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第42話 観測する者
『もきゅもきゅ…』
『ほら、もう焼けたよ?』
『はふはふ…♪』
京の都の中心部に建てられた城の中で、狐の尻尾を揺らしながら、水晶に映るミーシャと鈴を見ている者がいた。
「ほう…“勇者の亡霊”と会ったのか…これも運命かの?」
その狐獣人の女性は、一瞬懐かしそうな、嬉しそうな顔をして…すぐにいつもの無表情に戻る。
「あ奴が来ておるなら…いや、よい…」
女性は言葉を飲み込み、水晶をまた覗き込む。
「全く…妾の娘ながら、幼い頃の妾に似ておるの…」
焼いた肉を口一杯に頬張っている、自身の娘に苦笑いを浮かべながら…聖剣の新たな所有者である猫獣人の少女に目を向ける。
「中々どうして、面白い奴じゃのう…ん?鈴、お主…」
女性は自身の娘の心を読み…口端を釣り上げる。
「さて…“狐火”」
その言葉と同時に、女性の背後に狐の面を被った狐獣人が3人現れる。
「鈴を連れ戻してくれるかの?」
「「「畏まりました」」」
まるで空間に溶け込むように消えたのを確認して、女性は笑う。
「鈴、妾はお主の為なら悪役になってやろうぞ…」
女性の尻尾は、大きく揺れていた…




