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それは違うよ、聖良~

自分の他の作品にも書きましたが、この作品でも作者なりの持論を書きました。

因みに、この持論はオーバー○ードの「聖王国編」を読む前からです。

 

 俺達の順番が来て出発したのだが、舞達が今日の為の予習をきちんとして来たお陰で、予定より早く目的地に到着した。

 道中の唯一のイベントと言えば、恵梨香が転けた事ぐらいだが、履いていたのがズボンでなければ、恵梨香からの「ルーカスのスケベー!」とか言われながら、俺の顔には「紅葉」が付いていただろうな。

 そして、その時、俺は恵梨香の真後ろに居て、左右の脇腹をリナと舞がつねられたが、舞も、何故、俺を抓ったのか分からないみたいな顔をしていて、リナはドヤ顔だった。


 さて、目的地に到着すると、役割分担を決め野営の準備に取り掛かり終わると、直ぐに今回の課題に取り組む事にした。

 その課題とは、モンスターを3種類以上狩ってくる事だ。

 つまり、課題の内容として最低限、ホーンラビットに、フォレストスネークに、ボアを狩る必要がある。

 まあ、俺と舞が一緒に居る以上は、そんな成績など認めないけどな。

 実は、舞もこういう時は最高点を目指すタイプだから、狙う獲物は最低で「ゴブリン」となり、理想は「オーガ」となる。

 異世界学園モノのラノベに有りがちな、学園が事前に強いモンスターを冒険者を雇って駆逐しているってのが有るが、この学園もそれをやっている。

 しかし、その範囲は上層までだ。

 中層より奥は、それに含まれていない上に、学園側からは「中層より奥に行かないように」とは言われていない。


 ……もう、分かるよな?


「楽しみだなぁ。モンスターを仕留める事には慣れさせられたけど、実戦は初めてだからドキドキする」

「そうよね~。やっぱり『吐く』かな~?」

「恵梨香、吐く事が楽しみなの?」

「うん」

「……え!?」


 あ、ちょっと聖良が引いた。


「だって、私達はこの『異世界』で、生きていかないといけないのよ。

 つまり、日本みたいな綺麗で過保護な世界とは違って、嫌な事も自分達で全てやらないといけない時が来るわ。

 だから、吐く事で、この異世界という現実で生きていく事を改めて実感する必要が有るからよ」

「……なる程ね。確かに、王城や学園で生活しているだけだと、異世界という現実で生きている実感が沸かないわね」

「そういう事~」


 そうなんだよなぁ。

 臭い、汚い、痛い等を経験をしないと、意外と実感って沸かないものだ。

 楽しい事だけだと、乙女ゲームのヒロイン役に転生したが、その世界がゲームに似ているだけの現実の異世界だと自覚出来ずに、最後は「断罪」され「ざまぁ」されるまで気付かないヒロインに転生した日本人……なんて事になるからな。


 そんな訳で、留守番役のリナを残して、俺や舞達は中層へと侵入した。

 この世界の上層や中層等の区別は意外と簡単だ。

 上層は、日差しが射し込む見渡しの良い「林」で、中層が日差しが射し込むが人が管理していない「森」で、深層は日差しが射し込まない自然な「森」となる。

 そして、それ以上の奥の事を人は「魔境」と呼ぶ。

 だから、舞達の実力なら中層までなら協力し合えば問題は無い。


「あ! フォレストウルフが5匹~」


 探知系を使い、個数を恵梨香が教えると……


「分かったわ。ルーカス、2匹お願い。私も2匹担当するわ」

「分かった」

「聖良、私達で残り1匹やるよ~」

「任せて!」


 舞は特注の「薙刀」を使い、あっさりと2匹のフォレストウルフの首切りをやり遂げ、恵梨香と聖良は、恵梨香が闇属性の束縛系魔法を使い拘束すると、聖良が拘束されたフォレストウルフの首に短剣を突き刺す。


 ……俺?


 俺は、オリジナル魔法の「雷撃弾ライトニングバレット」で、眉間撃ちで終わらせた。

 因みに、恵梨香は舞達の中で1番最初に、この異世界に順応して、既に自然で生きているモンスター相手の「最初」を経験済みだ。

 だから、本人的には早めに「盗賊」相手に、もう1つの「初めて」を「卒業」したいらしい。

 そして、これで聖良も自然で生きているモンスター相手の「初めて」を経験した。

 だから……


「……覚悟を決めていれば、何とかなるわね」

「「聖良!」」

「ちょっと!?」


 舞と恵梨香が涙目笑顔で聖良に抱き着いた。


「良かった」

「そうだよ~」

「当たり前よ! 舞も恵梨香も出来る事を、私が出来ないままなんて我慢出来る訳ないじゃない」

「分かっていたけど……」

「ねぇ~」

「……もう」


 学園側が貸し出した専用のマジックバッグに狩ったモンスターを仕舞うと舞が言った。


「気を引き締めましょう! ここは日本じゃないのだから」

「うん」

「ええ」


 ……この気配は!


 再び捜索を再開した舞達だが、ある意味でテンプレを超えたテンプレが発生した。


「動くな! 動いたら、この女の命は無えぞ! この女が殺されたくなければ武器を捨てろ!」


 ……移動中の盗賊共とエンカウントした!


 最初は6匹のモンスターかと思って待ち構えていた舞達だが、出たのは「仕事・・」が終わってアジトへの帰宅中の盗賊共だった。

 舞達がフリーズ中に、盗賊共は「お持ち帰り」をしていた女性を肉壁兼人質要員にした。

 そして、先程の台詞セリフだ。


 さて、どうしようか。

 中層で移動していたという事は、中堅以上の盗賊共となる。

 今の舞達には、ちょっと重いだろう。


 そんな事を考えていると、聖良だけが武器の短剣を捨てた。

 でも、舞と恵梨香は、手に持つ武器を盗賊共に対して構えたままだ。


「お前らも武器を捨てろ!」

「舞!? それに恵梨香!?」

「聖良、武器を捨てたらダメよ」

「そうだよ、聖良~」

「でも、そうしないと人質の女性が……」

「それは違うよ、聖良~」

「聖良は何故、悪人の言葉を信じるの?」

「……え!?」



厳しくも温かいメッセージを待っています!

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