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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

このお話はハッピーエンドです

作者: 東雲 夜狐

ある村に美しい娘がおりました

ダークブロンドの少しカールしている髪、ヘーゼルのキラキラとしている二重のぱっちりの瞳に熟れたイチゴのような真っ赤な唇で村の女も男もその娘に憧れました

娘は美しいことを鼻にかけて、何かと村の女にイタズラをしたり男に物を貢がせたりしていました


そんなある日、町から馬車に乗って一人の娘とその家族がやってきました

その娘は美しく輝く金色の髪、透き通った海のような瞳、真っ白な肌なのに頰だけは薔薇のような赤色でこの世のものとは思えないほどの美しさ

その上、困っている人がいればすぐさま手を差し伸べるような優しい心も持ち合わせておりました

村の人々がその娘の虜になるのに、そう時間はかかりませんでした


「どうしてみんなあの子の方に行くのよ‼︎私の方がずっとずっと美しいわ‼︎」


みんなが町の娘の家に集まっている間、村で一番美しかった娘は一人で叫びました


誰も聞いてはいませんでした


娘はだんだん瘦せ細り、眼だけは爛々と暗闇でも光っていました


そんなある日、村の美しい娘はとある噂を耳にします


「村の外れの森の奥、願えば魔女の家が現れ、その願いを叶えてくれる」


村の美しい娘は急いで村を飛び出しました


「お願い、お願い、どうか私に、あんな町娘よりも素晴らしい、手足を、顔を、髪を頂戴‼︎」


すると深い、深い森の奥にぼんやりと灯りが灯るのが見えました

何だろう、と近づくと赤い屋根の、お伽話のような可愛らしい小屋が現れました

これだ、これに違いない

噂の魔女の家はこれだ‼︎


「開けて‼︎開けて‼︎私の願いを叶えなさい‼︎」


ドンドン、ドンドンと思いっきりドアを叩きました

ガチャリ、とドアが開き中から黒いフードを被った人が出て来ました

何か考えていたのかしばらくじっと止まり、すっと中に入って行きました

中から何かを取って来てそれを娘に渡し、こう言いました


「これを飲めば誰もがお前を美しいと思うようになるだろう。対価はいらない」


娘はそれを飲み、急いで村に戻りました

急いで、急いで、急いで、急いで

村にたどり着きました


「なんて美しい…」

「目も、手も、肌も、全てが輝いているみたいだ」


いつの間にか娘の周りに人だかりが出来ていました

娘は喜びました

あの町から来た娘より誰よりも私は美しいのだと


「なんて美しい…是非とも私の嫁になってほしい…」

「何を言ってるんだ‼︎私の嫁になってもらうんだ‼︎」

「私の家にもいてほしいな…」


「そうだ‼︎バラバラにしてそれぞれで持ち帰るのはどうだろう?」


「名案だ‼︎」

「じゃあ私は人差し指を」

「舌を」

「目を」

「皮膚を」

「心臓を」


肉屋さんが肉を切り分けるための鉈を持って来ました

暴れる村の美しい娘をみんなで押さえつけ、肉屋さんが鉈を振り下ろしました


「ぎゃっ、あぁ、あぐっ‼︎」

「声まで美しい」

「素晴らしい声だわ」


最初は右腕、次に左腕、右足、左足とバラバラにされていきました

美しい赤の血はどくどくと流れていきます


「その声をずっと聞いていたい」

「首は最後にしましょう!」

「みんなで共有できるよう博物館を作って飾っておくのはどうだろう?」

「それはいい!」

「誰か彼女を止血するんだ!死んでしまうぞ!」


お医者さんがやって来て彼女の治療を始めました

丁寧に、丁寧に、治療されました

もう、抵抗することすらできませんでした


「みなさま、どうなさいましたの?」


そこに街から来た娘がやって来ました

村の美しい娘は喜びました

苦しんでいる人を必ず助ける彼女なら助けてくれるかもしれない、と


「ああ、町娘さんか」

「今、この美しい娘さんをみんなで分けて持ち帰ろうと話していたのよ」

「町娘さんもどうだい?」


村娘の期待を裏切り、町娘はにっこり笑っていいました


「あら、それなら私は彼女のヘーゼルの瞳が欲しいですわ」


すっと美しい白い手を伸ばし村娘の目に触れ、グッと力を入れて目を取ってしまいました


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎」


町娘の白い肌に村娘の赤い赤い血はよく映えました

ぬらぬらと光を反射し、妖艶さまで感じます


「なんて綺麗な瞳なんでしょう。アクセサリーにしたいくらいだわ」


瞳を見てうっとりしながらそういいました


そのあと村娘の手足はそれぞれで持ち帰られ、アクセサリーや家具になりました

彼女の首は博物館に飾られ、死ぬまで大切に大切に飾られましたとさ


めでたしめでたし

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