……本気ですか?
埋もれた天才の確保は、早い者勝ち。
文字通り「気になる女性」と別れてから3日が過ぎ、俺達に新しい武具を手に入れた。
「素晴らしい!」
「そうだろう!」
俺の場合は、手甲と具足は防具という感じで、外見は◯ろうに剣心の衣装に近くて、スパイダー系の糸と聖銀鉱石やモンスターの魔石や素材を使ったみたいだ。
だから、見た目以上の防御力を有している。
武器は外見が日本刀で、魔力を注げば注ぐ程に強度や斬れ味が上がる付与がされている。
舞の場合は、本人の強い希望で日本の古神道的な巫女の衣装に俺と同じ色違いの手甲と具足で、俺の防具と同じ効果を持っている。
武器は薙刀で、効果は俺のと同じだ。
リナの場合は、外見は聖闘◯◯矢のポセ◯ドン編の聖衣みたいな感じで、効果は俺達のと同じだ。
武器は長剣で、効果は俺や舞のと同じだ。
リンの場合は、外見は「忍装束」に近くて、中に帷子的な防具を装備する形だ。
武器は短刀の二刀流で、効果は同じだ。
ユイの場合は、外見は軽鎧だ。
武器はリナより長く、効果は俺達と同じだが、雷属性の色々を付与してある。
アスナの場合は、外見は聖剣3のリ◯スの光クラス3系の最強装備に近い。
武器はレイピアで、付与は俺達と同じだが、貫通の強い付与を加えている。
共通する効果の1つが、魔力を流せば微細な欠損を補修する効果だな。
他にもそれぞれに付与されているが、いずれ説明しよう。
ダンジョン・マスターであるカイトにお願いして、様々なパターンのモンスターハウスで新しい武具の具合を確かめたが、何1つ文句が言える所が無かった。
「最高の仕事だ」
「うむ!」
グリムアがドヤ顔で短く返事をした。
因みに、シリウスとコウガは、カイトに専用の階層を用意して貰い、狩りをしながら駆け回っている。
俺達と一緒だと全力で走り回る回数が減ったからなぁ。
気分は、広さを宣伝しているドッグランで「行って来い!」って感じだな。
俺達はカイトとグリムアに別れを告げてダンジョンから出ると、夕食の時間まで軽く散策する事にした。
「止めてください!」
悲痛な声が聞こえた。
「……テンプレさんまで、俺達の散策に誘って無いのになぁ」
「良いから行くよ、ルカ」
「分かっているよ、マイ」
声のする方に行ってみると、人集りが出来ていたから、周りの人達に聞いてみた。
「何があった?」
「あ、ああ。実はな……」
大銅貨1枚渡すと話し始めた。
内容は、在り来りな「難癖」だった。
路上で銀細工を売っている彼女をナンパしたチンピラ達は見事にフラレた。
それにキレたチンピラ達は商品の銀細工を「慰謝料だ」とか言って奪おうとしていて、彼女は必死に抵抗しているのが、今の現状だ。
「止めなさい!」
「そうよ!」
我慢出来なかった舞が躍り出た。
それに合わせてリナもだ。
「良い匂いがする綺麗な女だな……おい!」
「ああ。こっちの方が楽しめそうだな」
「喜べ。お前達をオレ達の女にしてやる」
……鼻を膨らませたバカ達が居た。
当然、舞達は……
「「お断りよ!」」
同時に、後ろ手で出すハンドサインは、手出し無用だった。
「……オレ達が優しく言っている間に従った方が良いぜ?」
「……ゴブリン以下に言われても」
「「ねえ!」」
「「「ブッ殺す!」」」
……15分後、鼻と股間に有る臓器全てを潰されたチンピラ3人は、衛兵に連行されていった。
「大丈夫?」
「……は、はい!」
「ご苦労さま。マイ、リナ」
「大した事じゃないわ」
「汗も掻いてもいないしね」
「あ、あの! 助けて頂いてありがとうございます!」
「気にしなくても良いわよ」
「そうよ」
「でも……」
彼女の対応を舞達に任せて、俺は彼女が売っていた銀細工を見る。
……完成度が高い!
マジかよ!?
露店のレベルじゃねえぞ!
ちょっと1ヶ月ほど専門家から学び、身に付ければ、充分に王都で店を持てるレベルだ。
だから……
「良い銀細工だな」
「ありがとうございます!」
「店を持ちたくはないか?」
「……どういう事ですか?」
……ちょっと警戒しているな。
まあ、詐欺師みたいな言い回しだったしな。
俺は、彼女の警戒を解く為に説明した。
「……本気ですか?」
「ああ、本気だ」
「私が保証するわ」
「リナの宝飾品を視る眼は本物だからな。
信用しても大丈夫だ」
「……分かりました」
「良かった。それじゃ……」
「ただし!」
「ただし?」
……何を言うつもりだ?
「お母さんと妹と一緒なら良いです」
「何だ。そんな事か。勿論、大丈夫だ」
「へ!?」
……どうやら、最後の「引っ掛け」だったみたいだが、あっさりと「承諾」と答えて、拍子抜けしているみたいだ。
「早速だが、家族との挨拶と引っ越しの準備をしようか」
「あ、あの……」
彼女は、舞達に救いを求めたが、誰も視線を向けなかった。
諦めた彼女は家族が住む家に案内してくれるみたいだが、進むにつれて表情は明るくなり、歩く速さが増していた。
移動中に自己紹介をして、彼女「ラーナ」から軽く家族の事を聞いた。
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「魔王様。実験体は順調に予定を熟しています」
「それは良い。道具としてしっかりと調整せよ」
「は!」
……今はまだ大人しく従ってやるが、いずれは僕が「誰」なのかを世界に知らしめ、そして、舞に相応しい相手は蒼真の野郎ではなく、僕だと気付かせてやる!
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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