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……到着したみたいだ

知った以上は……

 

「……はい」

「ボークラ令息と、その従者の徹底した再教育。 ……以上だ」

「……それだけで、よろしいので?」

「ああ」

「それと、この小袋も返す。幾ら入っているかは知らないが、正式な交渉なら恐らく足らないだろうからな」

「……」

「おじい様、お話はおわった?」

「ああ、終わったよ」

「それなら、お庭に行こう。きのうね、きれいにお花がさいたの」

「俺達を気にする必要は無い」

「それでは、失礼します。ほら、エブリナも御挨拶しなさい」

「はい、おじい様。しつれいします、ルーカス様」


 そう言って男爵と小さな令嬢が応接室から退室した。


「大変申し訳ありませんが、今日は……」


 執事が、そう言ってきたから、リナを見ると頷いた。


「分かった」

「ありがとうございます」


 夕食まで、エブリナ嬢と仲良く遊んだのだが、妙に懐かれた。

 その結果は……


「おまわりさん、この人です!」

「マイ、違うぞ!」

「どういう事、マイ」

「あのね、リナ」


 舞とリナが、ヒソヒソと話しているが、話し終わるとリナがゆっくりと顔を俺に向ける。


「……幼女趣味はダメよ、ルカ」

「誤解だ、リナ!」


 リナから、ジト眼を頂いた。


「マイ……」

「ふんだ! ルカのバカ!」


 エブリナ嬢は、このやり取りの意味が分からずキョトンとしていた。


 夕食を頂いたのだが、夕食の内容が、かなり豪華だった。

 理由は分からないだろうが、豪華で美味しい夕食で、エブリナ嬢は大変ご機嫌だ。

 イメージ的には、日本の一般家庭が、回らないお寿司や、焼肉の叙○苑に行くような感じだ。


 翌日、男爵一家総出で外周の門まで来ての、お見送りされた。

 理由は分かるから、特に文句を言うつもりも無い。

 ただ……

 俺は執事を呼ぶ。


「私に、何かご用でしょうか?」

「これを渡しておく」

「これは?」


 渡したのは、小袋だ。


「今日からしばらく、食卓の料理内容が質と量共に、半分とかになっていたら目覚めが悪いからな」

「……ありがとうございます」


 渡した小袋の中身は大金貨3枚だ。

 これなら、昨日の夕食と今朝の朝食分に足りるだろう。

 今朝の朝食の時に、エブリナ嬢が目を輝かせていたからな。


 俺達は、領主館を後にしたのだが、エブリナ嬢が、俺の屋敷に来て押しかけ側室になるのは、少し先の未来での話だ。


 町を出て俺達が向かった先は、森の奥だ。

 まあ、仲良くなったエブリナ嬢が住む町の近くに、あの氷神狼フェンリルと良い勝負をするモンスターが居るのは落ち着かないから討伐する事にしたからだ。


 森の入口で馬車から降りて馬車には結界を張り、看板を設置して、俺達は森の奥へと移動を開始した。


 目的地に到着するまでは、主に舞とリンがモンスターを討伐していった。

 やはり、実戦が足りないのは舞とリンだからだ。


「……到着したみたいだ」


 相手が相手だから、探知系は真剣にしていた俺は、相手の縄張りの外周に到着した事を知覚した。

 これ以上踏み込めば、向こうも俺達を感知するだろう。


「最初は、様子見で俺だけで行く。ある程度、探り終わったら、マイ達も加わってくれ。それまでは、リナがマイとリンを守ってくれ」

「分かったわ」

「任せて」

「分かりました、ルカ様」


 充分に休息を取った後、向こうの縄張りに侵入する。


「見えた!」

「……」

「アレは!?」


 種族的にはベアー系だが、前足が左右に2本ずつ付いている。

 大きさは立ち上がれば5mって所か。


「ルカ」

「どうした、リナ」

「多分だけど『レッドラムベアー』よ。

 しかも変異種だわ!」

「分かった。準備は良いな、皆」

「だ、大丈夫よ」

「マイとリンは任せて」

「ルカ様、ご武運を」

「行くぜ!」


 俺は、雷撃弾ライトニングバレット20連を放ちながらレッドラムベアーに特攻する。


「GaAAAー!」


 更に、レッドラムベアーの足下を水球ウォーターボール泥濘ぬかるませる。

 雷撃弾ライトニングバレットを目眩ましの囮にして放つ。


「喰らえ! 烈光轟雷ライトニングノヴァ!」

「GaAAAーーー……」

「まだだ! 氷極凍結コキュートス!」

「Ga……」


 かなり効いたみたいだな。これなら……


「皆!」

「疾っ!」

「破!」

影刃シャドウエッジ!」

「GaAAAーーー!」


 ……良し!

 レッドラムベアーの左右の2本の腕を切り落としたぞ!


「止めよ!」


 舞が止めを刺そうと、レッドラムベアーの首への一撃を放つ為に飛んだ瞬間、レッドラムベアーの背中が裂けて2本の腕が飛び出した。


「なっ!?」


 ザシュ!


「が……」

「マイ!?」

「ルカは早くマイの治療を」

「私とリナで抑えます!」


 俺は、リナとリンにレッドラムベアーを任せて舞に近付く。


「……蒼…真……」

「大丈夫だ、直ぐに治す。完全回復パーフェクトヒール

「……ありがとう、蒼真」

「大丈夫か?」


 完全回復パーフェクトヒールなら、四肢欠損すら完全に復元再生させる魔法だ。

 舞の怪我は完全に治癒した筈だ。


「……大丈夫みたい」

「良かった」

「ありがとう」

「当たり前だろ」 


 リナからの催促が入った。


「ルカ、まだ?」

「済まん、リナ。行こう、マイ」

「うん!」


 流石は変異種だ。

 まさか、3組目の腕が有ったなんてな。




 ……な、何とか勝てた。


 レッドラムベアーは、更に闇の爪みたいな飛び道具まで乱射するもんなぁ。

 お陰で、俺は兎も角、何度か、舞達は命の危険があった。


(女神様、これ食える?)

 《ちょっと待ってね……肉以外はダメ》

(骨と毛皮は素材になるか?)

 《大丈夫よ。素材になるわ》

(ありがとう、女神様)

 《どう致しまして》


 少し休憩すると、レッドラムベアーの解体を始めた。



厳しくも温かいメッセージを待っています!

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