流石は、剣と魔法の世界よね~
信じてください!
言われた通りにしたつもりなんです!
「同郷の者から、同郷での最高刑を聞いたという体で、頭髪と眉毛を全て剃って、1日に2時間は王都の色々な場所で、犯罪内容を書いた看板を立てて、罵倒と石投げの刑にして、それ以外は徒労系の刑罰に、1週間に2回の拷問を死ぬ手前までやらせる」
「処刑じゃなくて?」
「処刑だと、一瞬で終わるだろ?」
「……確かにそうね」
その後、舞達は同郷としてのケジメとして2週間の謹慎を自ら課した。
2週間の謹慎が解けると、学園の清掃ボランティアを、これも2週間自ら課す事で、舞達は、ただ同郷なだけだと学園の生徒達が理解した。
……まあ、ルナデューク侯爵達の影をチラつかせたけどな。
因みに、岸野は父親の英才教育のお陰でクラスからは巻き込まれただけと認識されているみたいだ。
そして、不安材料が無い状態で学園生活が再開された。
「ルーカス、リーナシア。私達の為に頑張ってくれてありがとう」
「気にするな」
「でも……」
「いいから!」
「……分かったわ」
……10日後に、日課の晒し刑で地下牢から王都に出た裕哉が行方不明になり、同行していた騎士3人が殺されていた。
「どういう事だ!」
「1人で充分なのを万が一さえ無い様に3人に増員したのだぞ!」
「目下、捜索中です」
当然、論争の中心は、馬鹿の逃亡ではなく、騎士3人の殺害犯の行方だ。
俺も一応は参加しているが、ほぼ意味が無いと判断して、次回からは参加を見送り、舞達との学園生活を優先させた。
後、今回の件は舞達に伝えてある。
「おはよう、マイ。それにエリカ、セイラ、ヒジリ」
「おはよう。ルーカスにリーナシア」
「おはよう。マイ、皆さん」
「リーナシア、おはよう~」
さて、この王立学園は、何処ぞの賢者の孫が通う学園の様に、貴族であろうとも魔法を使え熟さなければならないと考えられており、それなりに施設もカリキュラムも充実している。
それ故に試験も厳しいのだが、まさか、俺が彼と同じ様な事を言われるとは思ってもみなかった。
「次は、ルーカスか。……ルーカス」
「はい」
「ルーカスは、魔法の威力を意識的に極限まで抑える様に」
「はぁ……」
本当に小指を動かすぐらいの力で……
バチバチ!
……行け!
「無詠唱!?」
「しかも、第3位階魔法の雷球!?」
バチ……バシーン!
爆風が来るから、魔法障壁を張っておこう。
「「「「「え!?」」」」」
……ゴウ!
俺が放った雷球は、目標の「的」を瞬時に炭に変え、残った威力が爆風となって周囲に拡散された。
収まると……
「魔法障壁で守った事は純粋に感謝するが、それなら何故、威力を抑えなかった?」
「え? 言われた通り、意識的に極限まで威力を抑えました」
「……アレで?」
「はい」
「……試験を再開する」
スルーされた!?
試験も終わり、昼食の時間になったから、舞達と食堂に行く事になった。
全員の昼食の準備が出来て席に座り、食事が始まると、先程の魔法試験の話題で盛り上がった。
「ルーカスの魔法、凄かったよね」
「本当だよ~」
「確かに凄かったわ」
「本当だよな」
「そうか」
「まあ、当然よね」
「どういう事、リーナシア」
「ルーカスに魔法を教えたのは、救国の英雄達ですもの」
「救国の英雄達?」
「ええ。魔法だけじゃなく全てをですわ。
英雄ガルダイア、剣聖ゼルサヒィル、聖女ブランカ、導師アーロン、守護神ファルゴの5人が、ルカの先生なのよ」
まるで自分の事の様にガル義兄達の活躍を話した。
「流石は、剣と魔法の世界よね~」
「そうだよね」
「そうですわね」
「凄ーな」
こんな感じで日常を過ごして、約半年後の今日は、2年生最後の試験が二泊三日のサバイバル実習だ。
要するに、生徒達に「冒険者みたいに森の中で生き抜きましょう」が試験内容な訳だ。
当然、俺達のメンバーは、俺、リナ、舞、恵梨香、聖良だ。
残念ながら岸野は、今、Bランククラスの為に同じメンバーになれなかった。
それについては、特に恵梨香が残念そうだったから、そういう事か?
学園から支給されるマジックバッグには、サバイバルに必要な物資が人数分入っている。
それと、個人的に持ち込む物資は自由だが、護衛等の人員は許可されていない。
まあ、これを許可したらサバイバル実習の意味が無いもんな。
因みに例外が、テイマーとサモナーのモンスター等だ。
これを禁止するのは、戦士に武器を使うな、魔法使いに魔法を使うな、と同じになるから当然だよな。
……参加者にテイマーもサモナーも居ないけどな。
そんな訳で、俺の異空間収納、通称「倉庫」には、色々と万が一を考えて放り込んであって、これだけ準備していれば大丈夫だろうと「倉庫」に入れたリスト表を見ていたら、ガル義兄がヒョイと取り上げ、一言……
「RPG系のラスボス戦前の準備だな」
「ガル義兄!」
「しかも、万能治療薬が8本も入っているじゃねえか」
「万が一を考えたら当たり前だろ」
「蒼真の『万が一』は、中坊の校外実習にRPG系のラスボスが強襲するのか?」
「万が一ってのは、そういうモンだろ?」
「……そうだけどな」
そんな一幕が、昨日の出来事だ。
「それでは、郊外実習を開始する!」
Dランククラスは、森の浅い場所に行き、Aランククラスは、森の中層手前が目的地になるのだが、舞達は楽しそうな空気を出していた。
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