爆破事件
<イポニヤ民主共和国・トクオ>
旧北海道・本州で構成されているイポニヤ民主共和国。主な公用語はロシア語。4年前にロシアでクーデターが起き、連邦崩壊した事によって占領軍が撤退し、やがて独立した。
人口総計9千600万人以上でロシア系やウクライナ系が7割占める多民族及び移民国家である。東南アジア系やアフリカ系もかなりの数だが、後から入植してきたばかりなのでロシア系・ウクライナ系程ではない。
純日本人、特に大和民族は三度目の大戦争の直前に国土への核攻撃を受けたことにより、大半が死に絶え、略奪や殺し合いもした上で占領軍に虐殺された。現在は旧北海道も含め総計100人程度しか生存しておらず、9割以上が中高年であり、若者は極僅かで1割以下しか存在していない。
国名は東スラヴ系の人々がが付け、ロシア語で〝日本〟を意味し、ロシアでの発音はЯпонияである。政治は人民主義、所謂〝ポピュリズム〟で、左翼よりの思想であるがマルクス主義や毛沢東型共産主義とは違う。
戦後からの復興から4年経つが国の治安は悪く、1か月に25件近くの殺人が起きるなど、未だに回復できていない。また、沿岸部では海賊等の武装集団による犯罪行為も多発している。
首都はトクオ、旧東京都。
総人口1480万人以上で複数の高層ビルやマンションが佇む大都会である。この都市も治安は悪いが他の地域よりかは良い傾向である。高層建築物が佇む中、他の物とは異なる建造物がある。
人民保安庁である。
テロを含む重大犯罪や周辺国等の諸外国による諜報への対策などを行う治安・対諜報及び防諜機関であり、略称〝ЯдБ〟で、英語読みだと〝IDB〟。
「うっし・・・!今日も張り切って仕事すっぞ」
コウキは志し、保安庁に入る。
コウキ・ニラカワ、人民保安庁テロ対策部抑止制圧隊隊員で階級は准尉。サイボーグの人間で頭から首以外は機械である。臓器も人工であり、唯一そのままなのは、心臓と肺だけである。
胃も残っているのだがほとんど改造されてあり、青酸カリウムのような毒物でも少量ならば平気である。
ヘアスタイルはほぼ黒色のオールバックであり、眉毛が若干薄めで目は真っ直ぐに細めの一重でかなり三白眼という、強面と言って良い程のかなり人相悪く、悪人面である。
顔と姓名の通り、純日本人である為、日本名では〝新羅川康煕〟と表記する。
「よぉう」
「おう、キム」
振り返ると、コウキよりも少し大柄の男が来た。
アキカズ・キム、同じく抑止制圧隊隊員でコウキの同僚である。スキンヘッドで顎鬚が多少生えており、コウキ以上にに眉毛が薄めで目は真っ直ぐに細めで白目がかなり多く虹彩小さいという、完全に強面である。朝鮮及び韓国系5世。
「奴らの事なんだがよぉ」
「おう」
「殆どの戦闘員が多国籍らしいぜ」
「多国籍?マジか」
「ああ、テュルク系だインド系だクルド系だの・・・様々な人種及び民族どもが集結して所謂〝傭兵〟だっつートコだな。ま、おらぁ個人的にゃどーだっていーんだがな」
デギは詳しく説明したものの無関心そうに呟く。
「よぉっ!二人とも」
「おう」
二人とも同時に返答した。振り返ると身長はコウキとキムの中間ぐらいの大きさだった。
ログドーキン・ドルバダン、愛称はログド。人相はさほど悪くはないが、少し強面である。蒙古系。
「どーよ?今日の調子はよぉー」
「いつも通りだが?」
「おー、そっかぁー」
「おらぁビチグソ10回したけどなー」
「なぁにが10回だオマエ。絶対嘘だ、ったくよ」
「まあ、ギミュもジョークつもりだしいいじゃねぇか」
キムのいい加減な発言にコウキが突っ込むものの、ログドは宥める。
「あ!三人ともー!」
(うわ、来たぁ・・・)
走って来たのは茶髪の若干ポニテの美女だった。
ローラ、三人より一つ下の後輩である。一見すると美女だが彼女には秘密があるのである。
「三人で何話してたんスか?」
「ああ、アレだ。以前、コンビナートで謎の戦闘部隊と交戦した日あったろ?その話だ」
「あー、ありましたね。でなんかわかったんスか?」
「多国籍から雇われたらしい、それだけだ」
「へー」
ローラは軽快に返答した。
<日本共和国・福冈>
旧四国・九州で構成されている日本共和国。主な公用語は中国語。旧北海道・本州がイポニヤとして独立した翌年、中国でクーデター事件が起き、共産党崩壊した上占領軍・人民解放軍が撤退した事により独立。
人口総計5千700万人以上で中国系、朝鮮系が7割占めるイポニヤ同様の移民国家。純日本人は10人程度しか存在しない。議会制民主であるが独立後に右派政党が政権を取り、国家主義に近い体制になってしまった。その為、排外主義政策による、人種・民族差別等が横行しだすようになり、現在は宗教迫害さえ起こるようになった。治安は旧北海道・本州以上に悪く、1か月に30件以上の殺人・強姦が起きており、治安当局も殆ど対処しきれない状態である。とある発電所内で所長と職員等3人が電力システムを管理していた。
「やばいっスねこれ・・・」
「ああ、電力が著しく低下してる。このままだとなぁ・・・」
「なんとか他の所と連携して電力を上げるとか出来ないすかね?」
「バカを言うんじゃないよキミ、それどれだけの費用かかると思っているんだ?」
「所長の言う通りだぞオメー、もっとアタマ使えこの無能がよぉ」
「言っとくがキミもだよ、聾君」
「あ、はい。さーせん」
所長が同僚に罵声浴びせた聾も止渇した。
「了君は何してるの?トイレ行ったけど。だいぶん時間長引いてるよ」
「ウンコっしょどーせアイツ。毎回毎回、腹壊してんスから・・・あ、戻ってきました。」
「遅いよキミ今何分だと思っているんだ50分だよ50分!」
「あ、はい・・・さーせんでした・・・」
「頼むからね・・・ンとに・・・」
長いこと大便してた了は所長に叱られるハメになった。
「あのー、所長————―」
「ンだおい所長は今忙しいの」
「あのコレ、所長に」
そう言われて聾は中型の段ボールの箱を渡された。
「何だい?それ」
「知らないっすよなんか所長にですって」
葬は台に箱を置いた。
「ふーん」
「開けないんスか?」
「仮に開けたとしても、中身が例のアレだとするじゃない。だからわざわざ開けたりしないんだ俺は」
「・・・いやいや!調べた方がいいですよ!機械音とかあったりするかもしないですしし・・・ん?」
「どした」
「いや、何か聞きなれない音するんだよ」
聾も箱に耳を当て、中の音を聞きいた。そして
ドオオオオオオンと爆発した。
❖❖❖❖
廊下を歩き、抑止制圧隊隊長アレキサンドラ・ペトレンコとトウカ・ピャクが会話していた。
「先日、隣国の大日本国の発電所で爆破テロが発生した」
「本当ですか!?隊長」
「ああ、恐らく時限式の爆弾で磁場によって起爆するタイプだ。今頃徘徊型兵器のご時世に・・・」
「・・・その時、磁場は発生したのでしょうか」
「そこまではわからん。今のところは」
ぺトレンコの発言に、トウカははぁとうなずく。
「何しろファシズム同然の国だ。対外情報庁が工作員を送り込まんと不明のままだ」
ぺトレンコとトウカはそのまま作戦会議へ向かうのであった。
遅れてさーせんでした。