生涯?
作者の作品の境界を超えたキャラが登場!
魔法とポーションに因る強制回復と、ガル義兄やゼルさんの指導で、実力をかなり伸ばしていく舞達だが、最終目的が魔王討伐なのは変わりない。
しかし、全員が同じパーティーなのは効率が悪いという事で2つに分けられた。
先ずは、冒険者ギルドでパーティー結成の手続きをする。
俺と舞とリナの「星屑の眼」で、恵梨香と聖良や岸野とギルの「星屑の翼」となり、クランを結成してクラン名を「星屑」にした。
装備は、あの時に討伐した赤牙虎や、周辺の森から狩ったモンスターを素材にした。
装備は、俺は黒系で、舞は青系で、リナは赤系で、恵梨香は紫系で、岸野は緑系で、聖良は白系で、ギルが橙系で、岸野とギルだけは、上から鎧系の装備だ。
移動手段も、それぞれに魔改造済みの馬車をプレゼントされた。
流石は辺境伯と侯爵だ。
財力が違う!
馬車の性能は破格で、飾り板とかで隠しているが、スプリング等のバネ付きで、車輪には耐久性抜群のゴムみたいなモンスターの皮を使っている。
馬車本体には、トレントを資材にして生半可な物理攻撃や魔法攻撃に対して傷が付かない程になっている。
それに、結界石が標準装備している為に、夜中に盗賊共やモンスターに襲われる可能性がかなり低くなっている。
更に内部も、鳥系モンスターの羽毛等を使用したクッションを敷き詰められていて、快適さも重視している。
尚、ガル義兄達が既にやらかしている為に、馬車の奥には一見すると武器収納場所みたいな扉があるが、その扉を開けると2階建ての玄関口と繋がっている。
建物の中は、2階は10人分のトイレと風呂付きの1人部屋に、2人用のトイレと風呂付きの客室が2つに、1階には4人部屋が2つに、6人は同時に使える風呂場に、12人用のダイニングキッチンがある。
空間拡張に指定転移等……チートだよな。
……2世がダメな理由が分かるよ。
後は、全員にお外用の個室トイレを貰ったが、これには舞達女性陣は喜んだ。
当然、簡易結界付きで、空気洗浄付きの遮音魔法完備だ。
そんな訳で、二手に分かれて魔王討伐を目的とした武者修業の旅が始まった訳だ。
そして俺達は、この世界には神々が実在するから験担ぎで、教会で旅の無事を祈っていたら、この場に居ない筈の声が俺達に聞こえた。
『貴方達の無事を祈り、祝福を与えましょう』
どうやら、あの時の女神様からの贈り物みたいだ。
女神様からの祝福を素直に頂き、出発した。
「またな」
「ええ、またね」
ガラガラガラガラ……と、のんびりと俺達は馬車で移動中なのだが、御者席には俺達3人共に座っている。
そして、俺の左右に座っている舞とリナは俺の肩を枕にして眠っている。
……誰か、イケメンな対応を教えてくれ!
言い忘れていたが、馬車を引く馬は、Aランクモンスターの「黒曜馬」だ。
ガル義兄達の現役の頃の愛馬の子供で、恵梨香達の方の馬も同じだ。
……さて、俺の肩が舞達の枕になってから30分後に、俺の眼の前では舞達相手に少量の流血で済んではいるが、阿鼻叫喚な地獄絵図が展開されている。
理由は、俺達の馬車を盗賊共が囲い、まだ寝ていた舞達を起こし、思いっ切り舞達を煽り揶揄ったからだ。
舞は……
「私、涎を垂らしていたかなぁ?」
「……いいえ!」
「そうだよねぇ~?」
リナは……
「私、腕に巻き付いて胸を押し付けて無かったわよねぇ?」
「はい、押し付けていません!」
「そうよねぇ~?」
舞達の素敵な笑顔のお陰で、盗賊共のアジトが分かり、向かっている俺と留守番をする舞達と分かれた。
舞side
「この事は、乙女として皆には内緒よ」
「分かっているわ、マイ」
私とリナは、固い握手を交わして誓いあった。
ルカside
1人、森の中を移動すると、盗賊共が見張りをする洞窟を発見した。
「アレがアジトだな」
雷撃弾で、次々に盗賊共を沈黙させる。
全て沈黙させると、盗賊共の首級と装備品や現金に、商人達から強奪した金銀財宝を回収して、囚われた人が居ないか探索する。
……居たよ!
外見は、黒髪の少女で……って頭に獣耳だ!
つまり、あの少女は獣人族か!?
因みに、この世界の獣人族の外見上の特長が、獣耳と尻尾ぐらいだ。
まあ、竜人族とかは、肩とか額とか鎖骨の下辺りに若干だが「鱗」がある。
「ふっ……」
何処かの天才美少女魔導師の自称保護者の剣士を真似て、黒髪獣人族の少女を閉じ込めている牢屋の鋼鉄製の閂を呼吸1つと共に一閃する。
……カラン!
「……誰?」
鋼鉄製の閂が落ちた音で目を覚ました黒髪獣人族の少女は誰何した。
「盗賊共は全て始末した。君は自由だ」
「……そうですか」
「とりあえず、牢屋の閂は壊したから牢屋から出ないか?」
「……分かりました」
黒髪獣人族の少女が牢屋から出ると言った。
「ちょっと魔法を掛けても良いか?」
「……どんな魔法ですか?」
当然だが、牢屋から出られたとしても、彼女から見たら、敵か味方か分からない俺に対して警戒を解いていない。
「ちょっと、身体を綺麗にする魔法だよ」
「……お願いします」
「分かった」
俺は、無詠唱で完全回復を掛けると、続けて洗浄を掛ける。
「はい、綺麗になった」
「……え!?」
綺麗になった両目を開けた彼女は驚いた。
「み、見える!? あいつらに潰された左目が見えるわ! ……引き千切られた尻尾まで!?」
うん。
潰されて酷い傷跡を残していた左目と、引き千切られて不自然な状態だった尻尾を綺麗にした。
「ありがとうございます!」
「気にするな」
「そういう訳にはいきません!
この御恩は命を賭けてお返しします!」
「いや、そんなに……」
「お願いします!」
……本気みたいだな。
「……分かった」
「ありがとうございます! 私は貴方の忠実な従者として生涯仕えさせて頂きます」
「生涯?」
「はい!」
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