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……アウトー!

奴隷でなくても変わらない頭の固さ。

 

 あ、そういえば!


「自己紹介がまだだったな。俺はルカだ」

「私の名前は『リン』です」

「よろしくなリン」

「はい、ルカ様」

「様は付けなくていいよ」

「いいえ。従者として仕えるのですから『様』を付けるのは当然です!」

「……分かった。但し、俺は冒険者だ。

 だから、冒険者に従者は可笑しいから、冒険者仲間として扱うからな。仕えるというのなら、この指示に従って貰う」

「分かりました、ルカ様」


 そう言うと、従者らしく片膝を着いた姿勢から立ち上がった。


「ルカ様。雑用等は、このリンに全てをお任せください」

「全てを任す気は無いが、ある程度は頼む」

「はい!」


 とりあえず、盗賊共から押収した中から、リンが着られそうな服等を適当に数点出して、リンに選ばせて着て貰った。

 リンと盗賊共のアジトから出ると、土属性魔法でアジトを潰すと、リンと一緒に舞達の所に戻る。

 道中で、リンのこれまでで、俺に話せる部分を聞く。


「……と、いう訳です」

「そうか」


 内容は、リンは黒猫人族という稀少種だ。

 それ故に密猟団に見つかってしまい、村を襲われ、散り散りに逃げた事で、村の状態も分からず、家族達の行方も分からないらしい。

 因みに、リンは村長の唯一の娘だ。


「お帰り、ルカ……誰!?」

「盗賊共のアジトで囚われていた黒猫人族の『リン』だ。彼女の強い希望で仲間となり一緒に旅する事になった」

「初めまして。マイだよ」

「初めまして。リナよ」

「初めまして、リンです。ルカ様に助けられて生涯お仕えする事になりました!」


 リンの頬を淡いながらも赤く染めたこの返答に、俺に向く舞とリナから放たれる冷たい銀の煌めきが、俺の首と胸で輝く。


「「どういう事かな、ルカ」」


 こういうのを、笑顔だけど目が笑っていないと言うんだろうな。


 ……マジで怖いわ!


 俺は必死に説明して、30分以上掛かったが何とか説得出来た。


 馬車での移動を再開するのだが、俺が御者となり、舞達3人は馬車の中で女子会をしている。


「町に到着したら色々と買いに行こうね」

「いえ、従者の私には……」

「ダメよ。従者なら尚更だわ。主と決めた人に恥を掻かせる事になるわ」

「リナは貴族令嬢だから、その辺りは厳しいわよ」

「え、貴族様ですか!?」

「気にしなくても良いわよ。今は冒険者なんだから」

「じゃあ、ルカ様やマイも……」

「ううん。ルカは貴族籍に入っているけど、私と同じ平民よ」

「……3人の関係は?」

「「婚約者よ」」

「婚約者……ですか?」

「そうだよ」

「そうよ」


 野営で一泊して、町に到着するまで、舞達の女子会は続いたみたいだ。

 目的地の町「ナールヤ」に到着した俺達は門番に良い宿屋を紹介して貰い、その宿屋「宿り木」に部屋の空きが有ったから俺達で取り、夕食までにまだ時間が有るからリンの日常品や装備品を買うついでに散策する事にした。


 日常品を買い、次はリンの装備品を買う事にした。

 リンは、動き易さを重点に置く狩人タイプで二刀流の短刀使いだ。

 更に、魔法も少々使えて、氷と闇属性の使い手だ。


 俺は、リンの意見を尊重して装備品を調えたが、何故かリンが、普段着をメイド服に固執した。

 舞やリナが説得しようとも、頑として首を縦に振らず、結局、リンの服はメイド服となった。


「……良いわ。そこまで固執するなら、私が立派な侍女にしてあげるわ!」

「リナ。メイドから侍女に変わっているわよ」

「私が教える以上は、メイド止まりにはさせないわ。国王陛下の前に出しても恥ずかしくない教育をしてあげるわ!」

「……リナが燃えているよ」

「……る、ルカ様」


 何かに気付いたリンが顔を青くして、震える手を俺に向けた。


「……自業自得な部分もある。頑張れ」

「……はい」


 リナの中の「何か」のスイッチが入って、高笑いの「おーほほほ」が聞こえる気がした。


 こうして、リンには冒険者の旅と平行して侍女教育をする事になった。


 翌日、リンの冒険者登録をする為に冒険者ギルドに行ったのだが、テンプレが発生した。

 冒険者登録を始めようって時に……


「ちょっと待ちな。いつから、此処はガキの保育所になったんだ」


 ……無視しよう。


「それじゃあ、登録をお願いします」


「おい!」


「リン。読み書きは?」

「大丈夫です」


「話を聞けや!」


「それなら、書ける所だけ書いてください」

「はい」


「聞こえているのか!」


「はい。これでリン様の冒険者登録と、クラン『星屑スターダスト』のパーティー『星屑スターダストアイズ』の加入が終了です」


「……」


「受付嬢さん」

「はい、何でしょうか?」


 こういう事態すら日常茶飯事なのか、受付嬢は冷静に対応している。


「冒険者同士のいさかいは、何処までギルドとして対応する?」

「ギルドとしては、死者が出た場合か、周りの被害が著しい場合です。そうでない場合は静観します」

「どうも」


「……ろす」


 静かになったと思ったら、何か言っているな。


「……ぶっ殺す!」


 殺意の確認。

 凶器である剣を抜いた。


 ……アウトー!


「死ねぇ!」

「ルカ様!」

「ほい」

「ぎ…ぶびら……」


 舞とリナの息の合ったコンビネーションで沈黙した犯罪者であった。

 因みに、舞が薙刀の石突きで相手の剣を握る右腕をしたたかに叩いて剣を手放させ、その隙にリナが、鞘付きの剣の腹で相手の右側の顔を強く打ち付けた。


「「ふん!」」



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点とブックマークをお願いします。

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