表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/110

正解だ!

……変化球になるかな?

 

 都市「カゴランダ」を後にした俺達は、今までで最悪のピンチにおちいっていた。


「オギャー! オギャー!」


 何故か、街道から横に広がる森に怪我有りの赤ん坊が居たんだよ!?

 何を言っているか分からないだろうが、俺達も分からない。

 兎に角、本当に森に赤ん坊が居たんだよ!

 とりあえず、怪我は治癒魔法で回復したが……


「どうすれば良いんだ?」

「マイ、どうにかならないの?」

「私だって分からないわよ!」

「私にも分かりません」

「とりあえず、ミルクを出すからマイとリナとリンで見ててくれ。俺は母親を探す」

「あ、逃げた!?」


 正解だ!

 実の父親でさえ、赤ん坊の世話は大変なのに、他人で男の俺が何か出来る訳ないだろ!

 勿論、結婚して子供が出来たら一緒に育てるよ。

 だけど、今はまだ女性である舞達の方がマシだ。

 舞達の前に瓶詰めミルクをある程度出すと、この赤ん坊の母親を探す為に街道の進行方向に先ずは行ってみた。

 対向する馬車等が無い事を良いことに2分程、時速60㎞で走ってみたが、それらしい女性が居なかった。

 念の為にもう少し進むと、女性と最低限の武装をした少女が倒れていた。


「大丈夫ですか?」

「だ、誰か、私のメリ……ナ…を……」

完全回復パーフェクトヒール

「あ……ありがとうございます」

「……ありがとう」

「赤ん坊の所に行くぞ」

「……お願いします」

「……うん」


 この後、女性と少女の悲鳴が聞こえたが無視した。


「「ハァハァ……」」

「ルカ、その女性ひと達が?」

「多分な」

「良かったわ」

「……メリナ!」


 落ち着いた所で事情を聞くと、俺達の今日の目的地である町「ガーリパ」に母娘3人が向かっていた。

 3人で向かった理由は話して貰えなかったが、とりあえず3人旅で移動中にオーク1匹と遭遇して追い掛けられ、オークの攻撃をギリギリ避けれたと思ったら、足がもつれ転ける。

 その拍子に赤ん坊は森の中に……

 しかし、オークは見て無かったのか、変わらず母親達を追い掛けて来た為に、次女である赤ん坊も喰われるぐらいならと、自らおとりになり、赤ん坊から引き離した。

 因みに、長女の武装は最低限な上にハッタリだったりする。


 そして、誰かが赤ん坊であるメリナを助けてくれる事を願いながら逃げていると、母親の背中に響く鈍痛が……

 どうやら、オークが持っていた棍棒モドキを投げて、母親に命中した上に、その棍棒モドキが長女まで当たったみたいで、2人共倒れてしまい、生きて喰わられる事を覚悟したが、オークが急に何かに怯えたみたいに感じになり、森の中に消えていったらしい。 


 まあ、母娘おやこが無事に再会出来て良かったよ。

 因みに、僅かな時間で3人は母性本能が刺激され、赤ん坊であるメリナを母親に返すのを少し嫌がった。

 勿論、母親は察して舞達を許した。 


 それで、やはり旅に出る切っ掛けの動機は話して貰えなかったが、現実として3人で移動したのは金が無い為で、ガーリパに向かった理由は、親戚が居るらしいからだ。


「なんて快適な馬車なの!」

「お母さん、お尻が痛くない!?」


 はい、同行しています。

 流石に「じゃあ、さよなら」って訳にはいかないだろ?

 まあ、目的地が一緒だしな。

 舞達の機嫌が良くなるのなら、俺としては別に問題は無い。


 そして、目的地まで後30分の所で、フラグがキッチリ回収された。


「デカい狼!?」

「まさか、グレイトウルフ!?」

「しかも親子連れ!?」


 地球でもそうだが、野生の親子連れは危険なのだ。

 当然、このファンタジーな世界でも同じで、それはモンスターの親子連れも当て嵌まる。

 つまり……


「Gurururu……」


 親の方の口からオークの欠片が落ちて俺達に向かって威嚇を始めた。

 俺は、威圧と殺気をグレイトウルフの親に放ち、少しずつ威圧も殺気も上げ続けると、次第に親のグレイトウルフは下がり始めた。

 俺は一気に威圧と殺気を爆上げすると、親のグレイトウルフは負けを認め、腹を晒した。


 ……異世界でも、ウルフ(いぬ)系は、負けを認めると腹を晒すのか?


 そして、口に咥えていたオークの欠片を俺の前に置いた。

 そして……


【貴方を我が主と認めます】


 ……念話!?


 グレイトウルフが念話を使えるなんて聞いた事が無いぞ!?


【我が主?】

(我が主とは、俺の事か?)

【はい、我が主よ】


 ……マジかよ。


(お前の種族名は?)

【我が種族名は氷神狼フェンリルです】


 ……氷神狼フェンリルだと!?


 異世界系あるあるだが、この世界に於いての氷神狼フェンリルの扱いが、天災だ。

 どれくらいかと言うと、転スラの「ヴェ○ドラ」並みだ!

 王都の1つや2つ程度、1時間も有れば、瓦礫の山にする事が出来るらしい。

 実際に本人に聞いてみると、「1時間なんてとんでもない。人族の王都など10分もあれば瓦礫の山に出来ます」と答えた。


(これからどうする?)

【私達親子は、これから我が主に忠誠を誓います】


 諦めた俺は、同行を許した。

 それで、親子連れなので、子狼(雄)の方は舞達がモフモフしている。 

 親(雌)の方には、馬車の周りを自走して貰っているが、間に合わせ的な理由で首に青色のスカーフを巻いているし、子狼にも緑色のスカーフを巻いてある。


(……なる程な)


 意思の疎通が念話であるのを良い事に、色々と質問をしてみた。


(それじゃあ、これからよろしくな。

 お前の名は『シリウス』だ)

【よろしくお願いします、我が主よ】


 名前を付けた。

 親には「シリウス」で、子狼には「コウガ」とした。




厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点とブックマークをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ