第14話 倒しました!
「ハァ…ハァ…」
あれから何分経ったのでしょうか…?私の前には大きな血溜まりと何頭ものオークの死骸が転がっています。もうこれで終わりだとありがたいのですが…それを否定するようにズシン、ズシンとこちらへ向かってくる足音が1つ。
暫くして現れたのは、今までの個体より更に大きなオークが現れました。ウォータージェットで楽に倒したいところですが、水の上級魔法であるウォータージェットは魔力を込めれば込める程威力が上がる魔法なので、魔力が心もとない今、それを使うのは自殺行為です。
「…というか、もうベールクベリーのストックも殆ど無いし、剣で戦いますか」
私は残り数個となったベールクベリーを口に運び、インベントリから石剣を片手で取り出します。オークもこちらに気付いたのか、はたまた仲間を殺された怒りからか雄叫びを上げてこちらに突撃してきました。
私はすぐに〈身体強化〉を発動し、迫りくる棍棒をオークの懐に潜る事で回避して、棍棒を握っている腕へ斬りつけます。そしてすぐさまオークの脂でギトギトになった石剣を捨てバックステップで離れます。それからは、首を斬りつけては剣を捨てて離れを繰り返しました。
「ブギャーッ!?」
「これで…最後ッ!!」
私は振り抜かれた棍棒を大ジャンプで回避し、空中で回転を加えた石剣の一撃でオークの首を斬りとばしました。
「うぅ…」
そこで集中が切れてしまい、右腕の激痛が襲います。そして、私は意識を手放しました。
女冒険者視点〜
それは、あまりに現実離れした光景だった。
小さな少女が、自らよりも大きい格上の相手を前にして優位に戦っていたのだ。
オークが振り降ろした棍棒をタイミング良く回避し、カウンターを入れる。しかも、決まって棍棒を持つ腕か急所の首を確実に狙っていた。
彼女は、普通なら恐怖し竦んでしまう相手を前にして怯えず、かと言って慌てるでもなく…冷静に、確実に相手を削っていった。
その姿を美しいと思うが、同時に狂気を感じる。
最後の止めをさす瞬間…彼女は嬉しそうに口を緩ませていた。
彼女が倒れてしまった後、私はギルドの診療所に預けてすぐにギルドへオークが現れたことを話してギルドと冒険者総出で事にあたった。
私は、あの幼子を初めは守る対象に見ていたが、評価を改めよう。
…彼女は“本当の”冒険者であると。
…恐怖を捨て、恐れを捨て、戦いの中で楽しさという狂気を見出したなら、貴方は“本当の”冒険者になる素質があります。
それらを捨てきれず、狂気を見出せなければ、D、Eランクで細々と狩人のように生きていく方が貴方にとってそれが幸せの筈です。
:ギルド本部、グランドマスター




