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それは出来ない!

こ、これぐらいは……良いよね?

 

「……誰だ?」

「失礼いたしました。

 私『ゼリーマ=アンカ=カゴランダ』です」

「カゴランダ?」

「はい。都市カゴランダの領主であるカゴランダ伯爵の三女です」

「そうですか」


 テンプレ来たー!

 異世界系ラノベのテンプレイベントを実体験出来たのは嬉しいよ。

 でもな、既に両手に花なんで、この手の「ハーレム系」は、勘弁して欲しい。


「どうかされましたか?」

「いえ、大丈夫です」

「それは良かったです。では、是非お礼がしたいので招待したいのですが、よろしいでしょうか?」


 これがゲームなら2択だよな。

【分かりました】か【遠慮します】だな。

 しかし、2択だろうが実質は1択だ!

 断っても最終的には、彼女の「乙女の涙」まで使って俺から「諾」を奪いにくるだろう。

 だから……


「分かりました」

「それは良かったです」


 因みに、舞やリナは聞く耳を立てながらで、リンは黙々と、俺が仕留めたフォレストウルフの片付けをしている。

 因みに、向こうが仕留めたフォレストウルフは23匹だ。

 決して、護衛が無能って訳じゃなかった。


 カッポカッポと馬車で移動し、領主の娘権限で貴族用の門から簡単な目視だけで通過の許可が出て、先に冒険者ギルドに寄った。

 理由は、護衛の彼らにはマジックバッグ系を持っていなかったし、護衛の依頼が終了だからだ。 

 まあ、そんな訳で、俺達のマジックバッグ等を羨ましそうに見ていた。

 そして、彼らとは此処でお別れだ。


しばらくは、居るんだろ?」

「その予定だ」

「それなら、命の恩人に飯を奢らせてくれ」

「……分かった。それなら、無駄使いせずにしっかり貯金しろよ」


 俺がそう言うと笑顔で言った。


「……ああ、貯めておくさ」

「またな」

「ああ、またな」


 勿論、俺達も仕留めたフォレストウルフを冒険者ギルドに出して、事情を伝えて報酬等の受け取りは明日以降となった。


 ……領主館に到着すると、馬車を預けて案内された応接室で待っていると、ゼリーマと領主らしきダンディなおじ様と執事らしき老人が入って来た。


「初めまして。この都市の領主『ゲードム=アンカ=カゴランダ』伯爵だ」

「執事のトツキです」


 この後、俺達の自己紹介が終わると、お礼の話が始まった。


「先ずは、娘を助けてくれて、父親として感謝する。そして、娘の命の恩人のお礼としては少ないかもしれないが、受け取って欲しい」


 そう言うと、執事トツキが、硬質な「カチャ」と鳴らす小袋を俺の前に置く。


「金貨10枚入っている」

「頂きます」


 俺は中身を確かめずに懐に仕舞うが、中身が金貨10枚以上の重みを感じるから、口止め料込みだな。


「勿論、お礼を渡して終わりという訳にはいかない。是非、今日だけでも良いから泊まって欲しい。料理長が腕を奮ってご馳走したいそうだ」

「分かった」


 貴族のこの手の誘いを断ると、後でどんな事を言ってくるか分からないからな。

 そして、この後は軽い雑談をして俺達は客室に案内されたが、それぞれが1人部屋だった。

 まあ3人共、俺の部屋に集まったけどな。


「対応は普通だったね、ルカ」

「そうだな、舞」

「てっきりテンプレイベントが発生するかと、ドキドキしたよ」

「そうだな……ってマイ!」


 舞は、ノーマルだった筈だ!?


「部屋に入る度にチェックしてました。テヘペロ」

「……全く」

「えへへへ……」

「ルカ~」


 半眼ジト眼のリナから、クレームが入った。


「悪い、リナ。これからどうする?」

「そうね。勧誘されたら、丁寧に断るぐらいじゃないかな」

「それぐらいだよな」


 此処で、舞からインターセプトが入る。


「そうだね。でも、異世界系ラノベの所謂いわゆる『親方! 空から女の子が!』的なボーイミーツガールが本当にあるなんてびっくりだよ」

「そうだよな~」


 この後は、舞達とボードゲームに興じたが、先程の舞との会話を理解出来なかったリナとリンは、可愛く首をかしげていた。


 途中、ゼリーマも乱入しボードゲームで盛り上がったが、ゼリーマから爆弾を投下された。


「是非、私の事を『ゼーレ』って呼んで」

「「それは出来ない!」」

「え!? 何故なの?」


 ネタを知る俺と舞が、即座にハモって拒絶してしまったが、どう言い訳しようか。


「あ、あのね、ゼリーマ」

「何、マイ」

「実は……ね。私の故郷に『ゼーレ』って名前の凄く有名なおじさんが居るの。だから……」

「そ、そうなんだ。だから、その名前だと、そのおじさんを思い浮かべてしまうんだ」

「……分かったわ」

「私からの提案だけど『ゼラ』はどうかな?」

「……ゼラ……良いわね!」

「良かったわ。これからは『ゼラ』って呼ぶね」


 遊○王で……まあ、黙っとうか、一応は天使族系もあるしな。


 部屋に来たメイドから「夕食の準備が出来ました」と言われて、そのままメイドの案内で食堂に向かった。


 食堂に到着すると、ホスト側、つまり、カゴランダ伯爵側が何人か座っていた。

 俺達が席に着くと自己紹介されたが、当主の右側に第1夫人「リーツエル」が、左側には次期伯爵の嫡男で名前が「カージル」で、更にその左側には「カージル」の婚約者である「マリンピア」だ。

 そして……


「し、真実の愛を知った!」




厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点とブックマークをお願いします。

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