隠れオタクとオタク
ラノベのラブコメのような恋愛を求めている私には気になっている男子がいる。
同じクラスで斜め後ろの席の佐藤悠太だ。彼はクラスではみんなから完全にオタクだと認識されている。だが、少し長めの前髪はいかにもラノベの主人公感を醸し出しているし、実際顔はかっこいいの部類に入ると思っている。身長は160センチ後半くらい?程よく筋肉もついていて私との身長差も10センチくらいと丁度いい!
休み時間はいつもラノベを読んでいるけど、授業中はきちんと聞いているようだし、プリントの回す時などにまたに見える彼の顔は凛々しくてクールなイメージを抱かせる。
部活で陸上をしている彼のことはテニスコートからまたに見えるが、意外と速いらしくリレーのメンバーでもあると聞いた。
ラノベの主人公が現実ではスポーツもできて顔もいいなんて、最高だ絶対に私のものにしてみせる。
とは言うものの、彼は基本的にラノベを読んでいるため話しかけに行けないどうしたらいいんだろう......
テストの返却の時、さりげなく人気アニメのネタをぶっ込んでみたが、彼はピクッと反応はしたもののやはり話には入ってこなかった。
「失敗だったかー」
「ん?どうしたの紗良」
どうやら、最後だけ声に出てしまっていたらしい。
「ううん、なんでもないよ」
「そっか」
そんな話をしていたら珍しく彼のところに人が来ていた。二人の会話に耳を傾ける。
「なぁ、悠太ぁ〜、ノート写させてくれよー。今日提出だから今から急がないといけないんだよー。この前宿題見せてやっただろぉ〜」
「そうだなぁ〜、この前の借りもあるし。だが、断る!!!」
「ブハッ」
「紗良どうしたの?大丈夫?」
「あぁ、ごめん大丈夫だよ。突然世界の作画が変わって見えてさ」
「ん?なに言ってるの?」
「あぁ、いやなんでもないの!」
危なかった。突然のキメ顔と聞いたことのあるセリフに思わず吹き出してしまった。
こんなくだらないことでオタクがバレてはヒロインになる夢が叶わなくなってしまう。これから気をつけないと。
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