(22) 小さな冒険の話
「ゆーすけ、待てよ~!」
友人を置いて、木々が生える斜面を駆け上がる。上には、小さな、そして小学生には大きな森の入り口がある。
「や~だよ!たかし、遅いもん」
お互いに小学生で、全く気兼ねの無い言葉のやりとりをする。大人たちはすぐ、虐めがどうのと言い出すが、当人たちにはどうでも良いことだった。
「ゆーすけが馬鹿な分、体力あるだけだろ!?」
「へんっ!悔しかった付いて来いよ」
友人の悔し紛れの言葉も、俺には褒め言葉だ。小学校に通い始めて一番嬉しいのは体育の時間でいくらでも動き回れることだから。
「今日は森の奥に行くぞ~!」
斜面を登り切って、まだ息を切らせている友人を振り返って宣言する。友人はここまで来て置いて行かれるのは嫌なのか、規則を破ることに多少嫌そうにしながら付いてきた。
「嫌なら付いてこなくて良いぞ?」
元々一人で行く気満々だし。そのために他の友人たちは巻いてきたのだが、こいつだけは付いてきた。
「うっせぇ、早く行こう!」
俺の言葉にむっとしたらしく、友人はそう言うとずんずん歩き出した。
始めはいつも遊んでいる森の入り口。ここも本来は規則違反で、森の入り口の近くには、ご丁寧に柵と「しょうがっこうのうらやまにつき、たちいりきんし」と書いてある。当然、一部の生徒は全く意に介していないし、時々中学生なんかも来ている。
「あてっ。(枝に)頭ぶつけた」(俺)とか、
「うわぁっ!へ、蛇!蛇!!」(友人)
「こんなん、こーすればいいんだ、よっ、と(掴んで投げ飛ばす)」(俺)とか、
「う、うわ、わ!なんか踏んだ!気持ち悪っ」(友人)
「おぉ~。なんかのふんだな。運が付いたぞ~。うん(・・)○だけに」(俺)
「うれしくねぇ!なんだそれ!」(友人)とか。
「ゆーすけ!もう、いい加減帰ろう!おれもう嫌だ!!」
友人が音を上げた。
「まだ何にも無いじゃんか~」
「もう嫌だっ!おれ帰る!!」
友人の言葉に、多少の不満はあったが帰ることにした。友人は本気で嫌がっている。
「ちぇっ。分かったよ」
帰ろうときびすを返す。その時、何かが光ったのが見えた。
「あっ!」
「な、何だよ・・・?」
何故か怯えたふうな友人をそこに置いて、俺は少しだけ道を逸れた。
「おい!?勝手にどっか行くなよ!」
「見っけたぞ!」
戻ってきて友人に手に握った物を突き出した。光にかざすときらきら光る、不思議な石。
「うわっ、キレーだな」
「な!よし、じゅんにやろ~」
「じゅん、てお前の弟か。お前、弟好きだよな~。でもそれ、ほんとキレーだな・・・」
「まーな!あ、こんど見つかったらお前にやるよ」
「ほんとか!約束だぞっ!」
「ああ!男の約束だ」
「ってな事があったの覚えてるか」
「ああ、懐かしいな~。どれくらい前だっけ?」
「おおよそ、五年前」
「おお、そんなに経つのか~」
「お前、覚えてるか?その後また綺麗な石が見つかったとき」
「え?あ、あー・・・。すまん、覚えてない」
「やっぱりな。お前、それも弟にやるって・・・。一度もおれにくれたことは無い」
「すいません!・・・もしかして怒ってる?」
「うん、ちょっと」
「あ~、じゃぁ、ちょっと、今度おごりマス」
「じゃぁ、遠慮無く!(いい笑顔)」
by 中学生の兄と友人
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