オタクの日常
「はぁ、」
そうため息を漏らしたのは、俺…佐藤悠太どこにでもいる高校2年の男子だ。
俺にはどうしても体験してみたいことがある………
それは!現実でもラノベのラブコメのようなキャッキャウフフみたいな恋愛がしてみたい!
もうここまででわかる通り俺は陽キャじゃない。そしてごく普通の思考回路もしていないだろう。
それは自覚している。しかしどうしても望んでしまう。
なぜってそれは…俺が自他共に認める生粋のオタクだからだ!!!
俺は休み時間になると自分で持参したラノベをただひたすら読みまくる。当然誰も寄り付かない。
だが!俺はラブコメを読めば読むほど現実のでの恋愛を欲してしまう。この負の連鎖によってただ悶々としながら毎日を過ごし、あっという間に高校2年生の夏休み前まで時が経っているのである。
まずなぜ俺がここまでオタクになったか遡ると………
中学3年の時、部活も引退して俺は受験勉強の合間の時間をどうやったらいい具合に時間が潰せるかを考えていた。流石に大事な受験勉強の時にゲームをするのは気が引けてしまったので軽い気持ちで友達が読んでいる一冊のラノベを借りて読んだ。
そしたらどうだ俺の世界は一変した。
これまで漫画やアニメは普通に見ていたし興味もあった。だが、ラノベの文字を読み進めながら自分の頭の中でイメージをして話を進める快感に俺はたった一冊で虜になった。
それからというもの受験勉強なんてそっちのけでラノベを読み漁り、その影響で漫画、アニメにも火がつき、3ヶ月もすれば周りからオタクだと思われる程度には俺は出来上がってしまっていた。
受験は年が明けてから死ぬ気で勉強をして、なんとか志望していた高校に受かった。
そして時は戻り今現在……放課後の部活が終わり家に帰っている。
ラノベのような展開を望むのであれば、俺は帰宅部でないといけなかったのだろう。だが、現実はそうはいかない自分の叶うわけのない理想のために中学からやっていた陸上を辞めるわけにはいかなかった。
「はぁ、」
そしてまた、今日何度目かのため息を漏らすのであった。