(15) 明けましておめでとうございます.2015
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窓の外を見る。去年の予報では正月の三が日は天気が悪いなどと言って居た。
「晴れじゃん」
空には雲一つ無い。俺は彼女と約束した初詣(実際にはお互いにもう行っている)デートへ向かった。
外は予想よりもずっと寒い。最初、コートとマフラーだけで良い、と外に出ようとした俺に、弟が無理矢理渡してきた手袋と帽子、カイロがありがたい。無表情でどや顔を決める弟が見えたような気がした。
駅に向かう途中に人影は無い。もう初詣を済ませたのか、夜更かしの代償を払っているのか。何にしても静かだ。自宅から駅までの、昔ながらの商店街は皆シャッターが降りている。
駅に着くと、ちょうど計ったようにケータイが鳴った。
彼女からかと期待して開くと、来ていたのは悪友からのメールだった。期待させないでくれよ。新年の挨拶はもう済ませているが新年早々、こんあめーるじゃなくても良くないか。
〈今日暇だよな?今夜サークルの集まりあるけど行くか?〉
友人のメールはどう見てもどうでも良いものだった。しかも、俺に何の予定も無いかのような書き様だ。
〈暇なわけ無いじゃん。彼女とデートだよ。てか、期待させんな。彼女かと思ったじゃねぇか〉
返信すると、友人こそ暇なのか直ぐ返信が来た。
〈なんだ、またゆーすけで女の子つろうと思ったのに。勝手に期待して逆ギレしないでくれよ!理不尽だ〉
俺はいつも通りの友人の反応に思わず吹いた。幸い周囲に誰も居なかったから良いようなものだ。
〈そっちこそ理不尽だろ~。何、他人ひとで女の子つろうとか考えてんの?しかも、彼女持ちに。自力で頑張れや〉
そう返して待っている間に電車が来た。乗り込むと直ぐに返事が来る。メールの操作をしている内に電車は発車した。
〈俺じゃほとんど誰も来ねぇもん。男子は集まるけどさ。ゆーすけはほっといても女の子ホイホイつるじゃん。羨ましいよ、ほんと。その上彼女までいるし、可愛いし〉
〈男の間で人気があるって事だろ、良いじゃんか。そして他人ひとをゴキ○リホイホイみたいに言うなや。羨ましいなら色々努力しろよ。性格はともかく、顔はそこそこ良いんだから〉
〈へーへー。流石もて男は言う事が違うな。そんで一言余計だ!〉
下らない事をやり取りしている間に目的地に着いた。友人には一方的にメールをぶち切る事だけを伝えてケータイを閉じた。
待ち合わせ場所にはすでに彼女が来ている。可愛いが落ち着いていて上品な着物を着ている。着物用の上着を着ているが傍目にはとても寒そうだ。
「あずさ」
声を掛けると、彼女は驚いたように振り返ってにこりと笑った。俺は意識する前に息を止めていたらしい。息を吐き出してからそのことに気づく。柄にも無く、彼女の可愛さに言葉が中々出てこなかった。
「ゆうすけ?」
訝しむ彼女に声を掛けられてやっと言葉を絞り出す。このことが彼女にばれなければ良いと思いながら。
「ああ。今日は着物なんだ」
「うん」
恥じらうように俯いた彼女にまた心臓が跳ねる。どうしよう、初詣まで持つかな。
「似合ってるよ。ほら」
いつもよりぎこちなく手を差し出す。彼女も緊張しているのだろうか。そっと手を握られた。着物に合わせて草履を履いている彼女に負担がかからないように神社へと向かった。
「あ、そう言えば」
「どうしたの?」
「忘れてた。〈明けましておめでとう、今年もよろしく〉。あずさ」
「あ…。うん、こちらこそ。〈明けましておめでとう、今年もよろしくね〉。ゆうすけ」




