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ラバウル戦記  作者: 震電
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プロローグ

今となってもあの日本機は忘れられない。

あれは1946年、7月のことだった。

照りつける日差しの中、ハワイの大軍港で竣工した空母「ランドルフ」(2世)はさらなる改修を受けるため移動中だった。

ハワイへ日本軍が上陸するのは時間の問題だ。だから未完成のままアリューシャン列島の軍港へ移動することとなった。

移動するうちに日も暮れてきた。そして突如怒鳴りつけるような大きな声が聞こえてきた。

「艦長、右45度方向より敵機接近中!敵規模は10機ほどの模様!」

レーダーでは捉えられていなかった日本機、13機だった。

5機はジュディー(彗星)、6機はグレース(流星)、1機はエンテ型の特徴的な機体であった。

「直ちに対空戦闘開始!」

「取舵に回避する」

すぐに航海長が続けて

「とぉぉりかぁじいっぱぁーい!」

と声を上げる。操舵室からは間髪を入れず

「取舵いっぱい、取舵35度」と元気のいい声が聞こえてくる。

そしてボフォース40mm機関砲が敵機に向け火を吹く。

迎撃戦闘機を出したいところだがとてもそんな時間はない。

舵が効き出すまでに時間がかかるが、この艦は舵が効きだすととてつもなく効くというクセのある艦だった。

「敵機、こちらへ接近中!距離500!ぶつかります!」

まだ舵は効き始めたばかり。これでは間に合わない。

その時、敵のグレース6機は魚雷を投下した。

「敵機、魚雷を投下!回避できません!」

ドーン!と大きな音とともに艦尾から大きな水柱が見えた。

しかし艦尾以外に水柱は見えない。おそらく5発とも外れたのだろう。

「艦尾に命中!スクリューをやられました!これ以上航行できません!」

観測員の悲痛な声が聞こえる!

電信員はMayDayMaydayと電信を送る。

つづいてジュディー(彗星)が急上昇してきた。

「しめた!」とばかりにボフォースが火を吹く。どうやら命中したようで2機は炎上した。

この距離だとせっかくの高角砲に積んであるVT信管も使えない。

そしてジュディー(彗星)2機はエレベーター付近へ体当たりを仕掛けてきた。一機は主翼を艦にかすめ海へ転落。

もう一気は飛行甲板に直撃。幸い、飛行機は出ていなかったので誘爆はしなかった。

おそらく1100ポンド(500kg)爆弾を積んでいたのだろう。大きな穴が空いた。しかし炎上はしなかった。

つづいて続いてジュディー3機は小型ロケットを撃ってきた。爆装はしていない。艦橋を狙ってきた。

いずれもエレベーター付近へ命中。艦橋へ2発。かなりの負傷者が出た。

飛び去るグレースを高角砲が2機撃ち落とし、1機に煙を吹かせた。しかし致命傷にはなっていないだろう。

ロケットを発射したジュディーも飛び去ろうとした。甲板にいる水兵に機銃掃射をし、飛び去っていった。なかなか素早く、機銃も高角砲も命中しなかった。

―――そして、そこにエンテ型の特徴的な機体が突入してきた ―――

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