ルーカス様、何か?
お忍びは、周りが大変です。
モブ冒険者に止められた。
「何処に行こうとしている?」
「言う必要があるのか?」
「当然だ! ボク達の女神達に近付くゴミは全て排除する!」
「……知るか」
俺は無視してクロエ達の所に行こうとしると、後ろから殴られた。
……勿論、わざとだ。
「受付嬢!」
起き上がると見ていた受付嬢に声を掛けた。
「は、はい」
「ギルドマスターを練武場まで連れて来い」
「はい~」
「全員、練武場に来い!」
「良いだろう。身の程を分からせてやる!」
クロエ達も含めて、練武場への移動が終わり待っていると、先程の受付嬢とギルドマスターらしき男が来た。
「何事だ?」
「この邪魔なゴミを掃除するから立ち合いを希望する」
「どういう事だ?」
俺は説明する。
「……と、言う訳だ。だから、模擬戦を行い、俺が勝ったら、こいつらからのクロエ達への接触等の一切を禁止に、そして、クロエ達に近付く者達への接触等の一切を禁止にしろ。破った場合は、鉱山労働1年間だ」
「良いのか?」
「ああ。その代わり、ボク達が勝ったら、彼女達をボク達のメンバーに!」
「しかし、彼女達は奴隷だぞ」
「そのぐらい王都の冒険者ギルドのギルドマスターなら、出来るだろ!」
「……分かった。交渉はしてやる」
「事前交渉は良いですね?」
「ああ」
「「「「「「「「「「「「おう!」」」」」」」」」」」」
「では、ルカ様の要望通り、ルカ様対クロエ様達の信望者の模擬戦を開始します。 準備は良いですか? ……始め!」
「「「「「「「「「「「「死ねぇ!」」」」」」」」」」」」
「お前らが……な。雷矢96連!」
「「「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」」」
練武場の半分以上を埋め尽くす雷矢に、馬鹿共の足が止まる。
そして……一人当たり8本の雷矢が馬鹿共の身体に突き刺す。
「「「「「「「「「「「「がぁ……」」」」」」」」」」」」
更に!
「氷矢12連!」
氷矢の1本ずつが、馬鹿共の喉に突き刺す寸前となる。
そして、受付嬢に視線を送る。
「勝者……ルカ様!」
受付嬢の宣言を聞いた観客席の冒険者達は……
「全財産の大銀貨8枚が~!」
「ちくしょう! 全財産の金貨1枚を全額賭ければ良かったー!」
「全財産、溶けたー!」
「やったー! 銅貨が金貨に変わったぜ!」
……人生の悪い縮図だな。
「ギルドマスター、約束を履行して貰おう」
「しかし……」
「分かった。義母のセレステアに報告しておく」
「……! ち、ちょっと待て!」
「どうした、ギルドマスター」
「ま、まさか、お前はルーカスか?」
セレス姉さんの影、冒険者ギルドにまで……
「そうだ」
「……約束は必ず実行する!」
「そうしてくれ」
これで問題が解決し、クロエ達から感謝されながら練武場から出た。
……俺達が練武場から立ち去り、残った馬鹿共は、こんな事を言っていたらしいな。
馬鹿な敗北者side
「もう、ボク達は女神と触れ合えないのか」
「絶望しかない」
「明日から、どうやって生きれば良いんだ」
「……待て!」
「どうした!?」
「ボク達は、ボク達から女神達に近付く事は出来ない。でも、女神達の方からは?」
「……そうか! 女神達は悲しい事だが、全員が奴隷だ!」
「つまり?」
「女神達の主たる方に、お願いすれば……」
「ボク達は、女神達と触れ合える!」
「希望が見えた!」
そんな新しい希望で胸が満たされた時、ギルドマスターが近付いて言った。
「どうした、ギルドマスター」
「非常に言い難い事を告げねばならない」
「それは?」
「気付いた通り、クロエ達は奴隷だ。
つまり、奴隷主が存在する」
「それはそうだ。 何が言いたいんだ?」
「結果だけ言えば、お前達が新たに芽生えた希望は存在しない」
「どういう事だ、ギルドマスター!」
ギルドマスターの顔が、悲痛に染まった。
「既に、奴隷主とは会っている」
「奴隷主は誰だ!」
「先程まで、お前達と模擬戦をして勝ったルカだ」
「「「「「「「「「「「「何ぃー!!!」」」」」」」」」」」」
「でもよう。ガキ1人と、オレ達全員なら、どっちを取る?」
普通に考えれば、ガキ1人を選ぶ筈が無い。
「ルカを選ぶ」
「何故だ!」
「あいつはフロンディーラだ」
「どういう意味だ?」
「ルカのバッグには、この王国に於いて敵に回してはいけない人物が存在する。
そして、あの方を敵に回す事は、王国を敵に回す事を意味する」
「ほ、本当なのか?」
「……ああ。だから、復讐も含めて諦めろ」
ルカside
さて、ゴミ掃除が終わったし、クロエ達と喫茶店に行き、日本的な甘いお菓子を食べる。
「……甘ーい!」
「やっぱり甘くて美味しいよね、ルイ」
「うん。そうだね、ビト」
「ラビ、これも美味しいよ」
「……本当だ、イーナ」
甘いお菓子に蕩けている美少女獣人族の彼女達を見ていると、奴隷ウェイトレスのリリア(元公爵令嬢)が来て、貴族令嬢の顔で言った。
「あちらのお客様がお話したいと……」
「分かった」
俺達は、そのお客様の所に行ったが、どうやら認識障害を起こす魔道具を起動していたみたいだ。
「何故、この様な場所に、王太子妃様」
「相談したい事があります」
「分かりました」
そう言うと、スタッフオンリーの扉から入り、屋敷の応接室に案内した。
因みに、向こうのメンバーは王太子妃と侍女とゴツい護衛騎士の2人だ。
序でに言うと、この侍女は要人暗殺も可能なデキる侍女だ。
「ルーカス様、何か?」
「イエ、ナニモ……」
だから、何故、分かるんだー!
応接室に全員が席に着くと、元王女の侍女(元侯爵令嬢)だった奴隷のマレナが、王太子妃から紅茶を淹れる。
「……美味しい」
「……」
マレナが無言で会釈する。
「さて、王宮に呼び出さず、自らが来られる程の『相談』とは?」
「実は……」
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