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兄弟 Day's   作者: 着津
3/24

(3) 兄の彼女

今回は兄の彼女目線です。

「よっ。授業お疲れ~」

 あ、ゆうすけだ。

「うん、お疲れ。今日はどうだった?」

 ゆうすけは良く喋る。だから私がいちいち訊かなくても良いんだけど、その言葉を挟むと嬉しそうに笑うから、付き合いだしてから訊くようになった。

「お~、今日はな、矢田部のジイさんが、ムチャクチャな課題を出してきてよ~。……」

 ゆうすけは楽しそうに笑う。文句や愚痴をこぼすときも、良く笑う。だから、普通に見て居ると、本当に苦しいのか楽しいのかよく分からないと思う。

「今日は楽しそうだね」

「そうなんだよ。あのジイさん、本当(ホント)面白いわー」

 我が意を得たり、とばかりに嬉しそう。ゆうすけが笑うたびにクセのある髪が揺れる。柔らかそうだな。

「…どした?そんなに見つめられると…」

 見つめていたことがばれて、慌てていると手を伸ばされた。

「抱きしめたくなっちゃうな~」

「わぁ!ちょ、止やめてよ!」

 ぎゅ、と引き寄せられて、反射的に押しのける。

「人前はだめ!」

「ちぇ~、恥ずかしがり屋め」

「~~!!」

 うわぁ、絶対顔赤い!どうしよう、どっかに隠れたい。

「あれ~、ゆーすけ!」

 女の子特有の甘えた声で、一瞬で熱が冷めた。

「何なに、もしかして新しいコ?」

 何の『新しいコ』なのか。

「そうだよ。彼女」

「え~!カノジョ!?うそー」

 嘘も何も無い。この子に悪気が無くても嫌になる。

「ま、いいや。何時(いつ)ならあたし達と遊べる?」

「あ~、取り敢えず今日はムリ。また今度な」

「ええ~。まぁ、仕方ないか。カノジョさん出来たんだもんね」

 そう言って去って行く女の子を見送る。

「……。彼女の目の前でああいうのはどうなの?」

 ひやりとそう言えば、ゆうすけはへらりと笑う。

「いや~、あいつ、しつこくてね。どっかでOKしないと、付きまとってくるから。あずさが嫌なら絶対二人きりにはならないようにする」

「うん。でも、あの子って…」

 少し馴れ馴れしくは無いだろうか。

「あー、あいつね。昔っから男女いろんな奴に声かけてみんなでわーわーすんの好きなんだよ」

「ふーん」

 ゆうすけは全く悪気はないし、そう言う付き合いの範囲にはなるべく口を出したくないけれど。気になってしまって言葉が冷たくなるのも止められない。

「あずさ」

「…?」

 呼ばれて顔を上げると、ゆうすけが珍しく真面目な顔をしていた。

「俺はあずさが一番だから」

 そう言って笑う。

 その笑顔があまりに可愛くて、私は溜息を吐ついた。やっぱり、ゆうすけには敵わないなぁ。

「でも、弟君のことだって好きでしょう?」

 悪戯っぽくそう言うと、ゆうすけはぐっと難しい顔を作った。

「いや、なんて言うか。あいつとあずさは別枠って言うか…」

 そんなに悩まなくても良いのに。おかしくって笑ったら、拒むまもなく抱きしめられた。

「やっぱ、あずさ可愛い~!」

「~~っ!!!人前は嫌だって言ってるでしょ!?」

 思わずボディブローをしてしまったのは仕方ないと思う。


読んでいただきありがとうございます!

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