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私にも説明してくださるかしら?

商業ギルドは、伏魔殿です。

 


 最初は、邪鬼ロディアとの一戦の前後の感覚や身体の誤差を確認する為にレッドオルトロスからの攻撃を躱す事に専念したが、5段の有段者と5歳の女の子とするチャンバラごっこ並みの「差」が有った。

 次に、充分に警戒しながら敢えてレッドオルトロスからの爪の一撃を受けてみたが、傷を負うどころか、生後1週間の仔犬の甘噛み以下だった。

 スカウター的な表現だと、316対5ぐらい?


「こうなると、小指でのデコピンで爆散って事もあり得るな」

「Gurururu……」

「向こうの本音は素材依頼だから、物理は無理だな。

 そうなると……凍結魔氷棺ブリザードコフィン

「Ga……」


 約3分後に魔法を解き、死んだレッドオルトロスを「倉庫」に仕舞う。


「ルカ、ご苦労さまだね」

「ルカ、ご苦労さま」

「ご苦労さまなのじゃ!」

「それで、どうだったの?」

「マイには、こう言った方が分かり易いかな」

「?」

「スカウター的な数字で言うと少なくとも俺は300を超えている」

「本当なの!?」

「ああ。 見てただろ? レッドオルトロスの一撃が平気だったのを」

「確かに……」

「今後は、物理攻撃はマイやリナ達にお願いした方が良さそうだな」

「そうだね。 その方が良いよ」

「ルカ」

「あ、悪い」

「私にも説明してくださるかしら?」


 ちょっと不機嫌にリナが聞いてきた。


「リナに分かり易く言うと、レッドオルトロスの一撃が、Fランク冒険者以下と同じぐらいに感じた」


 この世界の実力差は、龍珠Zと同じ様な格差を生んでいて、圧倒的格下の攻撃では剣や槍であっても掠り傷1つ負わない場合が有る。


「そんなに!」

「ああ」

「それなら、確かにルカには普段から後衛に廻った方が良さそうね」

「そうだな」

「でも、問題じゃないわね」

「それもそうね」

「「私達、戦闘時は前衛なのだから!!」」


 こうして、俺達は皇都に戻り冒険者ギルドに到着すると、担当した受付嬢と一緒に解体場に行き、依頼達成の証拠であるレッドオルトロスを「倉庫」から出した。


「……ありがとうございます」

「依頼主からの突き上げがキツかった?」

「……はい」

「まあ、俺達からしたら、報酬額に色を付けてくれたら良いよ」

「はい!」


 あの後、依頼達成の手続きを済ませて報酬を受け取ったけど、本当に色を付けてくれた。


 そして、俺達は冒険者ギルドを後にして、適当な店の個室に入り、軽食を頂きながら今後の事を話し合った。


「これからどうする?」

「私としては帰った方が良いと思うよ」

「私は、折角だから皇都を中心にして冒険をしたいわね」

「ロゼは?」

「我が主の意思に従うのじゃ!」


 舞とリナが声を揃えて言った。


「「どっち?」」

「……マイに悪いが、遠い所まで来たんだから冒険がしたいな」

「むう。 分かったよ」


 俺達の基本方針が決まった所で、皇都で住む場所をどうするかも決めた。


 ……一戸建て住宅の購入だ!


 理由は、やっぱり皇城だと落ち着かないからだ。

 それに城に居ると何かしらの役職やしがらみが出来そうだしな。


 そんな訳で、皇城に戻りフー祖母ばあちゃんやリリーディア達に説明をして理解を得る。

 しかし、此処でリリーディアの伯母バカとフー祖母ちゃんの祖母バカを発揮して過剰な世話を焼こうとしたが、何とか家屋土地付きと家財の購入費全額負担で収まった。

 つまり、俺達から出る出費は無しとなったから、とりあえず、俺達は住む家の希望を言い話し合った。


 翌日、フー祖母ちゃんから購入費全額を皇家が負担する旨が書かれた書類を渡されて皇都の商業ギルドに向かった。


「……此処が商業ギルドか」

「当てにしているからな、リナ」

「任せて、ルカ」

「リナ、頼もしいわ!」

「失望させないわ」


 俺は心の何処かでは貴族として生きる事が無いと思っていたから、貴族的な腹黒な会話を覚える必要が無いと思っていた。

 そんな訳で、貴族的な腹黒な会話と同等の腹黒な会話をする商業ギルドには来たくなかったが、そんな訳にもいかず、貴族の社交界でそれなりに慣れているリナに任せる事にした。


「ようこそ、皇都の商業ギルドへ。

 今日はどのような用件でしょうか?」

「皇都で、土地付きの家屋を購入しに来たわ」

「……畏まりました。 では個室にご案内いたします」

「ええ」


 ……何か、今の一言二言でさえ、お互いの牽制を感じた。


 因みに、今日の俺達の外見だが、リナが持参していた貴族令嬢の衣装ドレスで、舞が侍女的な衣装で、俺は護衛風の衣装だ。

 と、言っても貴族の令嬢が直接買いに来る訳が無いから、それを見極める意味でも個室にしたのだろう。


 個室では、ソファにはリナだけが座り、俺と舞は後ろに立つ。

 流石は国は違えど生粋の侯爵令嬢のリナだ。

 見事なたたずまいだ。


「お待たせしました。 担当のザガルダでございます」

「……」

「それで、土地付き家屋の購入を考えていると聞いておりますが、何か希望はございますか?」

「そうね。 そちらからのお勧めは有るかしら?」

「勿論ですとも」


 そう言って出した「お勧め」は、全て貴族街か商業地区の一等地だった。



厳しくも温かいメッセージを待っています!

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