(24)春麗か
はるうららか
弟の話です。
通学路の途中、風に舞う桜を見て、足を止めた。
そのタイミングで、強く肩を叩かれた。振り返ると友人が少し詰まらなそうな表情をして立っている。
「じゅんって、いつも驚いた表情しないんだよな」
驚かそうとしていたのか。相変わらず良く分からない。
「...おはよう、りょう」
「おはよう」
友人はすぐに違う話をし始め、俺はそれに小さく相槌を打ちながら歩き出す。青い空に薄い桃色が映えていた。
学校に着いて、クラス表を受け取った。全学年分書かれたそれには、同じクラスになった俺と友人の名前が書かれていた。
「お、今年もおなじだぜ」
嬉しそうな友人の声に頷く。口にこそ出さないけれど、俺も友人の声のような気持ちなのだと気付いた。少し不思議な気がする。
今年の担任は誰なのか、当たりか、外れか、女子に可愛い子が居るかどうかなど、くだらない事を話ながら教室へ向かう。
話題が途切れたとき、ふと思いついて尋ねていた。
「妹さん、元気?」
「ああ、あいつ?元気だよ。元気も元気、手が付けられない!」
友人は大袈裟な身振り手振りで主張すると、ずい、と身を寄せてきた。
「って!何、あいつの事聞いてくるなんて、珍しいな!」
そうだろうか。小さく首を傾げる。
「いや、なんて言うか...。じゅんが他人の事気にするの事態が珍しいというか」
友人はそう言って頭を掻く。困ったときのクセだ。
「去年、初めて会ったときは、一匹狼って言うか、『近寄るな、愚民どもが』って感じのヤツかと思ってたんだけど...。ちゃんと話せばド天然て。面白いよなー」
そうか?前半は自覚しているけれど、後半は良く分からない。天然というのはうちの兄の事だろう?
「おーい、じゅんー?そっち、前のクラスの方だぞ」
友人に腕を引かれて我に返る。
「有り難う」
「ほんと、そう言う所が天然だよなー」
「?」
「いや、何でも無い」
正しいクラスに辿り付き、席に着く。友人は別の友人に呼ばれていった。
人気者だよなぁ。何で俺と友達になろう、なんて思ったんだろう。
本を読もうかと取り出したけれど、どうしてか読む気がしなくてそのまま机に置いた。けして不快では無いけれど、周りの声が邪魔をしているようだった。どうしてだろう。
もしかすると、俺もこれからが楽しみなのかもしれない。
ご卒業、ご入学おめでとうございます! 新学期と言う事で、弟を書きました。
一ヶ月ほど遅いですね!
読んでいただきありがとうございます!




