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ラ・カンパネラ  作者: Opus
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レクイエム Opus 3

 ホテルで教えて貰った郵便局は、カテドラルの斜め前にあり、直ぐにわかった。渉と私は、迷わずに郵便局に着いた。

 ヨーロッパでは、何処の街でも、公共機関で待たされるのは覚悟したほうが良い。

 日本人のDNAには、せっかちが誰にも刻まれているようだが、ヨーロッパの人がじっと我慢強いのには、つくづく感心させられる。

 私の隣にいる渉も、厳しい旅の成果か、いつのまにか立派なヨーロピアンになったようで、待つのは平気な様子だ。

 列は長いのに、思ったよりも進むのが早く、十分ほど待って、私たちの番が来た。アルザスの人間は、フランスでは最も働き者だと言われていると渉から聞いたが、てきぱきと片付けていく様子はその面目躍如といったものだ。

 遊ぶ時はフランス人で、働く時はドイツ人になるのかしらと、二重人格のようなアルザス人を想像した。

「郵便物はGrand-Ileで届くから詳しい住所がわからないのだけど、マリア・ガンダーさんの居場所を探している」

 私たちの番が来て、渉がフランス語で説明した。すると、郵便局員は何かピンと来たようだ。

「ガンダー、ガンダー、ガウ……」

 郵便局に入ってくるなり、騒がしく話していた五十代くらいの三人組の日本人女性が、「ねえ、ここよ。スタンプ、スタンプ、プリーズ!」と私たちが話しているのに、脇から入ってきて、切手を要求した。

 ウィーンでも傍若無人な日本人を見かけたが、「旅の恥は掻き捨て!」が世界の共通語だと思っているのだろう。

 それとも、海外に来ているため、興奮して回りが見えていないのかもしれない。こうも恥知らずな日本人を見ていると、同じ国の人間であるのが、本気で恥ずかしくなる。

 知らない振りを決め込もうとしたが、「ここで切手は買えるけど、みなさん順番に並んでいますよ」と渉が日本語で三人に注意をした。

「ああ、そう、ありがとう」と、一人の女性が渉に礼を言い、三人は列の最後尾に向かった。

「前に並んでいるなら、あの日本人、一緒に買ってくれないかしら」とリーダー格の女性の声が聞こえる。

 とんだ割り込みのおかげで、ちょっと中断したが、三人を後に並ばせた渉に、郵便局員が軽く礼を言った。

「先ほどの方なら、局留になっていて、いつもこちらに取りに来るのですよ」

 と、予期せぬ情報が入ってきた。すかさず渉が、今の住所を尋ねると、

「えっ、そこまでは……」と断られてしまった。

 住所まではわからなかったが、今の説明で、マリア・ガンダーが、全く他の所に住んでいるわけではないのがわかった。

 結局、ストラスブール滞在の三日目は、昨日探したドーム通りの残りと、おるフェーブル通り(rue des Orfevres)を探し終わった。

 これでカテドラルから市役所までの、三本の道と脇道を全て探し終え、郵便局で得た以上の情報は、得られなかった。

この小説をこちらに掲載させていただいて1年が経ちました。未だ続くものですが、読んでくださっている方、ありがとうございます。

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