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プロローグ
狐の嫁入り。
と聞けば誰もが最初に思い浮かぶのは通り雨のことだろう。
次に思い浮かべるのは、なんだろうか?
狐が嫁ぐ姿とかだろうか?
今の私にとってそれは両方当てはまる。
空は晴れているのに雨が降り、キツネのお面をつけ白装束を着ている。
「狐の嫁入り」という言葉は、今の私にぴったりな言葉だと嬉しくて感動してしまう。
そう思っていないとやっていられない状況に軽く現実逃避をしていると、男の冷たい声が耳に届いた。
「お前はいったい誰だ?」
感情のこもっていない冷たい瞳と目が合った。
目の前の男がそんな態度をするのも仕方ない。
男が結婚する相手は私ではなく従妹とだった。
それなのに、違う相手がきたのだ。
これは家同士、種族同士の大切な決め事なのに勝手に結婚相手が変わったのだ。
怒るのも無理はない。
では、なぜ私が望まぬこの男と結婚する羽目になったのかというと、二十七時間前まで時を遡らなければならない。




