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……盗賊だ!

やる事はやっています。

 


 俺はフロンディーラ辺境伯に会う為に徒歩で移動中なのだが、どうやら母さんは、俺の旅立ちを14、5歳ぐらいと思っていたみたいで、あらかじめ準備されていた服や武器に防具は身体のサイズに合っていなかった。

 とりあえず、今まで使っていた物を装備している。

 母さんの手紙に因ると、午前7時ぐらいに出たら午後1時ぐらいに到着するみたいだから、今の俺の歩幅なら午後4時ぐらいまでに到着するだろう。


 そう思ってテクテクと歩いていると、気配察知に反応が出た。

 改めて魔力探知でも調べたら反応があった。


 ……8人か。


 立ち止まると同時に、俺を囲む様に6人の見窄みすぼらしい武装したチンピラが現れた。


「ガキ! 死にたくなければ、服と靴以外を置いて消えな」


 ……盗賊だ!


 でも、俺を囲んでいる盗賊共は6人で、気配察知や魔力探知では8人。


 ……つまり、残り2人は身を潜めている訳か!


 前世を思い出す前でも楽勝なのに、前世を思い出した以上は、大金を無償でくれる「良人カモ」にしか見えないし、フロンディーラ辺境伯に良い土産が出来たな。


「おい! 聞いているのか?」

「……さようなら。雷撃弾ライトニングバレット

「「「「「「「「がっ……」」」」」」」」


 流石に8人の剥ぎ取りはキツかったし、アジトの殲滅もキツかった。


 ……殺人は、8歳で卒業しましたが何か?


 母さんは、褒め言葉なら10代後半でも通る美貌の持ち主で、アジトを探したり食料を探す盗賊共と良く遭遇するんだよな。

 それで、母さんの「あの美貌」だろ?

 こっちの話を全然聞かねえのよ。

 そうなったら、殺処分しかないじゃん?

 だから、母さんの予定としては、この世界の成人年齢の14歳辺りを考えていたみたいなんだよな。

 因みに、残念と言うと母さんに悪いが、俺の顔は母さん似で、正直、美少女系な顔だ。

 とりあえず、盗賊共のアジトにはとらわれた人は居なかった。

 居るのなら、不謹慎だがテンプレが発動して美少女(エルフ族や獣人族含む)か、100歩譲ってウルフ系か狐系に猫系の神獣とかでも良いよな!


 途中、昼食を挟み、午後3時過ぎに都市フロンディーラに到着した。


「身分証は無いのか。それなら、この水晶球に手を置いて」


 言われた通りに手を置く。


「何か、犯罪を犯したか?」

「いいえ」

「名前は、ルカですか?」

「はい」

「良し、大銅貨5枚だ」


 俺は大銅貨5枚を出す。


「次回から、冒険者ギルドでも何でも良いから身分証を出せば通行税は無料になるからな」

「うん」


 ……返事ぐらいなら演技出来るが、流石に「頭脳は大人。身体は子供」の、彼みたいな演技は出来ないだろうなぁ。

 因みに成人前な為に、身分証の為に何処かのギルドとかの強制加入は免除された。


 周りの人達に聞きながらフロンディーラ辺境伯が居る領主館に向かう。


 ……途中、特殊な趣味を持つお姉さんに捕まりそうになり、かなりの恐怖を覚えたが、何とか振り切り領主館に到着した。


「すみませーん」

「どうした坊主、迷子か?」

「ううん違うよ」

「なら、どうして此処に来たんだ?」

「はい、これ」

「この手紙は?」

「フロンディーラ辺境伯に渡して欲しいんだ」

「坊主、それは……」

「ルーネ=ディアナ、という人からだよ」


 そう言った瞬間に、門番2人は真顔になり聞いた。


「本当に、ディアナ様からかい?」

「うん」

「分かった。手紙を渡して来るから、ちょっと待っててくれないかな」

「うん」


 2人の内、1人が屋敷の方に行き、待つ事20分後に、屋敷に行った門番と年配の紳士が来た。


「この子がそうですか?」

「はい、そうです」

「分かりました。この子は私が見ますので仕事に戻ってください」


 多分だが、執事だろう年配の紳士の指示に従い俺の身柄を預けると、門番は門番の業務に戻る。


「案内いたしますから、私に付いて来てください」

「うん」


 眼の前の執事はデキる執事みたいで、俺の歩幅に合わせて移動している。


「フロンディーラ辺境伯様。手紙を持って来られた方をお連れしました」

「通してくれ」


 執務室だと思うが良いのか?

 まだ俺がガキとはいえ、この部屋には重要書類だってあるだろうに。


「初めまして。この都市を治めている者で、名前は『ガルダイア=フォン=フロンディーラ』だ」

「初めまして。ルカです」

「私からも。執事の『セナク』です」


 やっぱり執事だった!


「自己紹介も終わった事だし、早速本題に入ろうと思うが良いか?」

「うん」

「手紙も読んだし、前々から頼まれた事でもあるから、ルカを引き受けるつもりだ」

「ありがとうございます」


 その後、契約縁組の書類を俺の前に置き、契約縁組とは、どういう事なのかを、10歳でも分かる言葉を選び教えてくれた。

 簡単に言えば、契約縁組とは、血の繋がらない人物を家族として迎い入れ正式に扱う事を示す契約モノだが、この契約縁組だと、全ての相続権を最初から放棄した内容となっている。

 因みに、これが「継承縁組」だと、全ての相続権を有する事になるが、まあ、外部からの縁組な為に最下位扱いになる。


 ……余っ程心配だったんだろうなぁ。


 前世を思い出す前の「おれ」は草食系の坊やだったからな。


「分かったかな?」

「うん」

「それは良かった。では名前を……」

「待ってください」

「どうした?」

「その契約縁組、お断りします」

「……何故だい?」


 気の良い近所のおじさんから、上位貴族の辺境伯の顔になったな。

 俺も、猫を被るのは止めよう。


「……俺は、14歳の成人を迎えれば、自立しようと思っているから必要無い」

「本気か?」

「ああ。冒険者ギルドで登録して冒険者として生きていこうと思っている」


 それに、俺宛ての手紙も有って読んだ内容から、かなり危険な匂いがした。

 そんな事に、巻き込む訳にはいかない以上は、書類上は完全な家族になる「契約縁組」を受ける訳にはいかないよな。


「前も洗いますね」


厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点とブックマークをお願いします。

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