ぬいぐるみの奇跡
童話祭初登投稿です。
「ママー、くまさん!サンタさんにくまさんのぬいぐるみもらったー」
僕は、階段の下にいるであろうママに大声でプレゼントの話をする。
「そっ、それは、良かったじゃない。大事にしてあげるのよ?」
しかし、その実、母は困っていた。
なぜなら、自分は今年、プレゼントを渡していないから。
夫婦で話し合い、サンタはただの迷信でプレゼントをあげていたのは自分たちなのだと教えると決めていた。
もちろん、プレゼントは用意していた。
そして、そのプレゼントはまだ、自分のバックの中にある。
「ママー、くまきちが立ったー!!」
そんな母の考えなんてよそに自分はもうぬいぐるみに名前まで決めてしまったようだ。
そんなことより
「立った?くまのぬいぐるみが?」
うーん、そういうおもちゃかしら?
そんなおもちゃ売ってなかったけど?
「くまのぬいぐるみじゃなくてくまきち、くまきちが言ってたんだ」
「ぬいぐるみが喋ったの?自分で?」
いつもなら、子供の戯言だと思うところだが、あいにく今回はそうもいかない。
「うん!たぶん僕がサンタさんに【ぬいぐるみのお友達】が欲しいって言ったからだよ」
ほら!と言いながらぬいぐるみと一緒に階段を降りてくる。
ぬいぐるみも、自分の短い足で器用に階段を降りていく。
本当に、そう願ったからだと言うのだろうか?
だが、実際にぬいぐるみが歩いているところを見るとありえないとは言えなくなってしまう。
だが、考えても仕方ないという結論が出た。
「ママ、僕くまきちと遊んでくる!」
そう言うと、すぐさま家を飛び出そうとする。
そこに待ったをかけ、レジャーコートを着せたり、
マフラーをかけたてあげたりしたあと送り出した。
2時間後、帰ってきた我が子と一緒にお昼ご飯を食べた。その後また、レジャーコートを着せて、送り出した。
次は、どろんこになって帰ってきた。
ぬいぐるみもどろんこだ。
二人は、一緒にお風呂に入った。
ぬいぐるみはお風呂を嫌っていたのでお風呂の上に桶を浮かしてやったらその上に乗ってくるくるとしていた。
そんなぬいぐるみをつんつんとつついたり、お風呂を
あがってから一緒に夜ごはんを食べたりした。
そして、二人を寝かしつける。
そしたら私も自分も布団に入りまぶたを閉じる。
ピピピッ、ピピピッ
目覚まし時計の音で目が覚める。
なぜ私は今日、こんな時間に目覚ましをかけたんだろう?
そう思い時計を見る
《12月25日:4時20分》
一度、過ごしたはずの時刻が目の前に映し出されていた。
ベットの横にプレゼントの袋が置いてある。
プレゼントを持ち、子供部屋に入る。
すやすやと幸せそうに眠る我が子を見ていると、もう少しこの笑顔を見てみたいと思う。
だから、何もないまくらの横にそっとくまのぬいぐるみを置いた。
もしかしたら、あの夢は、サンタさんが私にくれた
奇跡だったのかもしれない。
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