(19) 休日にて
今日はどうしようか、いや、いつもと変わらないだろう。一人分の朝食を用意しながら考える。今はもう朝の七時で、平日なら高校生の自分は学校へ向かっている頃だ。
しかし、兄は起きてこない。いつものことだから気になる、とか、病気か、とは思わない。が、人としてどうかと思う。
食事を終えて一通り復習を済ませたところであ、兄が起きてくる。
「ふぁあ。・・・はよ、じゅんちゃん」
「・・・・・・」
ちゃんを止めろと何度言っても止めない。いつものように睨み付ける。
「あー・・・、悪いって。・・・ふあ」
まだ眠いのだろう。のそりとソファに座って船をこいでいる。部屋で眠れば良いのに。兄は十時頃にはこうして起き出してくる。
「コーヒーくれ・・・」
眠いせいでいつにもまして声に覇気がない。休日の朝、いつも居間で過ごすのは、寝起きの悪い兄が何をするか分からないからだ。もしこの状況で兄にコーヒーを淹れさせようものなら、台所に立ったまま寝るのは良い方で、最悪、コーヒーをまき散らすだろう。前にやられてから、もう二度とコーヒーを淹れさせないと心に決めている。
コーヒーを淹れて渡す。兄は受け取ると一気に飲み干そうとした。
「うあっち!熱っ!ちょ、酷くない!?」
自分で勝手に一気飲みしたんだろう。淹れ立てのコーヒーは熱いものだ。その方が目も覚めるし。
「あー、目ぇ覚めた。じゅん、昼ん時呼んでくれ」
兄は残ったコーヒーを手に部屋に戻っていった。もうすぐ昼の準備をし始めなければ。
昼食を食べてすっかりいつもの調子を取り戻した兄は、これからどうすっかな~、とか呟いている。家でのんびりするなり、外に行くなり、かなりのレパートリーを持っているだろう。俺は余り出かけたくない。特に兄とは。
「ん、・・・」
兄がケータイを取り上げる。食後の片付けをしていたこっちに顔を向けてきた。
「じゅん~、俺ちょっと出かけてくるわ。何かサークルの集まりだと」
・・・大抵はこうやって出かけていく。サークルだとか男もいるとかは建前で、その中身はほとんど合コンだ。彼女が出来たのにそんなのに行っても良いんだろうか?
気になってはいても、口に出したことは無いけれど、彼女さんの気持ちを考えると少し心配だ。いい人なのに、兄に振り回されたんじゃ、彼女さんも良い迷惑だろう。
「夕メシよろしく~」
素早く準備を終えて出かけていく兄を見送る。俺をダシにして深入りはしてこないつもりみたいだから、まあ、大丈夫だとも思う。
俺は静かになった家でため息を吐いた。
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