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第4章 別れの予感と、最後の時間
― それでも、生きていてほしかった ―
4月14日〜15日。
病院で泊まる夜。
ファミリーマートの栄養ドリンク、ブラックコーヒー。
娘は「見張ってるからね」と言ってくれた。
爪を切ってくれた看護師さんに「硬かったんですね」と言った君。
そんな小さなことまで覚えてくれていたことが、嬉しかった。
「お父さん、名探偵コナンの映画やってるよ」
「一緒に観ようって言ってたじゃん」
「プラモデルの隼もまだ完成してないんだよ」
「くら寿司のビッくらポンも、まだだよ」
君の言葉には、“これから”が詰まっていた。
そして僕も――本当は、まだ生きたかった。
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