戦友からの贈り物。時は満ちた!!
金曜日の夜。布団に入って眠気を待っていたのは、斎藤俊(さいとうしゅん)だった。今までは、部活があったので布団に入ればすぐ睡魔が襲ってきたのだが、最近では全く眠気がなかった。そんな時、ケータイが鳴った。最近流行っているアイドルグループの音楽だ。
『明日ヒマ?カラオケ行こうぜ』
送ってきたのは、同じ部活だった村上浩介(むらかみこうすけ)だった。浩介ともう一人、栗山雅紀(くりやままさき)という仲間がいる。3人は部内でも特に仲がよく、普段でも良く遊んでいた。
『オッケー♪さぁ~てと、十八番の準備でもしておきますか~♪』
俊はすぐに返信を打ち返すと、『送信』を押した。
『じゃぁ、明日の8時30分にカードショップな。雅紀も誘っておくから』
浩介の返信は早く、ヒマをすることもなかった。
「じゃ、今日は早めに寝ますかな……」
俊はそういうと、薄めの毛布を被った。
翌日、俊が目を覚ますと、8時を回っていた。家からカードショップまでは、自転車で10分もかからないので、準備には少し時間を使える。
「行って来まーす」
俊は、誰もいな家に向って挨拶をした。俊の親は医師をしていて、朝いないことはよくあった。
カードショップに着くと、もう2人は着いていた。
「ちーっす」
俊は2人に軽く挨拶をし、自転車から降りた。
「さぁ~てと、行動開始といきますか」
3人が揃ったのを見計らってか、浩介が言い放った。
「女子の皆さんはもう会場についてるってよ」
不意に、浩介が耳を疑うような言葉を発した。
「?」
「?」
雅紀と俊には意味が理解できなかった。
「今日って、カラオケっしょ?」
俊が浩介に聞く。
「違う!今日は、映画の後にカラオケ!」
声を張り上げて浩介は叫ぶ。
「はぁ!?」
雅紀は意味がわからないといった風に言った。だが、浩介の意見だからか、文句はいわなかった。浩介がわがままなのは、俊も雅紀も理解していることだ。
15分後、自転車で隣町の映画館につくと、私服の女子3人組がいた。
「お~い」
浩介が声を大きくして呼ぶ。3人が振り向いた。そこには、松本織(まつもといおり)、工藤未来(くどうみく)、後藤百合(ごとうゆり)の姿があった。その3人の中の1人、工藤未来に俊は恋心を抱いていた。
「!?浩介、何考えてんだよ!メンバー、聞いてねぇぞ」
雅紀の声は緊張のあまり裏返ったが、今はそんなことは気にしていられない、といわんばかりに言った。
「そうだよ、意味分かんね」
俊も緊張気味で言った。俊は、雅紀が織に、浩介が百合に『好き』の感情があることを知っていた。前に皆で遊んだときにばらしたのだ。
「だって、今日は告白コンパだぜ?」
浩介は「知らないの?」と言わんばかりの能天気ぶりで2人に言った。
「……」
(さぁ~て、どうすっかなぁ……)
何だかんだで、俊は今の状況を楽しんでいた。大勢でガヤガヤするのが好きだったのもあえる。そして、自分の好きな人と遊べるという『イレギュラー』。




