(10) どっきり企画 そのいち
今回は連作そのいちです。多分、もう二度と無いと思います。
「なぁ~、じゅん~」
そう話を切り出されたのは二日前。
「なんか、あずさがお前と話がしたいんだと。今二人にお互いの連絡先送ったから。登録しといてくれ」
何だか妙な話だ。話なら兄を通した方が良いんじゃ無いか。そう思いつつも、ケータイを置きっ放しにしている自室に向かった。登録し終えて直ぐにメールを受信する。彼女さんからだ。
急にごめんなさい、と丁寧に始まったメールには、兄の誕生日のことで相談があると書いてあった。良くある話のように、サプライズにしたいらしい。構わないことを返信すると、直ぐに返事が返って来る。
それから何回かやり取りをした結果、兄の誕生会を家でやることになった。
そして二日経った今日、兄の誕生日の前日で、この日に誕生会を開くことに決めていた。昨日彼女さんに、兄を通して合い鍵を渡させることに成功している。今日は俺が兄を監視しつつ連れ回している間に、彼女さんが夕飯兼、パーティ用の料理を作ることになっている。
〈これから兄を連れ出します〉
彼女さんに連絡する。
〈了解です!じゃぁ、また後で〉
直ぐに返事が来た。
ケータイを閉じて兄と出かけるべく自室を出る。
「兄さん」
「お?もうそんな時間か?オッケーオッケー、準備できてる」
頷いて玄関に向かう。
「にしても、じゅんちゃんが一緒に出掛けようなんて珍しいな~。何?気になる子でも出来た?それでプレゼント買うとか!?」
勝手に決めつけるなちゃん付けるな。そして何故嬉しそうなんだ?様々な意味を込めて視線を送ると、兄はへらりと笑う。
「悪い悪い。でも、じゅんに好きな子出来たら間違いなく応援するぞ、俺は」
別に要らないけど。目をそらす俺に、兄はまた笑った。
「何~?照れてる?」
……。
「今日は本屋と靴屋」
「分かった。じゃ、少し急ぐか」
こうして兄と一緒にたわいない事を話ながら、久し振りに街を歩くのだった。
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