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品性の欠片もないわね

叩けば叩くほど、出る埃。

 

 前回同様に家族とは別れて、門を入った先にある駐在所に向かう。

 あのクズ商人は、扱う商品もクズだった。


「……こ、これは!?」


 馬車の中に有った商品が、カモフラージュ用以外は、全てが国が定めた禁止品だった。

 直ぐに、この街の領主に連絡が行き、領主の命令で、あのクズ商人の商会に強制調査となった。


 俺達は、早々に貴族としての身分証を提示して駐在所の客室に居る。

 まあ、籍だけとはいえ救国の英雄の息子に、今や筆頭侯爵家の令嬢だもんな。


 アブシディアは馬車の横で待機中で、舞はコウガの協力で、アニマルセラピー中のダークエルフの少女を見守っている。

 俺とリナは、紅茶を飲みながらゆったりしている。

 リンは、リナの監修の下、侍女としての実地研修中。


 ……リンも、紅茶を美味しく淹れれる様になったなぁ。


 後、今日は領主館に泊まる事になるだろうから、宿屋を探す必要は無いな。


 午後1時過ぎに、強制調査が終了して報告を聞いた。

 禁止品に関わる者は全員が奴隷となり鉱山労働行きに、無関係で知らずに働いていた者達は商業ギルド預かりになった。

 それと、クズ商人の家族だが、夫人と長男と長女は「黒」で、次女がまだ7才という事で、夫人の実家送りとなった。


 次に物品や不動産は、俺達が欲しい物が有れば先に手に入れる事が出来るという事で移動となった。

 この処置も国が定めた法律だ。


「マイとリン、留守番よろしくな」

「はーい」

「畏まりました、ルカ様」


 俺とリナだけで、クズ商会に向かい到着して衛兵長と一緒に中を見たが、悪趣味な成金の内装と様々な飾りだった。


「悪趣味だな」

「品性の欠片もないわね」


 色々と見て廻るが、食指が全く動かねぇ!

 大金に物を言わせた「本物」は無いのかよ?


 念の為に、執務室も入った。

 執務室の見た目だけの豪華な机の引き出しを取り出して二重底になってないか、調べたらビンゴで、中から違法奴隷の書類が有った。

 しかも、取引先のリストまで!

 衛兵長が、驚愕した顔で固まっている。


 ……まさか!


 執務室の床の絨毯を剥がすと、隠し金庫的な蓋を発見!

 開けると、この商会の裏帳簿と裏金が!

 更に、執務室の本棚も調べると、大体1mぐらいの高さの棚に、1冊だけ同じ棚の本とは違うテーマの本が有った。


「まさかな……」


 ガコン!


「隠し扉~!」


 思わず未来から来た猫型ロボットの真似をしてしまった。


 衛兵長を正気に戻して、俺と衛兵長で向かうと、調教中のエルフ族や獣人族に、人族が拘束されていた。

 隠し部屋の棚には、この調教中の者達に関する書類も有ったから調べると、酷く後悔した。


「くそ! アッサリ殺すんじゃなかった、あのクズ商人!」

「……同感ですな」


 書類を読んだ衛兵長も同感の様だ。

 衛兵長に人を呼んで貰っている間に、俺は彼女達の拘束を解き、直ぐに処置が必要と思える傷を治療した。


 この後、衛兵長が連れて来た人達に拘束されていた彼女達を任せて、俺とリナは駐在所に戻り、全員で領主館に移動となった。


 ……あれから4日後に改めてクズ商会の報告を聞いた。


 先ずは、執務室での机の二重底とか、床の隠し扉とか、本棚の隠し扉を見て、衛兵達が改めて徹底的に調べた所、追加の発見が有った。

 その発見は、副会長の自宅にも隠し部屋が有り、「楽しむ為の部屋」だった。

 副会長の自宅の他の家族や働く者達は、全く知らなかったみたいだ。


 さて、国法で定められた俺達の取り分だが、不動産を貰うと、自動的に上の建物も管理責任を背負う事になるから却下だな。

 不動産は売却して、その売却金を貰おう。

 それと、売却出来る物は全て売って、それも頂いて、建物内の現金もだな。

 後は、クズ商人所有の奴隷はどうしよう?

 まあ「女性奴隷は俺のだ!」と、考え無しの傲慢な事を言うつもりも無いしな。


 後は神頼みだな。


 《ゲームイベント的な「物」は有りません》

(ありがとう、女神さ……「物は」だと!? 

 じゃあ、人はどうなんだ?)

 《ルカ達の介入が無ければ、1週間前のあの日に、夜のベッド的な意味で食べられる予定だったが居ます。そのは引き取った方が良いですよ》

(分かった)

 《名前は「ステラ」よ》

(ステラな。因みに、どんな立場?)

 《精霊魔法で擬態しているけど、幾つか有るエルフ国の1つ「アリューズ国」の第3王女よ》

(なんで、そんなエルフの王女様が奴隷になっているんだよ!)

 《母親である女王が、彼女が楽しみにしていたお菓子を1人で食べた事で喧嘩になって家出。そして空腹で倒れた所を運悪く、あのクズ商人が発見する》

(……マジか?)

 《大マジよ》

(分かった。引き取るよ)

 《じゃあ、頑張ってね》

(ありがとう、女神様)


 クズ商人所有の奴隷に「ステラ」という少女が居るのなら引き取ると伝えた。


 舞からは「やっぱりエルフは鉄板ね」と言ってくれた。

 リナは呆れていた。

 リンは「ルカ様の意思に従います」だって。


 ……結果発表!


 懐に入った現金は合計で白金貨380枚に大金貨8枚に、金貨9枚と大銀貨3枚だ。

 後、奴隷の「ステラ」で……以上だ。

 現金の内訳は、不動産に建物に家財道具や美術品や芸術品に、宝飾品に裏金に、クズ商人共の奴隷売買金の全部だ。


 因みに、残った奴隷は領主が引き取った。



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点とブックマークをお願いします。


不動産と建物は領主が買いました。

宝飾品等は商業ギルドです。

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