」

「貴族街の近くだと、平民が責任者の店はやり難いだろう」


 散策しながら、俺達は「アッチが」や「コッチが」となったが、屋敷に帰るとビアンカさんが待っていて、何処から聞いたのか、ビアンカさんが強制参加して俺の喫茶店から東へ3軒先の子爵級の屋敷をゲットしていた。


「此処に店を開けば良いわ」

「広過ぎないか?」

「……銀細工の店だけならね」

「分かったよ。才能溢れる者が居れば声を掛けてみるよ」

「期待しているわよ」

「過度の期待は勘弁だよ」

「期待しているだけよ」


 ビアンカさん、セレス姉さん、俺の共同出資で屋敷を改築する事になった。

 因みに、ビアンカさん達の事後承諾で強制参加した理由は面白そうだから……だと。

 基本的には、それぞれの玄関から入ると店舗で、その奥が工房で、その奥が私室という形になった。

 更に、その私室から奥に出ると共同の通路に出て、屋敷内を移動する事が出来る様になった。

 それと、店舗は最小限の広さだが、隣のも引っ付ける事が出来るから、一応は扱う内容に因っては拡張する事が出来る。


 次に私室は「1K」みたいな感じで最低限のクローゼットに、キッチンと風呂とトイレと簡易ベッドを完備してある。


 2階は、個室と共同の施設を揃えた。

 個室は1階のプライベートエリアと同じ「1K」風で、厨房と食堂に、大浴場にトイレに、会議室と多目的ホールを。


 3階は、図書室と客室を用意したのだが、何故か、俺達の私室まで有る。


 ……3軒向こうには俺の屋敷があるのは分かっている筈だが?


 ビアンカさんからは「必要になる可能性があるから」と言われた。


 ……?


 改修だが、後ろにはセレス姉さんが居る為に最優先で対応され、通常3ヶ月ぐらい掛かる工事日数が1ヶ月が完了した。


 まあ、王都に店を構える以上は、貴族の誰かの影響を受けるからなぁ。

 その貴族はセレス姉さんの機嫌を取る必要がある……つまり、そういう事だ。


 俺も、この1ヶ月を無駄に過ごしていない。

 奴隷館を渡り、屋敷の維持に必要な人材の奴隷を買い集めた。


 屋敷の執事を、ゼルさんの所の執事長の三男「ナベル」さんが就き、メイド長もゼルさんからの紹介で来たメイド長の妹「ラケル」さんが就き、厨房の料理長もゼルさんからの紹介で来た「ガベタ」さんが就き、ラーザさんは副料理長に就かせて、ラーミはメイド長補佐見習いに就いた。


 ゼルさんから、メイドも紹介して貰ったが、不測の事態が起きて欲しくないから断った。


 いやな、血統こそ平民の俺だが、それ以外なら高水準で揃うから、その他大勢の貴族令嬢達に狙われている訳だ。

 コレ、客観的な事実な。

 そんな訳で、内容は兎も角、屋敷の女主人と言う椅子は空席のまま。

 そんな状態で、傲慢な貴族令嬢が女主人になってみろ。

 どうなるか、火を見るより明らかだ。

 そんな理由から、メイドは奴隷で揃えた。

 後、その他の雑事も奴隷メイドに頑張って貰う予定だ。

 その為に、通常の常識的な人数よりも10人余分に購入したのだからな。

 その購入した全ての奴隷は、ゼルさんに教育を丸投げした。

 まあ、ゼルさんの所の「長」が仕切るのだから、今の内に慣れさせた方が良いだろうと判断したよ。

 勿論、門番も含む店舗の治安維持要員も女奴隷で賄った。


 後、俺が最初に決めた規則が「夕食後から翌日の夜明けまでの作業禁止」だ。


 ……理由は分かるだろ?


 良く言えば「ルカの為に頑張りました」とか言いながら目の下に濃いくまを付けて言われたくないぞ。

 そんな訳で、最初の規則はコレになった。


 それで、正面の商売用の出入り口は馬車と徒歩の2つに分けて準備した。

 目と耳が良い貴族なら必ず一回は来るだろうからな。

 屋敷購入を王族と繋がったままの降嫁した元王女のセレス姉さんで、執事やメイド長等が筆頭侯爵のゼルさん。

 この組み合わせを知って、貴族が派閥の関係で味方にはなれないが、敵に回す訳にはいかないと考えるだろうからな。


 とりあえず、ラーナには貴族用の銀細工を多めに作製する様に言ってある。

 デザインとかは、女性陣に任せていて、俺が口を挟む余地無しで激論を交わしていた。


「コッチの方が可愛いわよ!」

「少し幼過ぎない?」

「それなら、コッチは?」

「それは、今の時期に合っていないわ!」


 数週間後、銀細工の店をオープンして、予想していた通りに貴族達が競うかの様に訪れたし、高額商品は購入者の名前を控える為に、貴族が率先して買っていった。

 タイムスケジュール的には、午前中は販売で、午後は製作に充てている。

 それと、貴族向け以外は、日本的に言うと、中・高生に優しい値段設定にしてある。


 さて、店も落ち着いたみたいだから、俺達は冒険の旅を再開する事にした。


「もし、何か困った事が有ったら、執事のナベルか、メイド長のナケルに相談する様にな」

「分かったわ。色々とありがとう」

「この後は、自分自身で頑張ってみてくれ」

「ええ!」


 こうして、冒険の旅を再開したのだが、例のダンジョンがある城塞都市に到着する直前に盗賊共りんじしゅうにゅうに遭遇した。


「命が惜しければ、ふ……」

雷撃弾ライトニングバレット36連!」

「「「「「「「「「ぎ……」」」」」」」」」

「……身も蓋もないよ、ルカ」


 何時もの処理をして城塞都市に入った俺達は、盗賊共の首級を出して討伐報酬を受け取ると宿屋を取り、時間が半端だから散策する事にした。



 ???side


「揺らいでいる。を封印している『力』が弱まり揺らいでいる」


 ……忌々しい封印だ。


 は、悠久の中で存在するが故に、この封印が不愉快だ。

 憎っくきの一族に、魂にすら醜い傷を与えなければ気が済まぬ。


「先ずは……」




厳しくも温かいメッセージを待っています!

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