……相手が!
黒歴史……怖い!
さて、オークションが開催された訳だが、今回のオークションに参加しているのは、俺と舞とリナだけだ。
リンとユイは留守番だ。
まあ、偽善的な言い方をするなら、「彼女達が傷付くのを見たくない」だな。
獣人族や亜人族の差別主義が居たら大変だしな。
……相手が!
最終的には王族が居るからな、俺のバッグには。
セレス姉さんは、玉座に座れる可能性がある全ての王族の黒歴史を握っている。
前世からの常套手段で、しかも、探偵とかに依頼するけど、セレス姉さんは一度も依頼料を払った事が無い。
何故なら、黒歴史という弱みを握られてしまった相手が払っているからだ。
迷惑料とか慰謝料とかの名目で。
言っておくが犯罪に繋がる様な事には黒歴史を使っていない。
この黒歴史で使っているのは、相手に対して「見るな」・「話し掛けるな」・「近付くな」・「他者を使うな」としている。
そんな事に慣れている人が、そんな手を使う事が常識の王族に生まれた事は、正に「水を得た魚」状態だ。
王族に対してアンチを掲げる貴族派閥の上位陣の黒歴史を握っているらしいし、相手が気付いていないパターンもあるらしいな。
長くなったが、セレス姉さんに一筆送れば、貴族名簿から名前を消す事は容易だし、そんな事をすれば気に病むだろうしな。
まあ、そんな身勝手な理由で留守番をして貰っている。
「……いよいよ、午前中の出品が残りが2つだけとなりました。
しかし、ご安心ください!
当オークションでも、久し振りの貴重な出品です。それではご紹介させて頂きます。
次なる商品は『黒帝獅子』です!」
「「「「「「「「「「おおおーーー!!!」」」」」」」」」」
うわっ!
「ご覧ください。目立つ外傷が一切ございません! これ程の美品は稀少と言えるでしょう。王族でさえ、所持していない可能性がございます。そんな黒帝獅子を金貨100枚から!」
「金貨120枚」
「金貨200枚」
「金貨250枚」
「金貨300枚」
「金貨……」
うわ~。
次々に値段が上がっていくな。
「金貨860枚」
「……」
「金貨860枚が出ました! 他に居られませんか? ……では、番号札3番の方が落札されました!」
「「「「「「「「「「おおおーーー!!!」」」」」」」」」」
因みに、俺達の番号は「11番」だ。
かなり早い番号なのは、多分、フレイブルム侯爵からの紹介だからだろう。
《またもや、正解です!》
(そうなのか?)
《はい。このオークションでは、10番までは固定されていて、それ以外が11番からになります。今回、ルカ達の番号が、ソレなのは、間違いなくフレイブルム侯爵への忖度ですね。では》
(そっかー)
「次の商品は、幻とまで言われた稀少な薬草『漆黒草』です! この薬草を使えば、どんな病気も癒やし、どんな呪いでも解呪する事が出来ます。そんな薬草を金貨200枚から!」
「金貨300枚」
「金貨330枚」
「金貨380枚」
「金貨400枚」
「金貨……」
これも、どんどん上がっていくな。
まあ、一度だけとはいえ、これが有れば、どんな病気も呪いも大丈夫だもんな。
「金貨980枚」
「……」
「金貨980枚が出ました! 他に居られませんか? ……では、番号札7番の方が落札されました!」
「「「「「「「「「「おおおーーー!!!」」」」」」」」」」
後、金貨20枚で4桁の大台だよ!
「これにて、午前中の紹介は全て終了いたしました。休憩を2時間取ります。
引き続き、午後からの参加をお待ちしております」
ステージの上に立つMCの午前中の終了の挨拶でステージの幕が降りた。
「凄かったわね~」
「まあまあね」
「リナは余裕だね」
「私、王都のオークションに一度だけ、お父様に付いて行った事が有るけど、比べられないぐらい王都のオークションは凄かったわよ」
「うわ~」
「しかも、王都のオークションは3日間も続くのよ」
「へ〜へ~へ~」
舞は無意識に、何かを叩いていた。
「午後も参加するの?」
「ん? ああ」
「分かったわ」
「本当に参加するんだ。午後からは、同じ人を売るんだよ?」
「分かっている。だが、参加する必要が有るから我慢して欲しい」
「分かったわ、ルカ」
「ありがとうな」
……舞の懐の深さに感謝だな。
落札された宝飾品と2つの出品からの1割引きされた「上がり」である合計が白金貨18枚と大金貨7枚と金貨9枚を確認すると仕舞う。
その後、2時間の休憩時間が終了して、オークション最大の見せ場である「奴隷」の出品が始まった。
ステージのMCの進行の説明がされた。
俺も舞もリナや周りに説明補足されて理解出来た。
簡単に言えば、男から出品され、年長から先に出品し、身分の低い者から出品される。
最初は犯罪奴隷(男)からで、次は犯罪奴隷(女)だ。
犯罪奴隷の使い道は、潰れるまでの使い捨てが常識で、犯罪奴隷になる者は大抵が大量殺人とかの重犯罪者だ。
他には戦争の敗戦国の平民出身の将軍や文官等がいる。
……何かに引っ掛かる事は無かったな。
次は借金奴隷だが、名称の通りで借りた金を期限内に返せなかった者がなる。
賭博とか、高額医療費とかだな。
中には、騙されて正式な借金を背負わされて返せず……みたいなのも存在する。
「次は、貴重な黒猫人族です」
……なんだと!?
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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