覚えているけど……まさか!
身体強化こそ、少年バトルの真髄と思うのは作者だけだろうか?
「ルカ、雰囲気が凄いね?」
「ああ、そうだな」
「マイとルカに同感。それに、奥に見えるアレは墓場かしら?」
「……」
ユイは既にシリウスの背に乗り……いや、しがみついて目を瞑っている。
ユイの状態を考えれば、屋敷に入らない方が良いが、置いておく場合のリスクが高い為に同行して貰う。
因みにだが、屋敷の外観は悪魔城ド◯キュラ西洋館verって感じだ。
俺は思わず周りを見ると言った。
「有名な祖父が居るキンダニや、頭脳は大人の少年は居ないみたいだな」
「分かる!」
「「「?」」」
舞は、小説版のオペ◯座の怪人推しで、俺はジェイ◯ン推しだ。
雪夜叉やケルベロスも捨て難いが……
とりあえず、馬車には予備を含めて二重に結界を貼り、西洋館に侵入するのだが、ネタバレされた。
「ようこそ、永遠の時を生きる高貴なる闇の末裔が眠りし地へ」
「失礼するよ。好奇心に勝てなくてな」
「左様で御座いますか。
しかし、招待状無しでの御来訪は些か無粋というもの。それなりの代価を請求しなければなりませんな」
「如何ほどで?」
「それ程、高価な要求はしませんよ」
「それで?」
後ろ手でハンドサインを送り、戦闘準備をする。
「貴方達が持つ物を1つ頂くだけです」
「その『物』とは?」
「貴様らの『命』だ!」
前後左右天地からバンパイアが出現した。
「久し振りの処女の血だ! その命果てるまで啜り尽くしてくれようぞ!」
「変態!」
「最低!」
「愚図です!」
舞とリナは武器に光属性の魔法を付与し、リンは氷属性の魔法を付与して戦闘開始だ。
……リンは努力を惜しまない勤勉家だが、どうしても光属性の魔法が使えない。
俺も光槍を放ち、舞やリナ達の援護に回っている。
……かなり「数」を減らしたし、上位吸血鬼も打ち止めみたいだな。
「ま……まさか、下等な存在である人族が此処まで抗うとは……」
「どうした? もう終わりか?」
「うぬぬぬ……ならば……」
「消えよ」
最初に俺達の前に現れた執事的なバンパイアが何かしようとしたら、執事の影と闇が重なる部分から一瞬で何者かが出現して執事的なバンパイアが消滅した。
……そして、屋敷内の気温が一気に下がった。
「真打ち登場か……」
「純粋にして高貴なる我の眠りを邪魔したのは貴様らか?」
「そうだとしたら?」
「男は殺し、女は我の花嫁にしてやろう」
「お断りだね」
「御遠慮させて貰うわ」
「考える価値もありません。拒否します」
「嫌!」
舞達の即答だった。
「……だとさ」
「そうか。それなら、永遠の伽を」
無詠唱で闇槍を20本出現させ……放つ。
「光槍20連!」
俺も負けずに同数の光槍を放ち、お互いの槍の切っ先を衝突させるという離れ技を披露する。
「うむ……」
「ちぃ……」
「これも阻むか」
向こうが、何か言った瞬間には飛び出しリナの首へ、何時の間にか出した黒い長剣を突き刺そうとしたが、俺が間に入り防ぐ。
「俺が戦う! 舞もリナ達も下がれ!」
俺の指示に従い舞達は下がった。
「……うむ。お前を殺せば女は手に入る訳だ」
「言う程、簡単じゃないけどな」
「吠えるな人族。我の一撃を止めた褒美を与えよう。
せめてもの慈悲として、苦痛無き死を!」
……1分か? 5分か? それとも10分か?
剣と魔法……光と闇が飛び交う中で、俺は戦っている。
「素晴らしい強さだ!」
「どうも」
「だが惜しい。これ程の者を殺さねばならないとは……」
……まだ余裕があるみたいだな。
「人族の男よ、名は?」
「ルカ」
「ではルカよ。我が眷族となれ」
「断る」
「何故だ!? 我の眷族となれば、永遠の命となるのだぞ?」
「そんな生きているのか、死んでいるのか、分からない状態はゴメンだね」
「そうか。……ならば死ね!」
ガキン!
「バカな!? 我の本気の一撃を先程と同じく止めただと!」
「そっちが様子見だったのは分かっていたからな。それなら……だ」
「つまり、ルカも力を隠していた……と?」
「そういう事だ」
「……信じられん! 我は魔王様配下である四天王の『トイフェル』だぞ!?」
魔王配下の四天王の1人~!?
それなら尚更、此処で討伐する。
そう、決心した途端に四天王トイフェルは嗤いだした。
「……そうか。今宵は満月であったか!
ルカよ! 絶望するがいい!」
……え!?
マジか!
感覚的には、それ程の時間の経過は感じていなかったが、もう月が空を照らす時間なのか。
そして、四天王トイフェルの台詞から、吸血鬼が満月で最大限の力を発揮するみたいだな。
「一撃で死んでくれるなよ、ルカ」
「がぁ……」
想像以上の攻撃力と速度に5分を超える時間を、防御に専念したから良かったが、まともに喰らったら致命傷だ!
……仕方ないか。
「マイに皆」
「何、ルカ」
「もっと下がっててくれ」
「何故?」
「本気出すから」
「今まで本気じゃなかったの!?」
「まあな。マイに分かり易く言うと、北の界◯での重しや、幽白の呪霊◯を覚えているか?」
トイフェルは、俺の意味不明な言葉に警戒して様子をみている。
「覚えているけど……まさか!」
「そう! そのまさかだ! 」
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