待て。俺だけ!?
まあ、どうせなら……
作者の作品を読んでくださっている皆様。
今年も今日で最後です。
読んでくださる方々、応援してくださる方々。
ありがとうございます。
来年も読んで頂き、応援して頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
「奴隷変更の手続きも合わせましてで、白金貨170枚となります」
「分かった、買おう」
「お買い上げありがとうございます」
俺は待っていた応接室のテーブルに白金貨170枚を置く。
「……確かに」
「後、奴隷紋への変更と、町人ぐらいの清潔な服一式と靴を」
「畏まりました。此方は合計で金貨1枚と銀貨3枚になります」
金貨1枚と銀貨3枚を置く。
約10分後に、必要な手続きや身嗜みを調えた翼人族の少女を連れて奴隷館を出る。
奴隷教育が終了している為に、一切の「自分」を出さない翼人族の少女に命令をして、日用品と好みの服3着を選ばせた。
……時々、舞をチラチラ見ているのは何故だ?
《やっと仕事が一段落です。それと、テンプレですね》
(うわっ! いきなり来た……って、テンプレ?)
《はい》
(つまり……)
《転生は、人族のみに非ず》
(マジか……)
《頑張ってくださいねー》
宿屋に戻ると、早速、翼人族の転生者かもしれない少女に名前を付ける事にした。
そこで、ちょっと変化球的な感じで舞に事情説明して、俺達から自己紹介をするのだがラストを舞にした。
「私の名前はマイ=テンジョウインよ」
「マイ=テンジョウイン……まさか!?」
「異世界転生が存在するのなら、異世界召喚も存在するわよね?」
「まさか、他の人もでありますか!」
「私が異世界召喚で、ルカが異世界転生よ」
「それで、マイをチラチラと見ていたのか」
「はいであります」
俺は日本語で話し掛けた。
『前世は御庭上蒼真だ』
『日本語……』
『前世の名ま……いや、君の名は?』
『私の前世の名は霧賀谷明日奈であります』
「漢字は違うみたいだが……」
「仕方ないのであります! 再婚で義父の姓が霧賀谷だったのであります!」
舞が聞いてきた。
「一応聞くけど、良い所のお嬢様をやっていたの?」
「違うであります。異世界への送迎車であるトラックが来るまでは、社畜で黒縁眼鏡の黒髪セミロングで、趣味は読書と乙女ゲーであります」
「それだけ?」
「……はいであります」
あ、目を逸らしながら返事したよ。
「命令。読書と乙女ゲー以外にやっていた事を全て話せ」
「……! ……だ、大学時代に、な、夏とふ、冬に本を出していましたであります! そ、それと、お母さんの影響で小中高で、ふ、フェンシングをやっていましたであります!」
「「……」」
「「ドンマイ」」
「……う」
「「う?」」
「うわ~~~ん!」
「ルカが泣かせた!」
「待て! 俺だけ!?」
「正座」
「だから、俺だけ?」
「正座!」
「……はい」
この後、舞は明日奈を慰め、俺はリナから正座説教を受けた。
翌日の防具店では……
「アスナは、何が良いかな?」
「私は、コレにしますであります!」
翼人族に転生者したヲタクの少女の名前は「アスナ」となり、昨日の内にしっかりとガールズトークをしたお陰で、すっかり舞達と打ち解けた。
前世がフェンシングで、現世でもレイピアという訳で武器はレイピアとなり、後はアスナの好みで防具も決まった。
後、武器屋では明日奈用のオーダーメイドを発注した。
冒険者ギルドに行き、明日奈のパーティー加入等の手続きを終わらすと、冒険者ギルドと併設されている練武場に行き、明日奈の戦闘力を確認する事にした。
……正直、侮っていた。
現段階でユイと互角の勝負をしている。
多分、前世の経験と知識がアドを取っているのだろう。
風属性魔法を駆使して場を作り、正面や死角からのレイピアの鋭い突きを出して、離れれば風属性魔法を、攻撃の主としてくる。
「それまで!」
「「ありがとうございました」であります」
明日奈が落ち着いた頃を見て聞く。
「アスナの現世での両親の立場や身分は?」
「父が族長で、母が最強の戦士であります」
「もしかして……」
「はい! 一族の秘技、全て修得済みであります!」
……低くみても、翼人族最強候補の1人であり、実年齢が17歳の明日奈はとても強かった。
すっかり馴染んだ明日奈は……
「ルカ殿は、どれにするでありますか?」
……この通りである。
2週間後、明日奈の冒険者ランクが「Eランク」となり、発注した武器も出来た。
「こんな良い武器をありがとうございますであります、ルカ殿!」
「気に入ってくれて良かったよ」
そして、忘れた頃にテンプレさんが挨拶に来た。
「良い女が侍らせているな」
武器屋から出ると、2人の護衛騎士付き青年が現れた。
「ベダーレ坊っちゃん、どうですか?」
「ああ」
簡単な会話の後、青年の後ろに居た護衛騎士の1人が、俺の前に硬質な音を出す小袋を投げた。
「その小袋には、銀貨10枚が入っている。それを持って消えな」
「断る」
美少女が仲間であるが故の宿命だな。
「聞き間違いか? 今、何て言った?」
「断ると言った」
「ふん。強欲な。……おい」
「はい」
同じ小袋をまた俺の前に投げた。
「更に銀貨10枚だ。消えろ」
「断る」
「僕の言葉は通じているよな?」
「はい、ベダーレ坊っちゃん」
「それなら、どういう事だ?」
「恐らく、ベダーレ坊っちゃんの立場が理解出来ないのでしょう」
「なる程な。理解出来るだけの知能が無いのだな」
「では、慈悲を掛けて教えてやろう。
僕は、この都市の領主グリジアラ伯爵の三男ベダーレ=ガナシ=グリジアラだ!
理解出来ただろう。それを拾って消えろ」
醜いドヤ顔をするバカが居た。
「そちらこそ、言葉が通じているのか?
俺は断ると言っている」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点とブックマークをお願いします。
理解していれば、異世界語でも漢字になりますが、理解していないと、カタカナになります。
しかし、ルカはケジメとして、名前を口に出す時は、「マイ」にしています。
まあ、切羽詰まっていたら「舞」になりますが。