第20話 元勇者の実力
元勇者のヴェスタちゃんが戦います!!
『起きてください、マスター』
日が昇ったばかりの朝方、私はヴェスタの声に起こされました。
「んぅ…どうしたの?」
『どうにも胸騒ぎがして…私のスキル〈第六感〉が働いているのだと思います…ですので、マスターの〈魔力探知〉で探って欲しいのです』
ほへぇ、確かそんなスキルあったね…私はヴェスタの言うとおり村の周囲に使用すると、村の入口に向かって来る集団を捉えました。数はざっと30人程でしょうか。それと同時に、櫓から鐘を打つ音が響き渡ります。これは…
『恐らく、盗賊の集団ですね。しかしマスターならば問題は…マスター?』
「ん?どうしたの?」
『いえ、お顔が少し青いと思いまして…もしかして、人を殺した事がないのですか?』
「うん、まだ無いかな…少し怖い」
『…なら、私に任せてくれませんか?』
「え?どうやって?」
『私のスキルに、〈憑依〉があります。こんなスキル、生前は持っていなかったのですが…職業が英霊に変化したことで手に入れたのでしょう』
私は少し悩んだけど、ここはヴェスタに甘える事にした。
「じゃあお願い…頑張ってね」
『はい、必ずや勝利を収めましょう』
…そうして、私の意識はここで途切れた。
盗賊視点〜
「おら、お前ら急げ!昼前には終わらせるぞ!!」
俺はそう言って声を上げる。
「情報じゃあ、昼過ぎ辺りにはここに到着するらしいしな」
「早く酒飲みてぇ〜」
そんな会話をしていると、村の入口から一人のフード深く被った少女がこっちに向かって来る。顔はよく見えないが、口元辺りが見えるくらい…今、笑った?
「ホーリージャベリン」
そう気付いた時、少女はこちらへ手をかざして、光の槍を飛ばして来た。
ヴェスタ視点〜
「まずは一人」
私はそう呟いて〈身体強化〉を発動。一番近くに居る一人へ一気に突っ込む。そして、仲間がいきなり殺られて呆然としている一人の首をはねる…やはり元の体より小さいと少し戦いにくいです。
「なッ!?コイツ…」
「…」
そう言って振り上げた、鉈を持つ腕を私は振り向きざまに斬り飛ばし、脇腹に蹴りを入れてやるとバキバキッと肋骨を砕いた感触が返ってくる。
「ファイヤーボールッ!!」
「…」
そこに迫る火球に対し、左足を軸にして体を回転させて回避、更にその方向へホーリージャベリンを撃ち込み、息の根を止める。
「アーススパイクッ!!」
「はッ!!」
地面から大量の土杭が迫ってきますが、右足に〈身体強化〉を集中させて一気に踏み込んだ。その衝撃によって杭を破壊する。
「魔法はこうやって使うのだ、アースインパクト」
踏み込んだ右足に再度〈身体強化〉を集中し、深くめり込んだ足を思いっきり蹴っ飛ばす。その衝撃波は地面を抉って土魔法使いともう何人かを巻き添えに吹き飛ばした。魔法ではありませんが、魔王もこういう「あれは魔法ではない…」プレイしてましたね…
「ウオオッ!!」
「…遅い」
低姿勢で大斧を持って突っ込んで来た盗賊。盗賊はその大斧を振り上げますが私は軽く避け、勢い余って通り過ぎた所を聖剣によって首を斬り落とします。
「…もう面倒です。消えなさい」
私は盗賊の弱さに失望したため息をついて、聖剣に白い光を纏わせる。
「ホワイト・アウト」
その言葉と同時に聖剣から白い光の奔流が溢れ出す。私は聖剣を盗賊へ横薙ぎに一線した。光の奔流は盗賊達を飲み込み、地面を削りながら全ての存在を否定するかのように何もかもを葬り去った。
「はぁ、盗賊に期待し過ぎましたか…」
後に残ったのは、ヴェスタが倒した数人の亡骸とまるで切り取られたかのような地面。
…そして、退屈そうな顔をした“金髪蒼眼”の少女だけだった。
ヴェスタちゃんは元勇者だけあって、この世界では最強の部類に入ります。
ミーシャちゃん…白髪に琥珀色の瞳
ヴェスタちゃん…金髪に青い瞳




