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プロローグ4

 そんなアオイの背中に、メイは一対の白い翼を見る。


「アオイ、それは……」


 メイに言われて、アオイが自分の背中を見る。


「なるほど、女神様はちょっと優しすぎますね」


 そこにあったのは実体を持たない光の集合体。女神による加護。

 神に仇なせるほどの力は与えられないけども、せめて生き残れるようにと、女神が読心術と共に勝手にアオイに授けた奇跡。

 誰かを殺すのではなく、しかし殺されるのでもない。

 誰も傷つけられない代わりに誰からも傷つけられない。

 そんな、天使の加護。


「ん、」

「あ、起きましたか?」


 膝枕から頭を起こし、マインがすぐ近くのアオイの目を覗く。


「私はどうすればいいの?」


 どうすれば良かった、なんて言葉は過去を見返せる余裕のある人生の持ち主だけ。そんな人生を歩めていないマインは、悲しみに向き合っても、前しか見れない。


「(過去を後悔できることは、幸せだったんですね)」


 後悔しないように生きろ。

 それは後悔できるだけの幸せがあって初めて言える言葉だ。

 後悔できないくらい、追い詰められた生き物は、幸せなんて感じられない。


「あなたは、何がしたいですか?」

「私は」


 悲しみに向き合い、子供らしい口調を取り戻したマイン。だが


「生きたい」


 その口から溢れる言葉は、決して子供の発していい言葉ではない。


「生きたい、ですか」


 9歳くらいの小さな少女の、たった1つの望みが生存すること。その事にメイは、涙しない。その程度で、揺らぐほど彼女の覚悟は軽くない。


「いいですね。一緒に旅をしましょう」

「魔王を殺す旅?」

「いえ、帰る場所を探す旅に」


 帰る場所の無い世界に飛ばされたアオイと帰る場所を滅ぼされたマインの1つの家を探す旅。


「うん、良さそう。行こ」


 だが、そんなシリアスで少し悲しい雰囲気をぶち壊す魔獣の咆哮が


「ぐううううううううううううう」


 アオイのお腹から発せられた。


「あれだけパーティで食べといてまだ、食べ足りないのか?」

「テーブル3つくらいはいるって言ったじゃないですか!」


 なんか、逆ギレされた。しかも言ってない。

 だが、馬車には食料も乗っているので料理することにする。


「って、これが料理?」

「あー、うるさいですね。食べれるんだから料理なんですよ!」

「その通り、食べられるのだから料理だ」


 そこには皮を剥いで、焼いただけの肉と、素材の味が生かされているというか素材がそのまま、本当にそのまま皮すら剥かずに入っているスープが置いてあった。


「せめてポタトの皮くらい剥こ」

「ポタトってじゃがいもですよね。ポタトの皮には栄養分が詰まってるんですよ」


 そうだとしても、キャロル(人参)やオヌオン(玉ねぎ)を切らずに丸々入れるのはどうかと思うな。



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