(12) どっきり企画 そのさん
「え?何、何なの?」
弟に背を押されて歩きながらも、困惑はしっかり口から漏れる。うるさいとばかりに弟が睨んで来ても、残念ながらそれくらいじゃ止まらない。
「すぐわかる」
弟はまったく説明してくれない。
着替え終わるころには少し落ち着いてきて、今日のことを考える余裕が出てきた。
確か、今日は何の予定も無かったところに、昨日、珍しく弟が一緒に出かけてくれと言ってきて。ついさっきまで出かけていて、それだけでも驚いたし嬉しかったのだが。帰ってきたら、彼女がメシを作っていた。
それは嬉しいのだが、弟が驚いていない(顔に出てないだけか?)し、腑に落ちない。
「兄さん、行こう」
着替え終わっても呆けている俺を、弟は呆れた様子で引っ張っていく。居間の前に来ると、とん、と背を押された。
一歩踏み出すと、普段と変わらないはずの部屋で、彼女と、普段は食べないような料理たちが待っていた。おしゃれをして恥ずかしそうな彼女が、微笑みながら近寄ってくる。
「ほら、ゆうすけ。こっちこっち!…あ、弟君、台所使わせてくれてありがとう」
この二人はどうやらグルらしい。どうしてだ?今までまったく接点が無かったようなものなのに…。あ、自分で連絡先教えてたわ。
彼女に手を引かれるままに席に座ると、良く見る大きなケーキとプレートに書かれている言葉が目に入った。
――Happy birthday! Yusuke――
「ハッピーバースデー!誕生日おめでとう、ゆうすけ」
「おめでとう」
彼女には最大限の笑顔で、弟には照れ隠しか目をそらされながらも、その言葉をもらう。
「…マジか。え、でも誕生日は明日…だよな」
また驚いてそうもらす俺に、彼女は嬉しそうだ。
「そうだよ。でも明日じゃばれちゃうからって今日にしたの。ね?」
こくりと同意する弟。これでやっと納得した。まず、気にしてなかったけど、彼女が俺抜きで弟と連絡をとりたがったこと。弟が珍しく外出に誘ってきたこと。全部つながった。
これだけでも嬉しいってのに、二人はさらに何かを差し出してくる。
「ん」
弟が突き出してきたのは本屋の袋。中には外出していたときに手にとっていた本が入っていた。いつの間に。
「私からも」
彼女は綺麗にラッピングされたものをくれた。中身は後で見ることにしよう。
「本当、ありがとうな。あずさ、じゅん」
今日は本当に驚かされた!
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連作終了です。




