(16) 明けましておめでとうございます.2015
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「おーい!じゅん~」
友人に呼ばれて顔を上げた。家の近くの神社もくてきちにはすでに高校で初めて出来た友人が立っている。これ以上待たせるのも悪いので小走りに近づいて行くと、そんなに急がなくても平気だと笑っていってくれた。
彼は反応が鈍い俺にも根気強く付き合ってくれる。ある意味感謝してもしきれない存在だと思う。今回初詣に行こうと誘ってくれなかったら、自分から誘いになど行かなかっただろうからありがたい。
「あのな、じゅん。ちょっと言いにくいんだけど…」
合流して神社の境内へと歩き出したとき、言いにくそうに友人が口を開いた。さっぱりした性格で、いつも言いたいことははっきり言うし、聞きたいことは相手が詰まるくらい突っ込む友人にしては珍しい。そう思いながら首を傾げて先を促すと、横合いから元気な声が掛けられた。
「あ~!!こんな所にいた!お兄ちゃんっ。置いてかないでよ…」
甲高い女の子の声だ。驚いてそちらを見ると、女の子は尻すぼみに言葉を飲み込んだ。
「…え、えっと」
「やな、失礼だろ。ちゃんと挨拶しろよ」
「…明けましておめでとうございます?」
友人の言葉に従って女の子は言ったが、よく状況が飲み込めていないようだった。こっちも状況がよく分からない。
「明けましておめでとうございます」
取り敢えず挨拶されたら挨拶を返すのが礼儀だ。
「説明と順番が狂ったけど、さっき言いかけてたのはこのことなんだ。今日は何故か妹が付いて来たがってさ」
「……」
こくりと頷いておいたが、俺は納得は出来なかった。何で兄が友人と会うときについて来たがるのだろう。見たところ、友人の妹は少なくとも中学生以上だろう。
「だって、お兄ちゃんが会う人って、中学の頃の友達なのかと思って…」
友人の妹は言い訳するように呟いた。勘違いに早とちりが成した結果らしい。
それにしても、妹なんて初めて見たかも知れない。自分が弟だから、何となく理解しにくい。
「…ごめんなさい」
急に謝られても、逆に戸惑う。何に対して謝られたのだろうか。考え込んで妹さんをじぃっと見て居たら、妹さんは友人の後ろに回ってしまった。
「じゅん。考えるのは良いけど、こいつ睨まないでやって?」
友人に言われて、睨んでいたのかと思った。
「ごめん」
「んじゃ、紹介しときますか。じゅん、こいつが少々生意気な俺の妹のやな」
「初めまして。じゅんさん」
上目遣いでこちらを見てきた。
「で、やな。こいつは俺の高校初の友達、じゅんな」
「初めまして」
ぺこりと頭を下げると、安心したような溜息が聞こえた。
「じゅんさんて初めの印象より怖くなさそう。良かったぁ」
例え本心でも言っちゃいけないことのような気がする。言われた本人が突っ込むのも何だし、あまり気にすることでも無いので黙っていた。
「やな!…悪いな、じゅん」
友人が叱ったり謝って来るのに首を振りつつ、ああ、これが普通の「お兄ちゃん」なんだな、と納得する。俺の兄とは大違いで理想に近い。
「よろしくお願いします!」
すっかり緊張が解けたらしい妹さんから色々訊かれながら、初めて尽くしの正月は過ぎていった。
「あの、じゅんさんは何をお願いしたんですか?」
「……(考え中)」
「やな、普通そんなこと訊かないだろ?じゅんも迷惑だと…」
「うちの馬鹿兄と彼女さんが末永く続きますように」
「え、答えちゃうの!?」
「へぇ!じゅんさんってお兄さん居るんですね!うちと同じだぁ」
「うん」




