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言う事はそれだけか?

堕ちる時は、早いもんです。

 

 ホームルームと最初の授業も終わり、次の授業のあいだの小休止で馬鹿が現れた。


「何故だ?」

「いいから変われ! どうせ、貴様の父親は精々子爵位ぐらいだろうからな。

 伯爵家嫡男のボクこそが相応しい!」

「この世話係は、畏れ多くも国王陛下がお決めになった事だ。俺の一存では変更する事は出来ない」

「財務省に勤めている父に言って、貴様の父親を潰すぞ」

「ザレグーラ様、学園の規則を破るつもりですか?」

「何を言っている。たかが学園の規則だろうが! そんなも……」

「学園の規則をお決めになったのは、当時の国王陛下ですが?」


 このリナの台詞セリフで、この会話を聞いていた者達全員が凍り付いた。


「な!?」

「この事は、私の父ルナデューク侯爵を通じて国王陛下にご報告したいと思います」

「ルナデューク侯爵だと!?」

「改めて自己紹介させて頂きますわ。

 私、ルナデューク侯爵が三女リーナシア=クロス=ルナデュークですの。

 短い間かと思いますが、お見知り置きを」

「……」


 この王立学園は実力主義制だが、ソレは学科や実技だけじゃなく、内面的な部分も含まれる。

 親の爵位を使っての相手本人への脅迫で1アウトで、また親の爵位を使っての相手の家族への脅迫で2アウトで、学園の創立が当時の王族に因る「王立・・」である事を無視した事で3アウトで、少なくともAランクのクラスから退場だな。


 この後は、馬鹿な行動に移す者が居なくなり、比較的・・・に平和に今日が終わった。


 ……実は、今日の魔法の実技の時間にな、マイの相手の女子生徒が風魔法の制御に失敗して咄嗟に俺が助けたのだが、その時に服がめくれて舞の「下乳」が……

 舞も気付いて顔だけじゃなく耳まで赤くしていたが、助けようとした結果の事故という事で許してくれた。

 その代わりに、リナに脇腹をつねられたけど。


 そんな可愛らしいイベントが発生していたが、Cランクのクラスでは早くも問題が勃発していた。

 裕哉には、自分の称号は言わない様に忠告していたにも関わらず、今日、堂々と「ボクは勇者の称号を持っている!」と宣言しやがった。

 あいつ、昔からそういう所があったが、此処は日本ではなく異世界だぞ!

 因みに、岸野は言っていない。

 父親が父親だから、そういった「守秘義務」的な事は、保育園の頃から徹底的に教えられていたから周りに問い正されても言わなかったみたいだ。


「どうする、ルカ君」

「ゼルさん、もうしばらくは様子をみましょう。本当に称号が『勇者』だと判明するまでは、半分は妄言だと思われるだろうから」

「……そうだね」

「増長が続き、周りに被害が出る様なら、自身が背負う責任の重さに対して自覚無しと判断して、監禁だな」

「そうだね」


 あれから3ヶ月が経過したが、一応は裕哉の更生目的で色々と努力したが、全て無駄に終わり、遂には取り返しの付かない犠牲者を出してしまった。

 気付けば、裕哉が発生させた事件から日付けが変わっていた。



 ~回想~


「あの馬鹿! 3日前に最終警告を言ったばかりだぞ」

「気持ちは分かるけど、急ぎましょう」

「ああ」


 俺とリナが、報告を受けて現場に駆け付けると聞いていた以上の惨状だった。

 周りには、貴族や平民関係無しに大火傷等の重傷を負った生徒が多数が倒れていた。

 直ぐに、事前に用意していた治癒のポーションを間に合う生徒に使って、大火傷の負った生徒の様にポーションが必要な者が居なくなると、質問をした。


「……誰か、説明してくれ」


 現場に居合わせた女子生徒が説明してくれた。

 どうやら、何度目か数えるのも馬鹿馬鹿しい事だが、裕哉が「ボクは勇者様だ。お前らはボクに従えば良いんだ!」みたいな感じで、偉そうに「おい、ジュース買ってこい!」的な事を目に付いた男子生徒に言った所を、1人の女子生徒が「貴方みたいな人が勇者なんかじゃない!」と言った瞬間に、裕哉が「ボクは勇者だ!」と言って、その女子生徒に火属性魔法を放ち、大火傷を負ったのを皮切りに、裕哉は次々に火属性魔法を放ったと言う。


 ……最低最悪だ。


 あまりの内容に立ち竦んでいると、元凶の馬鹿ゆうやが言った。


「もっときちんと教育しろよ。ボクは復活する魔王から、この世界を救う『勇者様』なんだぞ。ボクを敬い命令に従えって言っておけよ」


 そう言って馬鹿ゆうやは、立ち去ろうとしたから呼び止めた。


「……待て」

「何だよ?」

「言う事はそれだけか?」

「……ん、そうだな。後は、何時、ボクに従順なメイドが付くんだ?」


 ……ブチン!


「この馬鹿が!」

「え……ぶべら……」


 俺は感情に任せ、左リバーブロウからの顔面への右ストレートをお見舞いし、仕上げとして馬鹿ゆうやの頭部に左回し蹴りを放つ。


 ……あれから、事後処理に走り回り、馬鹿ゆうやを奴隷に堕とし、遺族や被害を受けた家に手紙を送り、国王と王妃を前面に出しての謝罪をし、宰相に実務的な事後処理を丸投げして、やっと落ち着いた。

 地下牢では、未だに馬鹿ゆうやわめいているみたいだが知るか!



 ~回想終了~


「お疲れ様、ルカ」

「ありがとう、リナ」


 リナが、両手に持つジュースの1つを俺に渡した。


「アレ、どうするの?」



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点とブックマークをお願いします。


とある財務省に務める伯爵家での会話。

「バカモンが!」

「けばぁ……」

「お前は今まで、何を学んでいた!」

「……パパ!?」

「しかも、あのルーカス殿を脅すなど!」

「……パパ?」

「ルーカス殿の後ろには『あの方』が居るのだぞ!」

「でも、パパだって財務省では偉いんでしょ? それなら……」

「……この愚か者が!」

「ぐばぁ……」

「貴様にはもう愛想が尽きた。貴族籍を外し追放とする!」

「パパ!」

「早く、摘み出せ!」

「……こうなったのは全てあいつの所為だ。

何時か、復讐してやる!」


……と、いう一幕が有りましたが、追放後にスラム街の住人となり、劣悪な環境に半日で身体を壊し、裏の組織にパン2つで同じスラム街の住人に因って売られました。

その後は……知らね!



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