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∞ループ  作者: 相川 始
3/3

第一章 始まりの朝

ジリリリリリ――

目覚ましが静かな部屋に響き渡る

「了君、起きて〜 朝だよ」

体が揺れてる……地震か?

いや、声も聞こえるし

「ふわぁ〜 おはよう、希」

欠伸を噛み殺しながら挨拶を交わす

「おはようございます了君 ご飯が出来てるからなるべく急いでね」

希はそう言うと、俺に着替えを手渡して部屋を後にした

「テスト最終日か ……自慢じゃ無いが全然自信が無い」

着替え終わりカレンダーを見ながらぼやく

「さてと、下に降りるか」

俺はそう言うと鞄を持ち階段を降りた


希の作った朝ご飯を食べ終え、通学路を歩いていた

「ようやく今日でテストも終わる訳だな」

俺は清々しい気分で歩いていた

「了君は、テスト自信ありますか?」

微笑みながら希は訊いてきた

「あまり無いな」

苦笑気味にそう言うと希は「今日で最後だから頑張ってね」と言った

気にしなくとも元よりそのつもりだったが……

俺の場合、最後のテストではどうも気が入らない

少し眠いのか欠伸を噛み殺し空を見上げる

「良い天気だな、帰りは商店街でも行くか」

とりあえず、午後の予定より午前の対策を考えねば……


教室に入ると即座に自分の席に座り教科書を広げる

「了、そんな無駄な足掻きは止せ ――それより、俺の企画に乗ら……」

教科書をぼんやり眺めていると、今一番聞きたく無い声が聞こえ始め――

……だから俺は、奴の話が終わる前にこう言った

「乗らん! そう言う事は他を当たれっての」

無論、誰も乗らないと思うけどな

因みに、奴は滝川たきがわ 祐樹ゆうき俺の悪友だ

過去に一度、俺は奴にとんでもない目に合わされた

今なら、只の喧嘩の方がマシとか思える程だ

精神的にきつかったね、あれは

今、思い出したく無い(出来れば未来永劫、一生忘れておきたいが)とりあえず、予鈴がなった。


予鈴が鳴った後、すぐさまテスト監督の講師が来た為あまり見れなかった

教室内にはシャーペンの音が響き渡り精神的に焦らせる

俺は迫り来る睡魔に立ち向かいながら答案用紙を埋めていく

それから、数分が経ちチャイムが鳴りようやく授業が終わった

「奇跡だ…… ヤマがことごとく当たった」

後ろに居た祐樹が来てこう言った

「どうだった? 了」

俺は自信満々に言い返した

「正直今回は、お前にだって勝てるかも知れないからな」

「へぇ、なかなか面白い発言だねぇ…… なんなら、勝負するか?」

祐樹の発言に俺は、ニヤリと笑い二言で答えた

「良いのか?そんな事を言って……」

「盛者必衰の理を表す…… 今まで勝者であった者が遂に敗者になる時が来たんだ」

すると、祐樹は何処から取り出したのか牛乳の入ったビンを逆さにし……

「零れたミルクはビンには戻せない……その言葉、後悔するなよ!」

そして、互いに笑いあった

しかし…… あの零した牛乳は誰が掃除するのだろうか……


HRが終わり俺は一人淋しく商店街を彷徨っていた

何故、一人で居るかと言うと

希は料理部で忙しく、祐樹は新聞部で何か企んでいる

だから俺は、一人淋しく商店街を歩いていた

本屋でも覗いて見るか…… 読みたい本が出てるかも知れない

俺は目標地点を決めると歩き出した

此処(商店街の本屋)は結構広いから俺が読みたそうな本は大体売っている

祐樹の愛読書もあるらしいが…… 俺は興味無い

小説のコーナーで適当な本を取りページを開け目を落とす

「本屋で立ち読みってダメなんだよ?」

不意に後ろから声が聞こえたので俺は振り返る

「そうか? 別に良いと思うぜ?其処のおっさんだって読んでるんだし」

俺は本に視線を戻しながらぼやく

って今、本校の制服着てなかったか?

そう思いつつふり返ると青髪の少女、笹宮ささみや 比奈ひなが居た

「笹宮? 何やってんだ?」

「何って、予約してた本が届いたから買いに来たの 了君は?」

俺は手に持っていた本を本棚に戻し言った

「テストが終わったから、今日はゆっくり羽を広げようと思ってな」

「ねぇ、折角テストも終わった事だし…… デートしよ♪」

笹宮はそう言うと俺の手首を掴み

「はい? って、お、おい」

書店を後にした俺と笹宮だった


商店街を色々見回っていると、少し空腹感を感じて俺は言った

「なぁ、笹宮」

「ん、何?」

振り返り俺を見た

「少し腹が減った…… 喫茶店でも行こうぜ」

笹宮は少し考え頷いた

目的地に向け足を動かし始め思い出した事が一つ

「笹宮はテストどうだった?」

「うーん…… 微妙だったかなぁ〜 了君は?」

「俺か? まぁまぁだな」

話をしていると、喫茶店に着いた


学生が数人数えられる喫茶店の中に入ると店員に案内され適当な席へ案内される

注文を取り終え呑気に窓を眺めていると

「ねぇ、了君」

笹宮が呼んだので振り向き

「何だ?」

そう言うと笹宮は

「週末は何か予定ある?」

と言い出した

「週末か…… まだ分からんが恐らく予定が入るかも知れん」

などと曖昧に言ってみると

少し悲しげに俯きながら口を開いた

「そっか…… あっ、そうだ」

が、それも一瞬で変わり俺に携帯を向けた

「アドレス交換しよ」

と言った

俺はズボンのポケットから携帯を取り出すと受信の準備をした

「じゃあ送るね」

「あぁ」

……。

俺も同じように送信し、終えた頃に店員が注文した品を持ってきた

店員が来た道に戻るのを確認していると携帯のバイブが鳴った

笹宮から

『よそ見してると帰るよ?』

とメールが来ていた

俺は振り返――

「……あれ?」

笹宮の姿はそこには無かった

何処に行った?

俺は視線を泳がせていると……

「何してるの?」

声が聞こえ振り向くと、何故か俺の隣に笹宮が座っていた

「いや、笹宮こそ何やってるんだ?」

「秘密♪」

笹宮は「驚いた?」などと笑いながら向かいの席に戻った

びっくりさせるなよ……


他愛無い話にも話題が尽き、日が落ちようとしていた

商店街にはまばら人が居るくらいで、人が多いとは言い難い

俺的にはこれ位が良いと思う

そんな事を考えていると……

商店街の入り口が見えた

「休みだったらもっと一緒に居れるのにね……」

笹宮は夕焼けを見つめながらそう呟いた

そんなこそばゆい事を平気で言うなよ…… 一緒に居るこっちが恥ずかしい

「そう……だな」

俺もまた夕焼けを見つめそう呟いた

オレンジ色に包まれた商店街は何処か風情があるな……

課題に写生が出たらこの絵を書くか

「あっ、そろそろ帰らなくちゃ」

笹宮は思い出したかのようにそう言うと俺の方へ振り返り

「また明日ね♪ メールとか送って来てよ?」

笹宮はそう言うと商店街へ走り出した

俺は笹宮を見送った後、家路を目指した


「ただいま」

家に帰ると希は帰っており俺を出迎えてくれた

「お帰りなさい」

希が微笑みながらそう言いリビングへと歩き出した

俺もその後を歩いた

リビングに着くと晩御飯が用意されている

昔から変わらないこの家に俺と希

こうしているからこそ俺達はいるんだよな

椅子に座り晩御飯を食べていると

「今日は、どうでした?」

希は俺にそう訊いた

「何がだ?」

「今朝、商店街に行くとか 楽しかったですか?」

よっぽど気になったのだろうか、希はそう訊いた

「あぁ そうだ、今度は希も一緒に行こうな」

「はい!」

希は嬉しそうに頷くとご飯を食べ始めた


その後、俺は宿題を適当に済ませ欠伸を噛み殺した

「今日は、何か疲れたな……」

俺はそう言った後、ベッドに身体を乗せ目を閉じて眠りについた


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