プロローグ2
アオイが転移したのは大きな部屋。その部屋には祭壇のようなものが置かれていて、その前に転移したようだ。
「ようこそ、勇者様」
そう言ったのは、白いドレスに身を包み、血色良い肌を持つ少女。美しい金髪の上に光るティアラを乗せた少女はアオイをさらに大きな部屋に案内する。
「どうぞ、貴方様の召喚を祝うパーティーです」
その少女は感情を見せず、淡々と説明する。
だが、読心術を貰ったアオイには分かる。
「(ドス黒い嫌悪感。この世界のことを外の人間を任せることが悔しいんですね)」
とても、いいお姫様だ。勇者が来たからと喜ぶ訳ではなく、自分たちのことは自分たちで解決しようとする。それだけの事ができるものは強い。汚職にまみれ、自分の手を汚さず、寝ているだけが仕事の貴族たちよりも人気があるのは当たり前だろう。
「(良い子なのは分かりますけど、嫌うことまではないと思うんですよね)」
そう思いながらも顔には出さず、静かに1つのテーブルへと近づく。
「貴方が召喚された勇者か?」
ほんの少しの間隔をあけて直ぐに次の人間が近づいてくる。
「むぐむぐ、そうですよ」
読心術などなくても分かるくらい、頭にクエスチョンマークを浮かべたその子は色々聞く前にもっとも気になることを聞く。
「どれだけ食べるんだ?」
「少なくともこのテーブルだけでは足りませんね」
1つのテーブルだけで、大人数人くらいの胃は軽く満たせるだけの料理が乗っているのだが、アオイはどんどんとお腹の中に収めていく。
やはり超高性能な頭脳を待っているアオイはエネルギーを消費するのだろうか。
「そういうあなたは誰なんですか?」
「これは失礼した。私の名はメイキュリエ・ロザリエ。メイと呼んでくれ。この世界の勇者だ」
「メイちゃんですね。私はアオイ、ですけど……どうしたんですか?」
何やら勇者の耳が赤くなり、読心術でも真っ赤に見える。
「いや、勇者、勇者と呼ばれて名前を呼ばれることが少なかったからな」
「それはよくある事ですね」
アオイの知り合いにもヒーローだとか爆弾狂などのあだ名で呼ばれすぎて本名が消え失せた奴が何人かいた。
あだ名ってすごい。
「それで、話は変わるがアオイはこの世界の魔王と国の戦いを知っているか?」
「まだ教えてもらってないですね」
「では、私が教えよう」
この世界産の勇者による説明では
400年前から100年ごとに魔王が現れて国と争っていた。
前回から今年で100年目。
世界の均衡を保つために、魔王を倒さないといけない。
等の説明が終わる頃にはテーブルの食料も片付いていた。
「それで、戦うのって私たち2人ですか?」
「いや、フレード王が仲間になりそうな人物を集めてくれてる」
頭脳担当のアオイには戦闘力が皆無なので、仲間がいるというのは心強い。
「フレード王ってここの王様ですか?」
「ああ、今更だが、フレード王国にようこそ」
どうやらこの国はフレード王国というようだ。
ただ、そんな名前を言われてもこの世界の地理を知らないのでよく分からない。
後で地図見とこ。
「それで、仲間候補があそこに並んでいるのだが」
メイが見る方向をアオイも見てみる。
そこにはいかにも強そうな男がずらーっと並んでいた。
「うわぁ」
「まあ、ちょっとごついヤツらだらけだが。強さは保証するぞ?」
「仲良くなれそうにないですね」
女の子2人の中にあんな筋肉ムキムキの男がやってきたら、少し危機を感じるというものだ。
「もちろん女もいるぞ?」
「ほほう、あの踊り子みたいな服装したボンッキュッボンを仲間に入れると申しますか」
何やら口調がおかしいアオイが0.5秒ほど吟味して
「嫌です」
「まあ、確かに少し羨ましくはあるな」
と、断った。
まあ、アオイは16歳くらいだし、メイもまだ10歳なんだから成長する見込みはあるけどね。貧乳はステータスらしいし。
「となるとあの子ですかね」
アオイが指さしたのは同年代くらいの緑髪の少女。
「そうだな、後で声をかけておこう」
そのあとぶくぶくに太ったおっさんの話や、王様の長くありがたーい話が終わったあと、なんか武器が貰える話になった。
「と、今ここだ。分かったか?」
ブンブンブンとアオイが首を振る。