11.ゲーム系作品の不人気職業なのに最強等について思う事
VRMMOを中心としたゲーム世界(異世界物も含む)物を扱った作品で、主人公やその仲間がゲーム内で唯一の特殊職業についていたり、ゲーム内では何故か使えないとして多くの者が避けた職業やスキルの組み合わせを取得したにも関わらず、最強もしくは最強に近い性能を発揮する物がある。
過疎化していて殆ど人がいないのならいざ知らず、それなりのプレイヤー数がいる事が前提であるにも関わらずだ。どう考えても設定として可笑しいだろうと思う訳だ。
VRMMOを前提としているならば、その開発会社や運営会社は営利を目的としている。そうである以上、プレイヤーの中の一人だけを排他的に特殊職業にするメリットはないし、職業毎の強さのバランスが大きく崩れていた場合、プレイヤーからクレームの嵐になる上に、客離れを引き起こす原因となる。始めから短期資金回収前提の運営なら放置も有り得るが、長期間運営する事を前提としている場合、テスト期間中ばかりでなく、本サービス開始後もスキルや装備の見直しを行い、強さのバランス調整を行うものだ。
常識的には、誰でも一定条件を満たせば全ての職業に就けるようにしているのが常道であり、上手にプレイヤー同士を競わせ、課金アイテムと絡めたりする事で稼ごうとする。仮にある職業になる為には転職等が必要で、その条件を明示されていない場合でも、ある程度のプレイヤー数を誇るゲームなら、必ず検証を行う者が現れ、その条件を見つけだそうとするし、その結果はいずれwiki等を通じて拡散される事になる。
「多くのプレイヤーの中で俺だけが特別なんだ!」的な中二病の発露を主人公らに自己投影したくなる気持ちは理解できる。しかし、1人プレイが前提のコンシューマゲーム機向けRPGならいざ知らず、多人数が同時参加するVRMMO等では、隠れ職業的な物に特段の憧れがあったとしても、そのような設定はすべきではない。常識的に有り得ないのだから。
職業の概念が無く、スキル制のゲームとして設定している作品で、不人気なスキルの組み合わせで何故か最強と言うのも同じである。余りに使えないスキルはバランスを調整しろとクレームが入る物だし、敢えて使えないスキルを駆使する事に熱中する者、全てのスキル検証しようとするマニア、ネタこそ命で遊ぶ者達は、どの様なゲームにでも少なからず存在する。
また、キャラクターの能力やスキル構成のテンプレは、最強であるか、最適である事を前提に作成される為、もし仮に、不人気なスキル構成で最強もしくはそれに近い性能を叩き出した場合、そのスキル構成はその後テンプレ化され、何時までも不人気なまま放置される事はない。最強厨や効率厨でなくとも、多くのプレイヤーはより強くなろうとするし、効率を少しでも上げようとするからである。そうでなければ、そもそも不人気スキルなんて存在しない。
「俺だけが不人気スキルの本質を理解し、上手く使えるんだ!」的な中二病の発露を主人公らに自己投影したくなる気持ちは理解できる。しかし、MMOでは同じスキル構成の他プレイヤーが必ずいるものだし、やがては検証マニアらによって解明される。
初期スキルとしてランダムで取得するシステムと設定し、その内の一部スキルが非常に使えるスキルとした場合、そのスキルを取得するためにキャラクター作成と削除を繰り返すプレイヤーが続出する。仮にゲーム内に一人だけとかいうレベルのレアスキルであれば、クレームの対象になりかねない上、バランス調整しろと言う話になる。
どうしてもやりたいのなら、誰かに鯖をハッキングされて支配されたとか、異世界物であれば、神様を出す事で特殊な固有スキルすら持たせる事も出来るだろうから、この様に無理のない説明が付く設定にした方が良いだろう。
ゲーム系の作品で、俺、強ぇ~~~! という爽快感を出す場合、特別な職業やスキルに頼るのではなく、素直にプレイヤースキルが高いとか、質の高い連携が取れている事を前面に押し出した方が良いように思う。そして、全プレイヤーに響き渡るような特別な存在を作りたい場合には、称号等を上手に利用するのが最も簡便で矛盾無く説明できるので良いのではないだろうか。




