良いスキルを頂けましたか?
人間味がある神様って良いよね!
執事のセナクさんの、あの一言も伏線だったかー!
あの後、俺は執務室にドナドナされた。
「前世の名前は?」
「御庭上 蒼真」
「御庭上蒼真だと!?」
え!?
「姉の名前は『紅葉』か!」
「何故、知っているんだ!」
「……オレの前世の名前が『蓮城 大樹』だからだ!」
「その名は、3年前に交通事故で紅葉姉さんと一緒に亡くなった婚約者の名前だ!」
「だから、そういう事だ!」
お互いに腹を割って話し合った後……
「光速拳は?」
「音速拳なら、不可能じゃない」
「天地◯闘の構えは?」
「鍛練次第で可能だ」
「ア○ンストラシュや界○拳は?」
「才能が要るし、そのままは無理だが、同じ効果なら可能だ」
俺は1時間程、楽しい時間を過ごした後、執務室の扉をノックする音が響いた。
「セナクです。もう直ぐ、お時間になります」
「分かった」
「それならガル義兄、俺もお暇するよ」
「何を言っている。一緒に行くんだぞ」
「は!?」
馬車の移動中……
「この馬車は……アレ?」
「ああ、魔改造済みだ」
「……何処に向かっているんだ、ガル義兄」
結局、プライベートでの呼び名が「ガル義兄」になった。
それと、俺が転生者だというのは、一緒に浴場に入ったメイドだけには特に秘匿する事をガル義兄と誓いあった。
……舞に殺されたくないしな。
「教会だ」
「……あ、ああっ! そう言えば、まだ『誕生の儀式』はまだだったな」
因みに、同行しているメイドは、ポーカーフェイスをしようとしているが、僅かに眉や口端がピクピクと動いている。
まあ、気持ちは分かる。
昨日今日来た何処の馬の骨か分からないガキが、自分の主人である辺境伯という上位貴族相手にタメ口だもんな。
「ようこそ、フロンディーラ辺境伯!」
「よろしくお願いします、ルイズ司祭」
「こちらの少年がそうですね」
「僕の名前はルカと言います」
「礼儀正しい少年ですね」
そして、またもや眉や口端がピクピクするメイド。
……ドンマイ!
「おお! 偉大なる慈悲深き女神よ。
この少年に祝福を!」
異世界ラノベにありがちな、5歳とか7歳とか10歳に教会や神殿に祈りを捧げ「スキル」を1つ得るってのがあるだろ?
実は、この世界にも「ソレ」が有る訳だ。
まあ、一応は「ソレ」だけで、残りの人生が左右する事は無いけどな。
それで、祈りを捧げると……
「申し訳ございません!」
ベルダ○ディー系の美女が、胸の双丘を覗かせながら土下座をしている!?
因みに、さくらんぼは見えなかった。
……って、此処は何処!?
「はい。此処は私の職場みたいな場所です」
心の中で思った事で返答されるという事は……
「ああ、女神様!」
「はい」
……少し落ち着こう。
「そうですね。お茶を出しますね」
そう言った瞬間に、白いテーブルと椅子2脚が現れ、何処から出したのか日本の伝統的な茶器一式が現れた。
「普通は紅茶では?」
「最近は、抹茶に凝ってまして……」
「…まあ良いか」
ズズッズー
「大変美味しゅうございました」
「……」
黙礼!? ……分かっているな!
「さて、説明をお願いします」
「先ずは、完全に記憶を覚醒させ、事実を教えますね」
……ああ、そういう事かよ。
「次に、貴方達が召喚された理由ですが……」
こういう事だった。
召喚された理由自体は在り来りで、魔王が復活するから。
そして冷酷だが、この召喚は一方通行で、日本に帰る事が出来ない。
それで、召喚されたのは、舞、裕哉、新堂、真上、岸野、北辰先生、そして俺。
それで何故、俺だけ別で転生なのかというと、この女神はマニュアルに従い転生用扉を用意してから舞達の対応をしてたらしい。
その上、俺だけが召喚酔いで寝ていて、寝ぼけていた俺は誤って、その転生用扉に入ってしまった……が、舞達の中での認識らしい。
真相は、裕哉の俺への嫉妬心から転生用扉の事を利用して誘導したのが真実だと女神が言った。
そうか、裕哉は舞の事を……
まあ、舞を渡す気はさらさら無いがな!
それで、俺を転生用扉から助けて、無かった事にする事は出来ず、その上で俺が納得するだろうと考えたのが、同じ時間軸で過去に転生させる事だった。
だから、4年後ぐらいに舞達が、この世界に召喚される。
そして、その異世界召喚は止める事が出来ないみたいで、理由は俺が既に転生済みが理由の1つだからだ。
それで、女神に聞いてみた。
魔王は勇者じゃないと倒せないのかを。
女神の返答は、勇者じゃないと不可能という事は無いみたいだ。
……裕哉には、転生用扉に突き出された礼をしないとな。
この後も、知りたい情報を可能な限り聞いた後は、折角の女神様との邂逅と、女神様の土下座する程の後悔を利用して、ギリギリの上限をお願いしようと思っている。
……今、教会で誕生の儀式の最中だからな!
「さて、女神様」
「ひぃ!?」
「どうしました、女神様?」
「あの、蒼真さん……いえ、ルカさんの笑顔が怖くて」
「慈悲深き女神様、それは酷いなぁ」
「すみません!」
「それで、ちょっと細やかなお願いというか、ご相談があるのですが良いですか?」
「は、はい!」
「ありがとうございます。
実は、俺の誕生の儀式で頂ける『スキル』の件ですが、俺からリクエストしても良いですか?」
「も、勿論です! お詫びを兼ねて、私の権限が許される範囲内であれば大丈夫です」
「ありがとうございます」
……許される範囲内であれば……か。
「それでは、俺が望むスキルですが……」
「……少年よ、誕生の儀式は終了しました」
「……」
「良いスキルを頂けましたか?」
「はい!」
「それは良かった」
「それでは失礼します」
「少年に、神々の祝福があらん事を」
俺は、教会を出るとガル義兄が、待っていたから馬車に乗る。
「どうだった?」
「理想のスキルだよ!」
「それは良かったな!」
「ああ」
「おめでとうございます、ルカ様」
「ありがとう、レネさん」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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注︰蒼真は、当時の認識になり、3年前と言っています。