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1.麓の村①

リハビリ再開。

さくさく更新したいのですが、なかなか。。。

気長な方のみ、お付き合いくださいませ。


 てくてくてく。

 ててくててく。


 独りぼっちで歩く俺。

 場所は異世界の森の中ーー冒険だぜ?異世界転生だぜ!?魔法だぜ!?

 3歳児イエーイ!!


 ・・・なんちゃって。


 じゃなくてぇぇぇ!

 ぶっちゃけ、どうすんだ俺ぇぇぇ!!

 身体は楽になり、追手もとりあえずいなくなって、目的地の村に向かえばいいーーんだけど、そんな単純じゃあないのさっ。


 とにかくコワイ、不安、寂しい、どうすればいい!

 ほんとうに村にたどり着けるのか心配!!!

 うぉぉぉぉ!


 父親の精霊リンに、助けられたが結局放置された影響なのか、肉体損傷MAXから精神ぶるぶるMAXに絶賛チェンジ中。


 そして、視界が霞む生理現象。


「うっ・・・ううっ」

 とうとう横隔膜がひっくり返り、我慢できず漏れた嗚咽。


 ヤバイ。

 身体は子供で心は大人ーーなんてどっかの探偵みたいに格好良くはなれない俺は、3歳児の身体に負けて、盛大に叫び声を上げる。


「・・・・うわーんっ・・・とうしゃんっ、かぁしゃまっっっ」

 そのまま闇雲に走り出した!


 母親の手下から逃げる時は、冷静な『俺』が岩や窪みに隠れながら、危険をやり過ごして山を下っていたのに、危険がなくなった途端(といっても魔獣や魔物がうじゃうじゃいる山なのだが)シオンの幼さがあふれ出して止まらない。


 結果、暴走してすぐに踊り出た先はーー意外にも開けた場所だった。土を掘った溝の向こうに木の柵が3重に張り巡らされた場所だった。

 遠くに小屋らしき物が見える。

(えっ・・・村!?ーー近っ!)


 思った以上にあっけなくたどり着いた、人の住処のような場所。

 俺はまばたきを繰り返し、涙を振り払うと、溝にそって少し走る。

 すると感じる人の声と気配。


 やった!やったぜ、村にたどり着いたんだ!

「うぉぉぉぉ!」

 嬉しくて嬉しくて、俺は3歳児シオンらしく、幼児の雄叫びを上げながら木柵が途切れた門のような場所の前に立つ、二人の村人の方へ駆け寄ろうとした。


 だが次の瞬間、向けられたのは痛そうな槍の切っ先と殺気。


(殺気!?)

 俺はなけなしの危険感知能力を発揮して、慌てて立ち止まった。


「ゴブリンだっ!ゴブリンの襲撃だっ」

「へっ?」

 ごぶりん???

 疑問を浮かべた瞬間ーー!


 グサッ!

 右足のすぐ横に、矢が突き刺さっていたーーいや、今、突き刺さったんだ。ゾッ!


(な、な、なんでーっ?!危ないだろぉぉぉ!)

 パニクる俺の前に、門にいた村人の会話が聞こえてくる。

「ちいせぇゴブリンだな」

「1匹だけか?」

「気配はねぇみたいだ」

「迷いゴブリンか」

「さっさと始末しろよ」

「ああ」


 えっ、ゴブリンーーってゲームの定番で、初期経験値稼ぐにはちょうどいい魔物で、そんでもって女をさらって種付けするっていう嫌われ者。。。。俺と違うよね?だって俺、人間だもん。

 って、刀抜いてこっち来ないで、怖いよおっさん!!


「大人しく始末されろ」

「あわわわっ」


 フリーズしていた身体を急いで動かす。

 なんで俺!?

 俺がゴブリン!?


 いいいいい、いや違うよっ?かわいいシオンくんは人間ですっっ。


 手をわちゃわちゃ動かすも、言葉が出ない。


 いや、マジ!?俺、ここでゲームオーバー?

 そんなぁ~切られる?痛い?痛いよね?さっき赤いジュースを撒き散らしたけど、なんていうか、勢いで追いかけられて痛めつけられるのと、村人に斬られて死んじゃうのとでは、心の構えが違うというかーーってか、俺、ゴブリンだったの!?

 確かに、あの母親は角とか眼とかめちゃくちゃおかしかったけど、父親は普通の人間に見えましたっ。でももしゴブリンなのに、村や都に行けって言ったのだとしたら、とうしゃん!!それはあまりに無謀ぉぉぉ。


 腕を捕まれ、鈍い剣の刃が間近に向けられる恐怖。

「ーーん?」

「・・・うっ」

 反射的に目をつぶる。

「えっ」

「たすけてぇ、とおしゃん!!」

 そして秘技、シオン爆裂。


 俺は暴れて泣いて喚いてーーそして我慢できずにお漏らししました。。。何を?それはヒミツです。はは。


 結果、人間のお子様だとようやく気づいていただけたのです。

 はい、結果オーライ。。。



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