……ば、化け物め!
異世界の吸血鬼は強いと思う。
「……解法」
封印を解いた事で、俺の身体能力や魔力が一気に比較出来ない程に上昇する。
「……ば、化け物め!」
「お前以上の……な」
「がはぁ……」
相手は吸血鬼で、しかも、月の加護も受けている……一気に叩く!
「ぐっ……ぎぃ……げふぅ……ごが……」
格ゲーの乱舞技の様に次々に拳を蹴りを四天王トイフェルに叩き込み続ける。
「ふ、ふざけるなぁー!」
「くっ……」
四天王トイフェルから衝撃波を喰らい、距離を開けてしまう。
「まさか、この我が……良いだろう。
ルカよ、光栄に思いながら死ね!」
四天王トイフェルが、そう叫ぶと、奴の身体が貴族的な人型から、魔獣的な人型になった。
その姿は、蝙蝠を彷彿とさせる外見だった。
「GaAAAーーー!」
その差は、正に子供と騎士程の開きが有ったが……
……力を開放した俺の敵じゃない!
「Ga……Gi……Gu……Guha……」
「これで最後だ! 烈光魔轟雷!」
「Ga……」
……残心を5分程したが、復活した四天王トイフェルや、隠れていた残党が現れなかった事で残心を解き、再び「力」を封印する。
「……封法」
「「ルカ!」」
「「ルカ様!」」
【我が主!】
「キャン!」
「ぐふぅ……」
舞達からタックルを受けた俺は倒れ、息苦しくなる程締め付けられ、3分後ぐらいに開放された。
「ルカ、あの力は何?」
「マイ達は、俺のセレモニースキルを知っているだろ?」
「う、うん。確か……超越者だよね」
「そう。マイを待っている間の4年間でかなり無茶をしてな、強くなり過ぎたんだ。
それで、普段は必要としない『力』だから封印する事にしたんだ」
「それなら、あの時は使わなかったのに、今回は使ったのは何故なの?」
「まあ、かけ離れ過ぎた『力』って周りに恐怖を与えるから……」
「私が、そんな事でルカを嫌ったり恐怖する訳無いじゃない!」
「……ありがとう、マイ。 それに、マイ達には四天王トイフェルの動きに付いていけなかっただろ? だから、詠唱が必要な神紋術が使えなかったんだ」
「……そっか。私達はまだヒヨッコなのね」
「まあ、そういう訳だ。さあ、屋敷内を調べようか」
「うん」
「分かったわ」
「分かりました、ルカ様」
「ユイ達は、此処で待機な」
「は~い、ルカ様」
【分かったのだ、我が主よ】
「キャン!」
一晩を此処で過ごすのが嫌だから、照明の魔法を惜しみなく使い、屋敷内を調べた。
……書類的な「何」かは無かったが、現金や宝飾品系は大量に有り、更に、呪われた武器系も大量に有ったから、何かに使えるかもしれないから、これも回収した。
後は、バンパイア共の灰に埋もれていた大量の魔石を発見した。
最後に、四天王トイフェルの灰に埋もれていた5cmの魔石と、直径8cmの邪神をモチーフにしたみたいなコインが有って、目茶苦茶怪しいが、一応はコレも「倉庫」に仕舞う事にした。
……あ、書物系は無差別に回収して、地下室には隠し扉を含めて何も無かったよ。
屋敷を出ると、魔法で屋敷を氷結粉砕して土魔法で埋めた。
馬車の結界を解き、花畑まで戻り、月光に照らされた花々を見て癒やされながら休む事にした。
……夜の見張り番として、シリウス様はマジで神だった。
翌日、癒やしを与えてくれた花畑を惜しみながら出発して、御者をリンが担当し、その馬車の中ではユイが奮起していた。
「昨日は役立たずだったけど、次は頑張る」
「期待しているからな」
「期待しているよ、ユイ」
「期待しているわ」
「キャン!」
「はい!」
「……」
小さくなって寝ているシリウスを舞とリナがモフる中、カパラカパラと馬車で移動して、今日の野営に到着した。
既に何組か居たが、間隔を空けて野営の準備をして夕食が始まった。
「美味いな!」
「ホントだよ!」
「美味しいわ」
「美味しいです」
【美味い!】
「キャン!」
「お粗末様」
リンの料理は本当に美味い!
そして、匂いに釣れられて御椀を持って同じ野営地に居る連中が来た。
「勿論、お金は払うから、そのスープを分けて貰えないだろうか?」
「銀貨1枚」
「銀貨1枚で良いのか!?」
「当然、それだけじゃない。旅の中で知った情報が欲しい」
「分かった」
スープが銀貨20枚に変わったが、有益な情報も有ったから良し!
……恵梨香達も頑張っているみたいだ。
翌日
「ルカ様」
「何だ、リン」
「この先の分岐はどちらになさいますか?」
昨日、聞いた話だと、この先には分岐があって、片方(新街道)は都市「グリジアラ」に繋がり。
もう片方(旧街道)は「マガザリヤの森」と呼ばれる森林に繋がっていて、その「マガザリヤの森」を抜けると、都市「グリジアラ」に繋がっているみたいだ。
新街道だと移動距離的に遠回りで、旧街道だと移動距離的に近道らしい。
「リン」
「何ですか、マイ」
「それ、ルカに聞く必要が有るの?」
「念の為の確認です」
「ルカ、答えは?」
「勿論、旧街道だな」
「「「「やっぱり!」」」」
【それでこそ、我が主だ!】
「キャン!」
そんな訳で、分岐までは皆でぞろぞろと移動して、そこからは別れた。
まあ、向こうは「正気か!?」みたいな反応や顔をしていたけどな。
それに「剣と魔法の世界」での楽しみの1つである「食べてみたら、美味しいモンスター」がある!
……コレ、結構重要だからな!
異世界ラノベ系に良くあるモンスターのランクとかが高い程、肉が美味いってのがあるが、この世界のモンスターも当て嵌まる。
オークよりもハイオークが、ハイオークよりもオークジェネラルの方が美味い。
身体に内在する魔力量が関係あると思われているが、俺もそう思う。
……そんな「食の探求」の為に俺達は行く。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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