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第46話 狐の嘆き

盟友を失い、狐は自らの弱さに打ちのめされる…


…あぁ、何故盟友は自分を連れて行ってくれなかったのか、何故自分は盟友を引き留められなかったのか…


…狐は後悔し、嘆く…せめて、“一緒に死にたかった”と…

「何故…妾を残して死んだッ!!」


妖狐はヴェスタの襟を掴むと、襖ヘ向けて投げ飛ばし、追撃するようにして妖術を発動。炎の槍を射出する。


ヴェスタはすぐに起き上がり、背中の聖剣を抜いて迫りくる炎の槍を斬り伏せる。そこへ、妖狐が急接近し、炎の槍を振り下ろすと同時にヴェスタは聖剣で受け、鍔迫り合いになる。


「何故じゃッ!?何故妾を魔王城へ連れて行かなかったッ!!」


「それは…くっ」


妖狐から発せられた疑問に、ヴェスタが何と言えばいいか戸惑っている隙をついて、妖狐の回し蹴りが、ヴェスタの脇腹を打ち付け、庭園の巨木ヘ吹き飛ばされる。


「盟友がついて来いといえば、妾は何も言わずついて行ったッ!!お主に一緒に死んでくれと言われれば、妾は喜んで死んだッ!!何故ッ…何故じゃッ!!何故妾を一人残して死んだのじゃッ!!」


「そんなの…友達を巻き込めるわけないでしょッ!!」


ヴェスタの中で、何かがプチッと切れ…妖狐が振るった槍を躱し、その頬へ向けて全力で殴る。途中で障壁が展開されたが、それすらも穿ち、一撃を入れた。


「くぅ…なら、大切な友が死地へ行くのを黙って見ていろと言うのかッ!!」


「くぅ…っ」


ヴェスタの容赦のない一撃を頬に受けて尚、意識を手放さずに、頭突きを入れる。その一撃は無視できないもので、うめき声が漏れる。


「…私は…友達に…誰にも死んでほしくないから、一人で行ったのッ!!誰も失いたくなかったから…ッ!!」


「ぐはぁっ…」


聖剣の柄を妖狐の腹に思いっきり突く。その威力に、妖狐は身体がふらふらと数歩下がるが…すぐに身体に力を入れ直し、決して折れない。


「死んで、欲しくない…じゃと?お前が…お前がそれを言うなァッ!!」


「がはっ…」


さっきのお返しとばかりに、妖狐はヴェスタの腹に拳を振るう。聖剣でガードしたが、衝撃波が聖剣を通り抜け、ヴェスタを打ち捉える。


「お前が妾に死んで欲しくないように…妾だって、お前には…お前にだけは死んで欲しくなかったのにッ!!」


「ッ…」


その言葉に、ヴェスタは言葉を詰まらせる。


「お前に分かるのかッ!?妾がどれだけ悲しかったかッ辛かったかッ孤独だったかッ!!何度お前を引き留められなかった自分を呪ったかッ!!」


「…」


何も言えない…いや、言い返す言葉が見つからないといったほうが正しいのだろう、ヴェスタは反論も、反撃もせず、ただ“徐々に弱る”攻撃を受け止める。


「お前を引き留められないのなら、お前が死ぬのを止められないのなら…せめて…」


「…」


ヴェスタはやっと理解した…ここで言い返したり、反撃をする事はきっと正しくない…だって…


「…せめて、“一緒に死にたかった”…」


…だって、こんな気持ちにさせてしまったのは、自分のせいなのだから


「ひっぐ…うぅ…」


「ごめん、ごめんね…」


妖狐は、ヴェスタを抱きしめ、瞳に涙を浮かべながら、ただ泣いていた…



Q:妖狐は結局、何をして欲しかったの?


A:妖狐が求めていたのは、再会を喜ぶ言葉でも、言い訳でもないんです…ただ、一言。自分を置いて勝手に死んでしまった事を、“謝って”欲しかったんです。

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