まあ、ラッキーでもあるけどな!
あの衝撃は忘れられませんね。
……どうだ?
「……分かった。君の意思を尊重しよう」
「ありがとうございます」
「ただ、契約縁組がしたくなったら、何時でも言いなさい」
「ああ」
……良かったー!
「では、話が纏まった所で風呂だ」
「へ!?」
「魔法の洗浄を使っていただろうが、それとこれとは別だ。マリー」
「はい!」
「連れて行け」
「畏まりました」
???side
「ふぁ~」
何時もの朝を迎えて軽く欠伸をした後、朝食を含む朝のルーチンを済ませ、執務室に向かう。
今日も片付ける書類は多いが、昼食と休憩を挟み決済を処理していると、執事のセナクが慌てて入ってきた。
「ガルダイア様!」
「どうした?」
「ディアナ様からの手紙です」
「何だと!? 手紙を寄越せ!」
奪う様に手紙を受け取ると内容を読む。
「……この手紙を持って来たのはまだ幼い少年か?」
「……はい」
「直ぐに連れて来い」
「畏まりました」
……なんて事だ!
今、この手紙が来たという事は貴女は……
待っていると、セナクの後から少女と見間違う程の容姿を持つ幼い少年が入って来た。
……少し、彼女の面影が有るな。
自己紹介の後、早速だが契約縁組の話に持ってきたが、可笑しい。
普通は、10歳前後なら飛び付く筈だ。
仮にも上位貴族である「辺境伯」の家族になれる「契約縁組」だぞ!?
それに、途中からは口調も態度も変わって、あれでは14歳以上だ。
……まさか!?
真近な前例を思い出したオレは、メイドのマリーに耳打ちする。
これで、疑惑が4割りは埋まるな。
ルカside
メイドに案内されて、浴場に到着した俺は、浴場の広さに感動していた。
しかも、日本の老舗旅館的な感じになっている。
すると……
「お身体を洗いますね」
先程案内してくれたメイドが、タオルで前を隠さずに浴場に入って来たー!?
……つい、身長差で視線が腹下の薄……って、何時まで見てんだ俺!
直ぐに廻れ右をした俺は言った。
「じ、自分で、で、出来ます!」
「申し訳ありませんが、ガルダイア様からのご命令ですので……」
……ちょ、ちょっと待ってくれよ!
他人の女性の裸なんて、初めて見たぞ俺!
「失礼します」
いつの間にか、身体を洗う所に移動しているのですがー!?
「痛くありませんか?」
「だ、大丈夫です」
明鏡止水……冷静沈着……心頭滅却……晴雲秋月……泰然自若……
……背中にサクランボが!?
……臨める兵、闘う者、皆陣をはり列(烈)をつくって、前に在り!
「前も洗いますね」
ΕιρΝΘ∞∨∧∵∏∑∝∫∫⊄∨⊃∬√!?
「け、結構ですーーー!」
……俺は逃げた。
???side
「……以上です」
「そうか」
「ガルダイア様。先程の件の意味は?」
「前例が有るのなら、次も有るのは道理だろうと思わんか?」
「確かに、前例が有るのならば、次も似た様な事が有るでしょうが……」
「簡単に言えば、ルカは周りが思っている以上に賢く、理解が早いという事だ」
「……左様ですか」
執事のセナクも、これ以上の説明が無いと判断した様だ。
何歳かは分からないが、仮に13歳以上なら気の毒だったかもしれないな。
まあ、ラッキーでもあるけどな!
ルカside
最初に頭に浮かぶのは「舞にだけはバレない様にしよう」だった。
……去年は、本命チョコを受け取ったし、3月には「お返し」を渡したしな。
お互いに初めてで、マシュマロみたいに柔らかったなぁ。
浴場の浴槽にダイブした後は、メイドの「お世話」を断固拒否した。
その後は、自分で頭等の残りを洗い、用意されていた衣服を着る。
浴場の出入り口の外側で待っていたメイドに客室らしき部屋に案内されて「暫くお待ちください」と言われて待つ事にした。
勿論、断固拒否した事を謝ったが、メイドに「では、次は洗わせて頂きますね」と言われたから、また断固拒否した。
暫く待っていると、先程とは違うメイドが来て、食堂に案内された。
「ルカ。マナーなど、気にしないで食べて欲しい」
「はい。ありがとうございます」
……と、言っても母さんの教育不足だと言われない為に、負けたら全員の料金を自腹で全額払うバラエティを視ていた俺は、退場を言われない程度には食事のマナーが出来ていたと思う。
……いや、料理は美味しかったよ。
???side
「99%って所かな」
「……はぁ。しかし、まだまだな所がございましたが、あの歳にしては出来ていましたな」
「まあな」
最低限、13歳以上だな。
ルカside
俺にとっては充分な波乱万丈な「出来事」が有ったが、翌日になると、違う意味で波乱万丈な「出来事」が待っていた。
「昨日は良く眠れたか?」
「はい」
俺が、猫を被ったままそう答えると、中庭に居たメイド達が退場して、中庭に居るのはフロンディーラ辺境伯と執事のセナクと俺だけになった。
そして、渡された木剣。
「さあ! 模擬戦をしよう」
「おう!」
幾ら、前世を思い出したとはいえ、流石に10歳と30半ば以上だと互角が精一杯だった。
「ガルダイア様、そろそろ……」
「分かった。ルカ、次で最後だ」
「ああ」
そう返事をすると、フロンディーラ辺境伯は、弓を引く様に木剣を横にして後ろに引いた。
「牙突!? ……あ!」
「はい、アウトー!」
「くっ……」
「話を聞こうか」
「……はい」
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