隠れオタクと盗み聞き
二人が出会うまでもう少しお待ちを
なに勝手に夏休み女子と遊ぶ約束してんだよ!
悠太達の話を盗み聞きしていた私は自分勝手にもイライラしていた。別に悠太が誰と遊ぼうと彼女でもない私が止める権利なんてないのだけど.....
まず、勉強をするために集まるので一概に遊びでもないのだが。
それにしてもだ!私というヒロインがいながら異性と遊ぶなんて!
身勝手な怒りがなかなかおさまらない。私はこんなに重い女だったか?
そんなことを考えたがこれまでなにかといいように人生が進んでいる私は自分の気になっている人が他の女と遊ぶのがどうしても許せなかった。
「幼なじみなんてラノベでは負けフラグなのに.....」
まず、もう夏美には彼氏がいるので負けフラグもなにもないのだが......
「なに言ってるの?」
また声に出てしまっていたらしい
「紗良、顔色も悪いし、気分悪い?大丈夫?」
そう声をかけてくれるのは私と仲がいい友達の足立香菜だ。
彼女とは一年生の頃同じクラスになって優しい人柄にひかれてよく行動を共にするようになった。
身長は私より少し低い。女子の中でも低い方だ。ツヤツヤと綺麗な黒髪はポニーテールでまとめられている。
彼女の性格は面倒見の良いお姉ちゃんみたいな性格でいつも何かしら頼ってしまう。
「いや、大丈夫だよ。少しテストの点悪くてイライラしちゃって」
これは嘘、テストの点はだいたいいつも通り。
「そっかぁ〜紗良可愛いし運動もできるのに勉強はそんなに得意じゃないよね」
部活が忙しい中時間があればオタ活をしているので、テストの点はあまり良くない。現実はラノベのように可愛いヒロインはなんでもできるわけではないのだ。
「香菜、勉強教えてくれたのにごめんね」
「いいよいいよ、夏休みも終わったらすぐ課題テストあるからしっかりしなよ」
基本的に真面目な香菜はテスト前など私の家庭教師をしてくれる。いつもなにかと気にかけてもらっていて香菜には頭が上がらない。
「わかってるよー。でもでも、ないと思うけどもし夏休み勉強やばくなったら助けてね?いや、ないと思うんだけどね!?」
「はいはい、しょうがないなー」
よし!これで夏休みもオタ活に専念できる。
友達を利用して最低なことをしている自覚はあるが香菜の優しさについ甘えてしまうのだ。
そんな話をしていたらいつの間にか悠太への怒りはおさまっていた。
私は悠太のことが完全に頭から離れテストの解説を淡々をしている教師の声に耳を傾けらのであった。
実際は全く聞いていないのだが、恵と話している時にチラッと目があってしまい。なんとなく落ち着かないので一応聞くふりをしている。
彼女がその後3分もせずに眠りつき。教師からの雷を食らうのはまた別の話。
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