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乙女の柔肌に傷を残したらダメだからね~

オークは美味いのですが、オーガは……

 

 俺は、改めて舞達を見る。


 ……大丈夫そうだな。


「覚悟は出来たんだな?」

「勿論よ」

「頑張る~」

「当然ですわ!」


 俺はマジックバッグから取り出したと見せ掛けて「倉庫」から初心者用の長剣を3本取り出した。

 それを舞達に1本ずつ渡す。

 初めて、人を殺した凶器を持ち続けるのは精神的に辛いだろうからな。

 ついでに、土属性魔法で高さ2m縦横も2mの、中には床に穴付き個室を少し離れた所に3つ用意した。


「「「……」」」


 意味を理解して沈黙していたが、舞達は立ち直ったみたいだ。


「……私からいくわ!」

「舞。私達が居るからね」

「そうだよ、舞~」

「ありがとう。聖良に恵梨香」


 ……1時間後、胃の中を空にした美少女3人が茫然自失みたいになっていた。

 勿論、役目を果たした3つの個室は魔法で潰して、更に上から土を大量に被せて封印した。

 そして、ある程度の、気持ち的に余裕が出来た辺りで飲料水を渡す。


「はい、水だ」

「ありがとう、ルーカス」

「ルーカス、ありがとう~」

「ありがとう、ルーカスさん」


 因みに、お持ち帰りされた女性3人は、普通に残った盗賊共を刺殺して、親分と6人の盗賊共の首級しゅきゅうと装備等を残して、後は穴に埋めて全て焼却した。


 俺達は、一旦リナが待つ拠点に行き、舞達をリナに預けて、俺はお持ち帰りされた女性3人を学園側の本部に行き、事情説明をして預かって貰った。

 学園側は、実習中止を言ってきたが、既に盗賊共は処理したからと、実習を続行させた。

 そして、俺は舞達やリナが待つ拠点に戻るのだが、途中でワイルドボアを仕留めて血抜き等の処理をして、舞達の土産にした。


 ……まあ、課題は明日でも出来るしな。


 舞達も、同年代の同性であるリナと話す事に因って落ち着いたみたいだ。


「ただいま」

「ルカ、お帰りなさい」

「お帰りなさい、ルーカス」

「ルーカス、お帰り~」

「お帰りなさい、ルーカスさん」

「はい、お土産のワイルドボアな」

「助かったわ、ルカ」

「今日の晩飯は俺が用意するから、マイ達はリナと過ごしてくれ」

「ありがとう、ルーカス」

「ルーカス、ありがとう~」

「ありがとう、ルーカスさん」


 ……しかし、学園の郊外実習で盗賊共とエンカウントするとは思ってもいなかったな。

 夕食の準備が終わると、舞達に呼び掛けた。


「晩飯の準備が出来たぞー」

「待っていたわわよ、ルカ」

「良い匂いだわ」

「本当だ~」

「食欲が湧く良い匂いね」

「「「!?」」」


 俺は、仕留めたワイルドボアを切り身にせずに、毛皮を剥いで内臓を取り出して丸焼きにして、内臓は穴を開けて廃棄だ。

 丸焼きにした理由は、自分達は「何か」を犠牲にして生きている事を再認識して貰う為だ。


「……ありがとう、ルーカス」


 舞は気付いたみたいで、お礼を言われたが、舞に真っ直ぐに言われると照れるな。


「……! そういう事か~。ありがとう、ルーカス~」

「……ああ! ありがとう、ルーカスさん」


 恵梨香や聖良にも気付かれた。


「痛っ……」


 また、隣に来たリナに脇腹を抓られた。

 だから、何故?


 ……舞達は、辛い時に隣や後ろに俺達が居る事を実感して、かなり精神的に落ち着いたみたいだ。

 晩飯は、和気藹々と談笑しながら食べて就寝した。

 舞達が悪夢を見ないか心配したが、どうやら杞憂だったみたいで、見張り番を先にしていたリナが交代の時に教えてくれた。

 これなら、舞達自身や舞達の大切な「誰か」が、命を失う事は無いだろう。


 翌日、拠点を解体して、リナを加えた全員で森の中層を探索している。

 昨日は、想定外のイレギュラーが有ったが、後はオーガ辺りを狩ればノルマ達成だな。



 ……と、思っていた俺が悪いのか!?


 只今、そのオーガを食べているモンスターとエンカウントした。

 そのモンスターとは、本来なら森の奥の層に棲息している筈のモンスターなんだよな。

 因みに名前は「赤牙虎レッドファングタイガー」で、俺が以前狩った牙虎ファングタイガーの亜種で、冒険者ギルドではAランクに指定されたモンスターだ。

 俺達の額面的な立場通りなら、俺達が逃げ切れば人生最大の幸運で、それ以外は「バッドエンド」オンリーのモンスターだ。

 しかし、俺の実力は騎士見習いの学生じゃない。

 つまりは、俺の敵じゃない。


 しかし、オークなら分かるが、オーガは美味いのか?

 そんな事を思いながら、まだ向こうが気付いていないから、舞達と作戦会議を始めた。


「どうする?」

「人命優先で撤退」

「同じく~」

「同意見よ」

「残念ながら無理みたいよ。気付かれたわ」


 赤牙虎レッドファングタイガーが、オーガを喰らうのを止めて、俺達の方を向いて唸っていた。


「Gururu……」


 さて、どうしようか。


「ルーカスさん、どうすれば良いの?」

「今のマイ達の装備では、歯が立たないだろうから、防御……いや、回避に専念して欲しい」

「私は戦うわよ」

「「舞!」」

「私は前衛だから、強敵との戦闘が出来ないといけないわ」

「危険過ぎるわ!」

「大丈夫よ。私達にはルーカスとリーナシアが仲間に居るんだから」

「舞~」

「何、恵梨香」

「乙女の柔肌に傷を残したらダメだからね~」

「分かったわ、恵梨香」


 此処で、リナが前に出た。


「マイ、本当に良いのね?」

「勿論よ!」

「分かったわ」

「それなら、マイは大きく周り、赤牙虎レッドファングタイガーの後方に移動して回避に重点を置きながら、慎重に様子をみながら攻撃をして、意識を逸らしてくれ」

「分かったわ」

「俺とリナは正面に行き、赤牙虎レッドファングタイガーを狩る。

 エリカは、水系の攻撃魔法で、マイ同様に意識を逸らしながらセイラの護衛をして欲しい。

 セイラは、マイ達の回復に専念してくれ」

「任せて!」

「やるぞ~!」

「分かったわ!」



厳しくも温かいメッセージを待っています!

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