さあ、席に着いておくれ
症状に合わせて処置を変更するのは常識。
ルカside
舞達が、高難易度のダンジョンに向かっている頃、俺も門番に許可証を見せて禁足地に足を踏み入れた。
「入った瞬間から空気が違うな」
〘それは当然よ〙
虚空から狩人系の外見の女神が降臨した。
「初めまして。第99代目の御巫ルカだ」
〘私達は視ていたわ〙
「それなら……」
〘私達が出す試練を乗り越えたらね〙
「分かった。何をすれば良い」
「首飾りが欲しいから、中央に飾る宝玉を手に入れて欲しいのよ」
「分かったよ。何処で手に入れれば良い?」
〘専用の空間が有るから、そこで手に入れて欲しいわね〙
女神がそう言うと、2mぐらいの上下に長い楕円形の黒い鏡が現れた。
……まあ、姿は映さないけどな。
〘この中に有るわ〙
「分かった」
俺は迷う事も無く、黒い鏡に入っていくと、女神の言っていた空間に出たのだが、モンスターが溢れていて、その全ての眉間の辺りに宝玉が付いていた。
〘その中のどれか1つを持ち帰ってね。
それと、選ばれなかったモンスターを殺したらダメだから〙
「……結構キツい条件だな」
〘頑張ってね〙
「……やるか」
とりあえず、10m先のモンスターを倒して宝玉ゲットしても不合格だろうから、空間中を走り回って全てのモンスターの眉間に付いている宝玉を確かめた。
更に、隠れているモンスターの可能性を考えて、サーチ系をフル活用すると、それなりに居て、1つひとつを確認して、ゲーム的な隠れ要素が無い事を確認する。
そして、選ぶ段階になるのだが、貴族として生きていた記憶と知識が生きる。
どういう訳か、外見の姿がシルエットで、どうにか女性型で狩人の格好なのは分かる。
後は、両眼だけがカラーなんだよな。
悪く言えば、外見のイメージが名探偵コ〇ンの犯人のアレだ。
さて、女神の眼の色は「青」だ。
本命は「青」で、対抗が「赤」で、大穴が「白」だな。
……まあ、変に考え込まずにシンプルな答えとして「青」にしよう。
後は、最も鮮やで深い「青」を持っていて、見付けるのに1番キツかったリス系モンスターの君に決めた。
睡眠魔法で眠らせ、カリッとやれば宝玉は簡単に取れると、完全治癒を掛ける。
……選んだモンスターは、殺しても良いとは言ってなかったからな。
立ち上がると同時に、先程の黒い鏡を出現すると、迷う事なく入って現実の世界に帰還した。
〘合格~!〙
「良し!」
〘あ、その宝玉は試練の為だけの宝玉だからあげるね〙
「ありがとう」
「ルカは、最良の結果を出したから代価や代償は要らないわ。そして、女神の真名と権能は……」
……あれから1ヶ月が過ぎた。
「まさか、光神、火神、水神、風神、土神、雷神、戦神、魔法神と契約出来るとは思わなかったな」
まあ、俺の転生や、舞達の転移を担当した女神様の方が神格的には高いけどな。
それで、これだけの神々と契約した事で特典ボーナス的な御褒美が与えられた。
どんな御褒美かと言うと、動体視力等も含めた身体強化と各種耐性の強化だ。
後、ゲーム的な言い方になるけど、下位物理攻撃と下位魔法攻撃を無効化される。
まだ正確な境界線は調査中だが、戦闘の意識になった瞬間から発動する。
そうなると、普通の炎槍の直撃とかでも全く通じないし、直径2mの岩を上空50mから落として無防備に受けても無傷で、Cランクモンスターを一撃で斬り殺せる攻撃も、俺の肌には赤線すら無かった。
そんな訳で、俺は神々の協力の下、自身の身体操作と魔力操作の練度を上げている。
……あれから1週間後
城に戻り、フー祖母ちゃんとリリーディアさんが待つ部屋に行くと、先に来ていた舞達が居た。
「待っていたよ、ルカ」
「待っていたわ、ルカ」
「待っておりました、ルカ様」
「待っていたのじゃ、我が主よ!」
「お待たせ、皆」
舞達が、凄いレベルアップしているのが、見ただけで分かる。
俺の考えを読めたのか、舞達は「ふふん!」とドヤ顔だ。
「さあ、席に着いておくれ」
「分かった」
フー祖母ちゃんとリリーディアさんから現状の説明を受けたが、今の所は大丈夫らしい。
しかし、放置する訳にはいかない。
大丈夫というのは、まだ封印が解けていない事を意味しているからだ。
そして、今後の事を考えて1週間の休息を取る事になった。
俺は兎も角、舞達は1ヶ月以上ダンジョンに潜っていたから、休息は必要だ。
この1週間の間に、着替えと温泉でラッキースケベが2回有ったが、俺の守護霊はToL〇VEるの「リト」かラブ〇なの「景太郎」なのか!?
……あり得んレベルの事故で起こったぞ。
それと、休息と言っても、今後のするべき事のレクチャーは毎日受けて頭に叩き込んだ。
更に、儀式の準備を怠ける事はなく、通常の3倍の費用と人達を動員している。
例えると、コンビニで買い物するのに、財布に現金で200万用意する感じだ。
……そして、予想よりも早く完成した封水晶を使って儀式を前倒しに開始した。
因みに、作成者達は文字通り命を削って作成した為に、治癒のポーションと魔力回復のポーションで満たした混合風呂に入って絶対安静中だ。
後、回復したら、父親には娘から、母親には息子からの正座説教が待っている。
「封印の儀式を始める!」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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